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zoom RSS 静電容量の話

<<   作成日時 : 2006/04/29 21:20   >>

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 突然なぜ静電容量なの?と思われた方もあるかも知れません。でも何を言い出すかお分かりの方も多いでしょう。前回、MOSFETはゲート電圧でチャンネルの状態をコントロールしていると説明しました。このゲート電圧はゲート酸化膜を介して反対側の半導体に影響を与えます。でも酸化膜は絶縁体ですから電流が流れません。どのような原理でゲート電圧がチャンネルのある半導体側に作用するのでしょうか。ここで静電容量が出てきます。画像

 金属板を2枚向かい合わせにしてこれに図Aのように電池をつなぐとどういうことが起こるでしょうか。電池のプラス、マイナスの極性によって2枚の金属板には同じ量のプラスとマイナスの電荷が貯まります。この電荷の量はかけた電圧に比例します。つまり大きな電圧をかければたくさんの電荷が貯まります。どのくらいの電圧をかけたらどのくらいの電荷がたまるかの程度を表す量が静電容量です。そしてこの金属板を2枚向かい合わせた物をコンデンサまたはキャパシタと呼びます。

 この静電容量は金属板の面積に比例して大きくなります。また2枚の金属板が近づけば近づくほど大きくなります。また図Bのように2つの金属板の間に何か絶縁体を挟むと間が空気だったときに比べて静電容量は大きくなります。間に挟むものは紙とかプラスチックとか、あるいは液体の油など電気を通さないものなら何でもよいです。電気を通さない物のことを絶縁体と言いますが、静電容量などについてのときは誘電体という語を使います。誘電体を挟んだとき、間が空気(正確に言うと真空)だったときに比べて静電容量が何倍大きくなるかを表す量が誘電率です。

 静電容量はどうやって測定するのでしょうか。電荷の貯まっていないコンデンサに電池をつなぐと電荷がコンデンサに流れ込むときに電流が流れます。これを計ればいいように思えますが、この電荷の流れ込む時間はあっという間なので測定は簡単ではありません。普通は交流を使って測定します。交流電源(例えば家庭用のコンセントからとれる)は電圧が決まった周期で交互に入れ替わっています。これをコンデンサにつなぐと、電極にはある時、プラスの電荷が貯まり、つぎにマイナスの電荷に変わり、またプラスの電荷に変わるという繰り返しが起きます。このため、電荷が2枚の金属板の間の誘電体のなかを通して流れることはないのですが、金属板と交流電源をつないでいる線にはいつも方向が交互に入れ替わる交流電流が流れ続けることになります。この交流電流の大きさを測定することによって静電容量が測定できます。

 さて話を元に戻してMOSFETでは半導体(Si)の上に酸化膜があり、その上にゲート電極があります。ですからここにできているのは、2枚の金属板が向かい合ったコンデンサではなく、誘電体が金属と半導体で挟まれたちょっと普通のコンデンサとは違ったものになります(図C)。いま半導体がp型であるとして、このコンデンサに電圧をかけたときどうなるかを考えてみます。半導体には普通、直接電線をつなげられないので、半導体の裏側には金属の電極をつけます。

 まず、金属電極側にマイナス、半導体側にプラスの電圧をかけてみます。電極にはマイナスの電荷が貯まります。p型半導体中にはプラスの電荷をもつ正孔がたくさんいますので、金属電極のマイナス電荷と同じ量のプラス電荷に相当する正孔が誘電体と半導体の境目(界面)付近に寄ってくることになります。この場合は2枚の金属電極が向かい合った普通のコンデンサとほとんど同じような状態になり、静電容量も誘電体膜を金属電極で挟んだものと同じ値になります。この正孔がたくさんいる部分のことを蓄積領域(蓄積層)と呼びます。

 電圧の向きを反対にするとどうなるでしょうか。金属電極にプラスの電荷が貯まるので、半導体と酸化膜の界面近くに正孔はいられなくなります。でもp型半導体中には電子はあまりいないので、電子は寄ってきません。だいぶ前に説明しましたが、p型半導体のなかには正孔を生み出すアクセプタという添加物が入っています。このアクセプタは正孔を離すとマイナスの電荷をもちます。このマイナスの電荷と金属電極のプラス電荷が同じ量になるようにつりあいます。

 ところがこのアクセプタは半導体のなかに添加された原子ですから自由に動けるわけではありません。このため電圧を少し大きくするように変えると、金属電極のプラス電荷はそれに従って増えるので、半導体側のマイナス電荷をこれにつりあうように増やすには正孔をさらに遠くに追いやってしまうしかありません。半導体中でこのように正孔も電子もいない領域のことを空乏領域(空乏層)と呼びます。この空乏領域の厚みがかける電圧によって変化することになります。

 この空乏領域には電子も正孔もいないので、これはほとんど絶縁体(誘電体)と同じになります。ということは誘電体膜と空乏領域が隣り合っていることになるのでコンデンサの金属板間の距離が大きくなったことに相当し、静電容量は小さくなることになります。

 電圧をプラスにどんどん大きくしていくと空乏領域が広がっていきますが、どこまでも限りなくいくかというとそんなことはありません。あるところまでいくと界面付近に電子が集まってくるようになります。これはp型半導体と言えども電子がまったくいないわけではなく、空乏領域の幅が大きくなると界面付近に電子を引き寄せられるようになるためです。p型なのにn型のような状態が界面付近にできるので、ここのことを反転領域(反転層)と呼びます。この反転領域ができると空乏領域の影響はなくなって静電容量はもとの誘電体膜を金属電極で挟んだときの大きさに戻ります。

 実はMOSFETではこの反転領域をチャンネルとして使っています。蓄積領域を使ってもよさそうに思えますが、ゲート電圧によるコントロールは反転領域の方がやりやすいのです。

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