石くれと砂粒の世界

アクセスカウンタ

zoom RSS ソース−ドレイン間電流

<<   作成日時 : 2006/05/06 13:05   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

 MOSFETではソース−ドレイン間を流れる電流をゲート電圧によってコントロールします。ゲートには酸化膜があるので電圧をかけるとコンデンサの原理でソースとドレインの間の部分の半導体の状態を変えていることは前回、説明しました。それではソース−ドレイン間に流れる電流はどのような特性をもっているでしょうか。画像

 最初に取り上げた各特許にはソース−ドレイン間を流れる電流の特性が載っています。ここでは日本特許の特公昭41−3418(以下418特許と言います)の第11図を見てみましょう。これが典型的なソース−ドレイン間の電圧に対する電流の特性です。横軸はソース−ドレイン間にかけた電圧で、縦軸がソースからドレインに向かって外部回路を流る電流で、簡単のためにドレイン電流と言います。ゲート電圧(ゲート電極とソース電極またはバックゲート電極の間にかけた電圧)をいろいろ変えたときの特性が描かれています。ソース−ドレイン間電圧を増やしていくと最初、ドレイン電流は増えますが、やがてほとんど一定になってしまいます。

 ところで先に紹介した2件のアメリカ特許(3,056,888と3,102,230)のFig.2にも同じ特性が載っていますが、418特許の第11図とはだいぶ感じがちがいます。230特許のFig.2と418特許の第11図は似ているように見えますが、縦軸と横軸が逆です。電流がほぼ一定になる領域は描かれていません。また418特許にはMOSFETの不安定な特性を安定させるための処理方法が中心に書かれています。現在ではこのような問題はなくなっていますが、初期の頃には大きな問題であったのです。教科書と言っておきながら言い訳ですが、このように開発初期の特許には後からみると教科書としてはおかしいことも多いのですが、それは試行錯誤がされている最中のことですので仕方のないことです。

 さて話を戻して、ソース−ドレイン間電流がどうして第11図のようになるのかを考えます。p型Si基板を使ったMOSFETのゲートにプラスの電圧をかけると、酸化膜と半導体の界面には電子が貯まり、反転層(nチャンネル)が形成されることは前回説明した通りです。この状態で図Aのようにドレインがプラス、ソースがマイナスになるようにソース−ドレイン間に電圧をかけると反転層の電子はソースからドレインに向かって流れます。ゲート電圧をプラス方向に増やしていくと貯まる電子の量も増えますから、電流は大きくなります。画像

 あるゲート電圧で一定量の電子がチャンネルを作っているだけなら、ソース−ドレイン間の電圧を増やすと電流もそれに比例して増えていくはずです。電圧が小さい範囲で電流がほぼ直線的に増加している領域がこれに当たります。ソース−ドレイン間電圧を大きくしていくとなぜ電流が増えなくなってしまうのでしょうか。ソースとドレインの電極部分はその部分だけn型に変えられています。つまりp型基板との間にpn接合ができています。

 ソースにマイナス、ドレインにプラスの電圧がかかっていると、ソース側では電子が流れ込みやすくなっていますが、ドレイン側からは電子が流れ込みにくくなっています。前回、酸化膜と半導体の界面にできる空乏層の話をしましたが、pn接合に逆方向の電圧をかけた場合もその境界部分には電子も正孔もいない空乏領域ができます。この空乏領域は電圧が大きくなるほど広がります。ドレイン周辺にできる空乏領域は電圧が大きくなってくると広がってやがてチャンネルにある電子も追い出すようになります。つまりドレイン付近では図Bに示すように反転層が途切れてしまうのです。

 チャンネルが途切れると電流は流れなくなってしまうのかと思いますが、そうはなりません。ドレインは大きなプラスの電圧がかかっていますので、電子を引き寄せるはたらきはもっています。ソース側に残っているチャンネルから電子が空乏領域に入れば、強い電界に引かれてドレインに流れ込みます。チャンネルがつながっているときは電圧を大きくしてソースから供給する電子を多くすればそれがそのままドレイン側に押し出されるので、流れる電流が電圧とともに大きくなりましたが、チャンネルが切れてしまうと状況が変わります。ソース側に貯まっている電子が空乏領域に流れ込む量は電圧を大きくしてもあまり変わりません。つまり電圧が増えても電流は増えなくなります。

 以上がなぜソース−ドレイン間の電流が第11図のようになるかの説明です。MOSFETはゲートの方はコンデンサに貯まる電荷の話で、ソース−ドレインの方はnpn接合の話になり、これが組み合わさっているのです。この辺が少しわかりにくいですね。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 2
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
ソース−ドレイン間電流 石くれと砂粒の世界/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる