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zoom RSS p型、n型の見分け方

<<   作成日時 : 2005/11/12 16:44   >>

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 今日の話題に入る前に前回の訂正を一つ。前回冒頭に「791特許には熱処理をするとどうしてp型ができるのかについては書かれていません。」と書きましたが、これは正しくありませんでした。[0022]から[0023]にかけて説明がされていました。内容は前回説明したのとほぼ同じです。
 さてこれからはこれまで触れてこなかった話題を791特許のなかから拾っていきます。最初は半導体のp型とn型を見分けるにはどうするのか、という話です。これは半導体を扱う技術者にとっては基本中の基本ですが、実際に測定するのは結構大変です。しかしp型のGaNができたかどうかを確認するには欠かすことができない評価方法です。

 n型半導体中には負の電荷をもった電子がたくさんあり、p型半導体中には正の電荷をもった正孔がたくさんあります。図の(a)に示すように半導体に電極をつけて電池をつなぎ、電流を流すと、n型でもp型でも電流は電池のプラス極からマイナス極に向かって流れます。電流の流れる向きは電池と半導体の電極の間のどこかに電流計を入れておけばわかります。電流の向きをみても半導体がp型かn型かは区別がつきません。電流を運んでいる粒子がプラスの電荷をもっていても、マイナスの電荷をもっていても、電流計で計る電流の向きは変わらないのです。

 実施例1〜4の終わりの部分を見ると、「ホール測定を行った結果、(中略)優れたp型特性を示した。」と書かれています。このホール測定というのが、もっとも標準的なp型、n型を見分ける方法です。ホールというのは正孔の意味のholeではなく、人名のHallです。半導体にはホール効果という現象があり、それを利用した測定方法をホール測定と呼んでいます。

 ホール効果というのはどういう現象かというと、半導体に電流を流しながら磁場をかけると電流が流れている方向と直角な方向に電圧が発生するというものです。この電圧の向きがp型とn型では反対になります。これでp型とn型の区別を付けることができるのです。

 空中を飛ぶ電子が磁石のN極とS極の間を通ると曲げられます。これを利用しているのがテレビのブラウン管(CRT)です。固体中を移動する電子または正孔も同じように磁場がかかると曲げられます。この結果、電子や正孔が偏り、それによって電圧が発生します。

 図の(b)を見て下さい。直方体の半導体を考え、各辺の方向をx、y、zとします。図の左右の面に電極を付け、電池をつないでx方向に電流を流します。手前に磁石のN極、向こう側にS極を置いてy方向に磁場をかけます。こうしたとき上下の面にも電極を付けてz方向に発生する電圧を計ります。このとき半導体中を電子が流れていると(n型の場合です)上側がマイナスになります。正孔が流れていると(p型の場合です)上側が反対にプラスになります。

 この測定からはさらに電子や正孔の量(濃度)もわかります。791特許の先ほどのところにキャリア濃度という語がありますが、これがその意味です。キャリアとは運ぶものという意味で、日本語では担体などと言われますが、電荷を運ぶもの、すなわち電子や正孔のことをひっくるめて呼ぶときに使う語です。式は書きませんが、電流と磁場と試料の大きさがわかっていると、発生した電圧の大きさからこのキャリア濃度が見積もれます。このキャリア濃度は半導体デバイスを設計するとき重要な量となります。

 同じところに抵抗率の測定結果も書かれています。抵抗率は電気抵抗のことですから、これは磁場とは関係ありません。正確に計る方法はありますが、ここではホール測定と一緒に書かれているので、x方向に流した電流の値から求めたものと思います。

 ところでここで測定しているのはGaNの結晶膜です。図のような直方体の試料は作れません。実際には膜の上に4つの電極を付けて膜面に垂直に磁場をかけて計れば、同じような測定ができることが知られています。

 測定を実際に行うためには、まずできた結晶膜の上に金属の電極を付けます。これは普通、真空蒸着法という方法を使って付けます。真空中で金属を加熱し溶かすと蒸発し、そこに試料を置いておくと薄い金属膜が積もります。4つの電極を作るにはその形の穴の開けたマスクを使って必要な部分だけに金属膜が付くようにします。電極にはリード線をつながないと電流を流したり、電圧を計ったりできませんので、細い金属線を電気を通す接着剤で付けたり、はんだ付けします。

 磁場は測定をやりやすくするためには結構強いものが必要です。手のひらに載るような磁石では弱すぎるので、大きな電磁石が使われます。半導体関係の実験室などに行くと、部屋の隅に1m四方くらいある電磁石が置かれていたりすることがあります。

 それにしても特許では2,3行で書かれていることでも実際にはこのように大変手間がかかります。しかしこのようなことは半導体技術者には当たり前のことなので、特許には詳しく書く必要がありません。その技術について通常の知識を持つ者(当業者などと呼びます)が知っていることまで詳しく説明するとどんどん長文になり読みずらくなるからです。

 p型、n型の見分け方は他にもあります。ホール測定より簡単な方法として例えば、半導体の上に金属の針を立ててそれに電流を流すと、電流の向きによって流れる電流の大きさが変わります。それを利用して見分ける方法もあります。しかしどうも確実性に欠けるようで、ホール測定が信頼の置ける方法として定着しています。

 次回はまた別の話題にいきます。

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