石くれと砂粒の世界

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<<   作成日時 : 2006/10/28 23:27   >>

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 浮遊ゲートを使った不揮発性半導体メモリーについて、特許を見ながら説明してきました。繰り返しになりますが、メモリーは1個の素子だけでは1か0かの1ビットの情報しか保存できませんから、何の役にも立ちません。多数の素子を並べてはじめて多くの情報を保存できます。これは前に説明したDRAMやSRAMだけでなく、情報を読み出せるだけで後から書き込むことができないROMでも同じです。

 ROMはたくさん並べたメモリー素子(メモリーセルとも言います)に情報を決まった順序で書き込んでおき、同じ順序で読み出せば同じ情報を何度も取り出せるという装置です。情報の書き込みは製造工場などで行われ、使う人が後から書き換えることはできません。できあがったプログラムなどで改変する必要がないものを保存するのに使われます。

 さて、浮遊ゲートを使った素子はまずROMとして使われました。EPROMのEPはElectrically Programmableの略で、電気信号でプログラムできるという意味です。ここで「プログラムできる」は情報を決まった順序で書き込めるという意味ですが、それができるのは製造工場などで一般の使用者ではありません。また「電気信号で」とわざわざ断っているのは、電気信号でプラグラムできないROMもあるからです。例えば工場で必要な情報に合わせて回路を作り込んでしまうようなROMもあります。

 しかしこれはあまり便利のよいものではありません。工場で行われるにしても、やはり石としては同じものを作り、情報は後から電気信号で書き込める方が便利です。このような要求から生まれたのがEPROMです。前回説明したように情報の書き込みには電子なだれ破壊を使うので、通常の情報読み出しの場合よりも高い電圧を必要とします。また書き換えが必要な場合は、紫外線を当てて記憶情報を消去します。これらは一般のPC等に組み込まれた状態ではできません。必要な設備を持った工場などで行われます。ですからEPROMといっても使用者にとってはただのROMで「プラグラムできる」ものではありません。画像

 このEPROMはどんな回路で作られているか、また特許で見てみましょう。インテル社の米国特許US3744036号というのがあります。前回紹介した素子の特許より少し後の1971年5月の出願となっています。図はそのFig.2で、EPROMの回路を示しています。点線の楕円で囲んだ部分47がメモリーセルでこれが1か0か、つまり1ビットを記憶します。図では4つのセルしか書かれていませんが、実際には多数(最初の頃でも数万個)のセルを並べてあります。

 1個のセルは1個の普通のMOSFET48と1個の浮遊ゲート素子49からなっています。MOSFETのゲートはx1という線に接続され、ソースはy1という線に繋がれています。またMOSFETのドレインと浮遊ゲート素子のソースが繋がれ、浮遊ゲート素子のドレインは接地されています。もちろんx1,x2・・・とy1,ys・・・という多数の線が碁盤の目のようにあり、その各交点にメモリーセルが配置されます。この回路をみると以前に説明したDRAMとそっくりなことがわかります。

 動作もDRAMに似たものになりますが、説明しておきます。特許ではMOSFETはpチャンネルとして説明されていますので、ここでもそれに合わせて説明します。まず情報の書き込みの場合ですが、これは浮遊ゲートに電子を送り込む操作のことです。まずx1にマイナス電圧をかけるとpチャンネルMOSFET48がオンになります。このときy1にもマイナスにやや大きい電圧をかけるとMOSFETのソース−ドレイン間は導通状態ですから浮遊ゲート素子に電圧がかかり、電子なだれ破壊が起きれば、浮遊ゲートに電子が入ります。このためには35Vほどの電圧が必要と書かれています。

 書き込まれた情報が1か0かを読み出すには次のようにします。なお、この場合、浮遊ゲートに電子が蓄積されている場合が「0」で、電子がいない状態が「1」に相当します。同じようにx1をマイナスにしてMOSFETをオンにします。このとき浮遊ゲートに電子がいれば、これはゲートにマイナス電圧をかけたのと同じですから、浮遊ゲート素子のソース−ドレイン間も導通状態となり、y1に電圧がかけられるとMOSFETと浮遊ゲート素子のソース、ドレインを通じて電流が流れます。もし浮遊ゲートに電子が入っていないと、浮遊ゲート素子はオフ状態で、y1に電圧をかけても電流は流れません。

 DRAMでは記憶をするのがコンデンサでしたから、このように直流電流が流れるかどうか情報を読み出すことはできません。回路は似ていますがメモリーセルの動作はDRAMとは少し違っていることがわかります。

 図では浮遊ゲート素子のドレインは接地されていますが、実際にはここに電流が流れるか流れないかを検出する回路を繋ぎます。この特許のFig.4にはそれを説明する回路が載っています。各メモリーセルごとに回路を付けるのは大変なので、y1に沿って並ぶ浮遊ゲート素子のドレインを共通に接続して電流を検出する方法が採られています。

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