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<<   作成日時 : 2006/09/10 19:34   >>

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 前回より半導体メモリーの話に入りましたが、今回はその代表格のDRAMの話です。
DRAMとはDinamic Random Access Memoryのことで、前回の分類で言えば、揮発性、書き換え可能、ランダムアクセスのメモリーです。

 例によって特許を見てみましょう。DRAMを初めて量産したのはインテル社です。1970年代後半のことです。そこでインテル社の特許を探してみました。特許電子図書館では、古い時代の特許では出願人名で検索できませんが、esp@ce.netなら可能です。しかし年代の指定はできないという難点があります。IPCを特許電子図書館のパテントマップガイダンスで調べてみます。デジタル記憶装置の記憶素子はG11C11/00に分類されています。メモリーだから憶えやすいコードになっているのでしょうか(これは冗談です)。下位の分類を見ていくと、11/34が半導体装置を用いるもの、11/40がトランジスタを用いるもので、さらに11/404がMOSトランジスタを用いるものになっています。

 IPCをG11C11/404、ApplicantをIntelにし、とりあえず米国特許だけを見ることにして、Publication Noの欄にUSと入れて検索してみました。10数件しかヒットしませんが、そのなかにUS4012757というのが見つかりました。これには対応する日本出願、特開昭51-137339があり、日本でも特許になっています(特許1099021号)。この公開特許公報の4ページの一番最初に1968年に許可されたアメリカ特許3387286号が引用されています。これはIBM社の特許ですが、DRAMのアイデアはすでに1960年代にはあったことになります。

 同じIPCでも欧米と日本では多少分類について考え方がちがうことがあります。このメモリーの検索でもそれを感じましたのでちょっと脇道にそれますが、メモしておきます。まず特許電子図書館のIPC検索でG11C11/404を入れ、ここでは公開年を指定できますので、1976年1年間にして検索したところ、ヒット件数0件となります。1975〜1979年の範囲に広げても0件で、このコードは日本では付与されていないようです。G11C11/40にすると、1976年1年で240件ほどがヒットし、この中に特開昭51-137339はありました。

 1年で200件以上あって年々件数増えているような分類では、一から探す場合にはちょっと多過ぎます。ここではその必要はないのですが、FIではどうかついでに見てみました。ところがFIの場合、G11C11/404という分類はありません。G11C11/40の下が細分されていて301がMOSセルとなっています。ところがこの分類には上記の特許は入っていませんでした。FIハンドブックの方を開いて調べてみると、どうもFIではDRAMにはG11C11/40を付与していないようです。より上位のG11C11/34は非常に細かく分けられていますが、これをずうっと下の方までみていくと352がメモリセルとなっています。さらにその下のCが「1個のトランジスタのみを含むセル」となっているので、これでFI・Fターム検索をやってみます。

 特許のみを選択し、テーマは空欄とします。公知日はここでは19760101から19761231とします。検索式はG11C11/34,352@Cと入力します。ヒット件数はわずかに2件で内1件が上記の特許でした。ここまで絞ればある程度長い期間にわたって検索してもそれほど多くの件数にはならないはずです。いずれにしてもIPCの意味は国によって少し違うようですし、IPCとFIも意味が違う場合がありますので、よく調べてから検索しないとうまく探しているものが見つからない場合がありそうです。画像

 脇道が長くなってしまいました。特開昭51-137339の第1図を使ってDRAMを説明しましょう。1つの記憶素子はMOSFET1個とコンデンサ1個からなるとても簡単な回路です。図では2×2のマトリックス状に並べられた回路が示されています。動作を説明しましょう。MOSFETがNチャンネルタイプとするとワード選択ライン(以下、ワード線と言います)10にプラス電圧をかけるとこれにゲートが繋がったメモリセル10a、10bのMOSFETはともにオンになり、ソース−ドレイン間に電流が流れます。このときソースに繋がるセンスライン(データ線とも言います)AやBにプラス電圧がかかっていると、ドレインに接続されているコンデンサ12a、12bには電荷が貯まります(充電されます)。データ線の電圧が0であれば、コンデンサの電荷は0になります(放電されます)。つまりデータ線の電圧の高低がコンデンサに記録されデータがメモリーに書き込まれることになります。

 同じようにワード線にプラス電圧をかけてMOSFETをオンにしたとき、データ線の電圧が高いか低いかを調べれば、メモリーに記憶されているデータを読み出すことができます。もちろんこのときコンデンサに貯まった電荷が逃げ出さないようにしないと、データを読み出すことによってデータが変わってしまいメモリーの役を果たさなくなってしまいます。このため読み出しのための回路の入力インピーダンスは十分高くしておかなければなりません。図にはデータ線に点線でつながったCsというコンデンサが描かれていますが、これは配線の交差部などでどうしても生じてしまう容量を示します(浮遊容量とか寄生容量とか呼ばれます)。この容量Csが大きいとMOSFETがオンになったとき記憶素子のコンデンサの電荷が移ってしまうので、この寄生容量は極力小さくする必要があります。

 DRAMではこのように記憶はコンデンサに貯める電荷によっています。MOSFETはオフになっているといってもソース−ドレイン間の抵抗は絶縁膜で仕切られているほど高くはありません。オフのまま放置しておくだけでも少しずつ電荷は放電します。さらに何度も読み出しをすれば寄生容量をまったく無くすわけにはいかないので放電はさらに進みます。そこでDRAMでは一定時間ごとにコンデンサを充電し直す再書き込み(リフレッシュ)という動作を行っています。装置を複雑にする余計な動作ですが、メモリーの記憶内容を確実に保持するためにはやむを得ません。

 同様にゲート電圧が0のときオフになるMOSFETを使ったとしても、電源がオフになったあと時間が経過すれば、コンデンサの電荷は放電します。電源がオフではリフレッシュ動作もできませんから、DRAMは揮発性のメモリーであるということになります。

 メモリーは1ビットでは何もできませんから、たくさん並べます。ワード線とデータ線を図のように縦横平行に碁盤の目のように並べ、その交点に記憶素子を設けます。ワード線(図では10、20)とデータ線(図ではA、B)に番号を付け、その交点の座標で記憶素子を指定します。この座標をメモリーの番地と言います。例えば(10,B)番地を指定するとメモリセル10bが選ばれます。

 コンピュータは、基本的にどの番地を1または0にする、ある番地が1だったらつぎはどうする、0だったらどうするといった動作を決められた手順にしたがってやっているだけです。この手順を書いてあるのがプログラムあるいはソフトウェアです。

 DRAMが半導体メモリーの代表格として君臨してきたのは、やはり単純な構成のためだったと思います。大容量のメモリーを作るのが容易でしかも低コストであったのがその理由です。次回は石ころとしてのDRAMについて説明しましょう。

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