石くれと砂粒の世界

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zoom RSS 相変化メモリー

<<   作成日時 : 2006/12/23 23:51   >>

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 もう少しだけ半導体メモリーの話を続けます。つぎは相変化メモリーです。相変化とは何でしょうか。水は0℃を境に固体の氷になり、100℃を境に気体の水蒸気になります。これが典型的な相変化です。固体状態を固相、液体状態を液相、気体状態を気相と言い、それぞれの相が変わるのを相変化あるいは相転移と言います。

 ところで水は0℃以下に冷やしても凍らないことがあるのをご存じでしょうか。水を静かに冷やすと0℃より低温になっても液体のままであり、振動などちょっとした刺激を与えると瞬間的に凍るという現象が起こることがあります。これを過冷却現象と言いますが、相変化が起こる温度(転移点)付近では2つの相のどちらにもなれる場合があります。相変化メモリーはこれに似た現象を使ってメモリーを作ることを考えたものです。

 ただ電子デバイスでは固体と液体の相変化などは使い難いので、固体状態のなかでの相変化を利用します。固体状態のなかでの相変化にどんなものがあるかというと結晶状態と非晶質状態の間の変化とか、同じ結晶状態でも原子の並び方の違う結晶構造の変化などがあります。

 相変化を使ったメモリーは1960年代に早くもアメリカで発明され、1970年代に入って製品化されたこともあるそうです。しかし大きく発展することはありませんでした。その後、相変化は書き換え可能な光ディスク、DVD-RWに応用され、これは現在でも売られています。しかしコンピュータ用のメモリーとしてはまだ本格的な製品になるには至っていません。画像

 具体的にこれまでに開発されてきた相変化メモリーを特許で見てみましょう。初期のアメリカ特許はうまく見つかりませんでしたので、ここでは比較的最近のものを見てみます。2004年に日立製作所が出願した特開2005-260014を参照します。

 背景技術のところに大体の原理が書かれています。まず使う材料はカルコゲナイドとされています。カルコゲナイドとはY族の硫黄(S)、セレン(Se)、テルル(Te)を含む化合物のことを言いますが、変わった性質をもった物質が多いので知られています。この特許では材料については詳しく書かれていませんが、Ge-Sb-Te系など主としてTeとSb(アンチモン)を含む材料が使われています。

 この材料に電流を流して発熱させ、相変化を起こします。アモルファス(非晶質)の状態では抵抗が高く、結晶になると抵抗が下がるので、この2つの状態の違いをメモリーに使っています。図Aは上の特許に載っているメモリー動作を説明するための図面です。

 最初、材料が非晶質状態にあったとして、これに電圧をかけて電流を流すと抵抗が高い状態にありますから、図のリセット状態と書かれた特性を示します。ところがある程度電流が大きくなると、材料が加熱され急に結晶状態に変化します(単結晶になるわけではなく、多くの小さな結晶の集まりである多結晶になります)。これがスイッチングと書かれた部分で、抵抗が急に下がるので電圧が下がって電流が増加する現象が起こります。この状態でセット電流領域と書かれた範囲を電流が超えないようにして電圧を下げてくると、結晶がそのままで抵抗の低い状態が保たれます(セット状態)。

 セット電流範囲を超えて大きな電流を流すと結晶が融解して非晶質に戻ります(リセット)。すると抵抗が高くなりますので、電圧が急に増え電流は小さくなります。この状態で電圧を下げれば非晶質状態(リセット状態)が保たれます。

 図のリード電圧範囲を超えなければ、非晶質が結晶に転移したり、その逆が起こったりすることはないので、この範囲でどちらの状態にあるかは抵抗値を調べれば分かります。図のように抵抗の高いリセット状態を「1」とし、抵抗の低いセット状態を「0」としたメモリーができることになります。

 電流を流して情報を書き込み、抵抗値の大小を判定して情報を読み出すのは、磁気メモリーと似ていますので、MOSFETと組み合わせたメモリデバイスの構造も似ています。図Bは同じ日立社の後続の特許、特開2006-120810に載っている図面です。なおこの特許には相変化材料についてもより具体的な例が多く書かれています。

 下側にMOSFETがあり、203、204がドレイン、ソース、206がゲートです。相変化材料は212で電極210、213に挟まれていて、一方がソースに繋がっています。構造は磁気メモリーの場合とほぼ同じです。

 相変化メモリーは熱を加えて材料の状態を変化させていますので、何度も繰り返して大丈夫かという心配があります。開発のひとつの焦点がここにあり、いろいろな材料が検討され、改良されています。その他、書き込み、読み出しの速度、メモリーセルの大きさなどの半導体メモリーとして重要な因子はかなり良いレベルまで来ているようです。

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