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zoom RSS p型とn型の話

<<   作成日時 : 2005/10/15 20:26   >>

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 半導体の発光は、塀の上に飛び乗った猫が再び地面に飛び降りるように、伝導帯の伝導電子が価電子帯に落ちるときに起こるということを前回説明しました。ところが純粋な半導体(真性半導体と言います)では伝導電子の量が多くないので、強く光らせるのは大変です。伝導電子を増やすために、高い温度に加熱したり、光を当てたりして、エネルギーを供給してやる必要があります。これでは普通の生活のなかで使える発光ダイオードにはなりません。

 伝導電子の数を増やすにはどうするかというと、半導体の分野では常套手段があります。純粋な半導体に微量の不純物を入れるという方法です。不純物というと良くないイメージがあるかも知れませんので、添加物といった方がよいかも知れません。英語では添加物を添加することをドーピングと言い、添加物のことをドーパントと言います。スポーツの世界ではドーピングも悪い意味ですが。

 説明を分かりやすくするために、4価のシリコンにドーピングする場合を例にとります。シリコンの結晶に微量の5価の添加物、例えばリン(P)をドーピングすることを考えます。図aのように周りが4価のSi原子で囲まれたなかに5価のP原子が入ると、このP原子は4つの電子を出してSi原子と手を結びあいますが、5価のP原子はもう1個価電子をもっているので、これが浮いていまいます。P原子はできるだけ周りのSi原子となじみたいという性質があるので、余った1個の電子にはつれなく、簡単にこれを離します。こうしてP原子1個について1個の伝導電子が生まれることになります。

 このように負の電荷をもった電子が多い半導体を負(ネガティブ)の頭文字nをとってn型の半導体と呼びます。4価の元素からなる半導体の場合は5価の添加物を入れますが、GaAsなどのV−V族半導体の場合は、6価の元素(例えばセレン)を添加物として入れると同じことが起きます。このようなn型の半導体を作るために添加される添加原子を電子を出すという意味でドナーと呼びます。臓器移植で臓器を提供する人のことをドナーと言いますが、言葉は同じです。

 動きやすい電子をたくさんもったn型半導体はわかりやすいですが、p型半導体とは何でしょうか。素粒子の世界では正の電荷をもった陽電子というものがあるそうですが、固体のなかにはそういうものはありません。しかしあたかもそう見えるような場合があるのです。

 4価のSiに3価の元素、例えばホウ素(B)を加えた場合を考えます。すると今度は電子が1個不足します。そうなるとB原子はやはり周りのSiになじみたいので、どこからか1個の電子を補給してすべて埋まった状態にしようとします。もし図Bのように隣のSi原子の価電子を取り込んでしまうと、今度はそのシリコン原子の周りで電子が1個不足してしまいます。そこで困ったSi原子はまた次の隣の原子から電子を取り込むというふうに、電子が不足している穴の開いたところがつぎつぎに移動します。これは周りからみるとプラスの粒子が動いているように見えます。これをプラスの穴という意味で「正孔」(英語ではホール)と呼び、本来は実体がないのですが、正の電荷をもった粒子として扱っています。

 このように正孔が多い半導体を正(ポジティブ)の頭文字pをとってp型の半導体と呼びます。4価の元素からなる半導体の場合は3価の添加物を入れますが、GaAsなどのV−V族半導体の場合は、2価の元素(例えば亜鉛)を添加物として入れると同じことが起きます。このようなp型の半導体を作るために添加される原子を電子を受け入れるという意味でアクセプタと呼びます。

 ドナーから価電子を離すにもエネルギーは必要です。しかしそれは大変小さく、室温の熱エネルギーでも十分で、1個の電子はほとんどのドナー原子から離れてしまいます。ですから添加したドナーの数とほとんど同じ数の電子がn型半導体中には発生することになります。アクセプタの数と正孔の数についても同じことが言えます。普通、ドナーやアクセプタは1cm中に10の16乗から10の18乗個程度入れます。ものすごい数のように思えますが、1cm中のSi原子の数は10の23乗個とかいったレベルですので、これに比べるとわずが100万分の1程度の量、すなわちppm程度の濃度で入っているに過ぎません。このような微量の添加によって効果を出すので、もともとの半導体の純度はもっと高くしておかなければなりません。これも半導体技術がむずかしい理由の一つです。

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