石くれと砂粒の世界

アクセスカウンタ

zoom RSS 経過情報(その2)

<<   作成日時 : 2005/09/14 23:33   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

 前回のつづきです。
 審査記録の中程に「拒絶理由通知書」とあります。発送日が平成8年9月ですから、審査請求を平成6年1月にしてから2年半以上も経っていることになります。現在は少し改善されているようですが、審査結果が出てくるのに2年以上もかかると出願した人も内容を忘れてしまいそうです。さてこの拒絶理由通知は審査をしたけれども、これこれの理由があって特許にするわけにはいかないよ、という特許庁の審査官から出願人に宛てた連絡です。この特許にできない理由が拒絶理由で、これは特許法にこれとこれとこれというふうに決められています。審査官といえども勝手な理由で拒絶はできないことになっています。

 この場合ですが、少し上の方の欄に「引用文献記事」というのがあり、そこに「引用文献 拒絶理由通知」と記され、その下に外国文献としてJOURNAL OF ELECTRONIC MATERIALSという学術雑誌の名前が書かれています。そしてその前に29条2項と書かれています。この29条2項というのは特許法の条文を示していて拒絶する理由はこの条文のためであることが示されているわけです、特許公報をみるとこの外国文献は発明者が従来技術を説明するために引用しているものと同じです。発明者は自身の発明がこの文献に書かれた技術の課題を解決できたと考えて特許を出願したはずですが、審査官はこの文献に書かれていることからあまり進歩していない、これくらいはだれでも思いつくよと言う理由で拒絶をしています。29条2項では、だれでも思いつくようなレベルでは特許にすることは認めないとしているからです。

 しかしこのような審査官の考えがいつも正しいとは限りません。現代の技術は高度化していますから、技術者でも自分の専門分野から少し離れるともうよくわからないことがよくあります。審査官は技術系の素養のある人ですが、かなり広い範囲の技術を扱うので、
いつも正確にその発明の意義を捉えることを期待しても無理があります。そこでこの発明はあまり大したことがないな、という心証があるとまったく同じことを書いた先行文献がなくてもまずは拒絶理由を通知してみるということもあるのではないかと想像します。

 そこで出願人(発明者)は審査官の判断に対して反論することができます。拒絶理由通知書を受け取ってから普通は60日以内に意見書という文書を提出して審査官の判断は妥当でないと反論したり、このように補正をすれば審査官の指摘する拒絶理由はなくなると主張したりすることができます。補正をするときは意見書とワンセットで手続補正書を提出します。この特許の場合も意見書と手続補正書を出しています。

 その結果、平成9年1月に登録査定が出ています。出願人の意見と補正を審査官が認め、それなら特許にしてもよいと判断する査定を下したわけです。後は出願人が登録料というお金を納めれば、特許番号が付与されることになります。これでめでたしめでたしと言いたいところですが、この件についてはまだ続きがあります。その説明は次回にします。

 以上、特許電子図書館で審査の経過を調べてきましたが、最初に言いましたように、審査の経過を調べて面白いのは、そのときの技術の状況が見えてくることです。しかしそれは拒絶理由通知で審査官がなんと言っているか、これに対して出願人は意見書でどう反論しているか、などがわからないとわかりません。残念ながら特許電子図書館では各文書の内容まで見ることはできません。しかしこれらの文書は秘密にされているわけではありません。特許は出願されてから公開されるまでの約1年半の間は厳格に秘密にされますが、その後は特許庁と出願人の間のやりとりなどすべてがオープンになります。ただこれらの文書は特許庁に請求して見せてもらわなければならないので、個人では、しかも個人的興味といった目的では、少し見せてもらいにくいと思います。

 この特許は裁判で争われたこともあって、関係資料が集めやすい状態にあります。次回以降、案内人がもっている資料なども使ってさらに説明をしていきたいと思います。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
経過情報(その2) 石くれと砂粒の世界/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる