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zoom RSS 特許についての国際的な規則

<<   作成日時 : 2006/02/14 21:31   >>

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 前回、特許の権利は国ごとに独立、審査のやり方も国ごとに大体独立と言いました。少し例をあげてみます。

(例1)A社はX国とY国で自社製品Pについての特許権を持っています。ところがB社がX国でPと似た製品Qの販売を始めたので、A社はB社を相手どって自社の特許権を侵害していると訴えました。X国の裁判所はB社の製品QはA社の製品とは異なるので、A社の特許を侵害していないという判決を出しました。これに勢いを得たB社はY国でもQの販売を始めました。A社は諦めずにY国でもB社を訴えたところ、Y国の裁判所はB社がA社の特許権を侵害していると認め、B社に販売の差し止めを命じました。

 こういうことが起こったとしても、別にX国かY国の裁判所が判断を誤ったとは言えません。B社の製品QはA社の製品Pに似てはいても少し違ったところがあれば、両国の裁判所がそれぞれの国の法律に従って公正に判断したら違った結論になってしまう場合もあり得るのです。また国ごとに審査は独立になされるので、一つの発明を特許にしたとしても国がちがうと審査の途中で異なる補正をしたりすることもあるので、特許の権利内容が微妙にちがってくる場合もあります。このような場合、製品Pと同じものをB社が販売したとしても国によって侵害になったりならなかったりすることがあり得ます。もう一つ例を挙げます。

(例2)A社はX国とY国で自社製品Pについての特許権を持っています。ところがB社がX国とY国でPとほとんど同じ製品の販売を始めたので、A社はB社を自社の特許権を侵害しているとしてX国とY国で訴えました。B社はこれを想定し予めA社の特許が無効である証拠となる先行文献を用意していたので、これを両国の裁判所に提出し、A社の特許は無効であると主張しました。X国の裁判所はB社の主張を認め、A社の特許は無効であるからB社の侵害事実はないという判決を出しました。一方、Y国の裁判所はB社の主張を認めず、A社の特許は有効であり、B社はA社の特許権を侵害していると認め、B社に販売の差し止めを命じました。

 侵害の罪で訴えられた側は対抗策として特許権が無効であると主張することがよくあります。一旦は審査で特許として認められているわけですから、その審査には何か問題があったということになります。その問題の代表的なものは先行文献を見つけ切れなかったという場合でしょう。しかし提出された証拠が本当にその特許が無効であることの証拠になるかどうかは微妙な場合もあり、国によって判断が分かれる場合もあり得ます。

 このような判断は各国ごとに任せるというのが現在の国際的な常識になっています。しかし何をやってもよいかというとそうはいきません。自国民にだけ簡単に特許を与え、外国から出願される特許については非常に厳しくするといったようなことが当たり前になってしまうと自国でしか特許の恩恵に与れなくなり、国際的な取引きがしにくくなってしまいます。このようなことを防ぎ、最低限の国際ルールを定めようとするのが国際条約です。知的財産権の世界ではパリ条約という基本となる条約があります。明治時代の1883年に早くも結ばれ、現在も有効です。

 このパリ条約ではどんなことが決められているでしょうか。実はこれまでに説明してきたことは大体、この条約に定められています。

 第2条には「同盟国の国民は、内国民に課される条件及び手続に従う限り、内国民と同一の保護を受け、かつ、自己の権利の侵害に対し内国民と同一の法律上の救済を与えられる。」と規定されています。この条約では加盟する国のことを同盟国と呼んでいます。内国民とは自国のことで、外国の国民も自国の国民と同一の保護を受けられるようにしなければならないということを言っています。

 また4条の2には「同盟国の国民が各同盟国において出願した特許は、他の国(同盟国であるかどうかを問わない。)において同一の発明について取得した特許から独立したものとする。」と規定され、同一の発明についての特許でも国ごとに独立であると言っています。
 
 そしてパリ条約にはもう一つ重要な規定があります。これが優先権です。今まで敢えて触れませんでしたが、ある発明を日本で特許出願し、外国でも出願したい場合にどうしたらよいでしょうか。自国に比べると外国は言語も違うし距離も遠いので、どうしても出願はやっかいになります。パリ条約第2条に従って同盟各国はその国に出願すれば自国民と同じ扱いをしてくれるはずですが、出願をするまでの作業も大変なわけです。そこでこれもできるだけ不利にならないように配慮して考えられたのが優先権です。

 次回には青色発光ダイオードの特許の例に戻ってこの優先権について説明します。

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