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zoom RSS 抵抗変化型メモリー

<<   作成日時 : 2006/12/30 20:33   >>

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 半導体磁気メモリーも相変化メモリーも広い意味で抵抗値を記憶に使うメモリーです。ここで言う抵抗変化型メモリー(ReRAMとも呼ばれています)も抵抗値を記憶する点では同じですが、原理は少し違ったものです。

 材料は金属酸化物で、これの薄膜に電圧パルスを加えただけで抵抗値が大きく変わるという性質を利用します。パルスは幅が100ns以下、電圧は数V程度でよく、抵抗は10倍以上変わりますので、比較的容易に高速のメモリを実現できるのではないかと注目されています。このような現象は古くから知られていましたが、現在でもどういう理由で抵抗値が大きく変化するのか、いまひとつはっきりしていません。

 同じ材料でも研究者によって実験データが異なることもあり、なかなか何が原因か特定できませんでしたが、相変化と違って、この現象はその物質固有のものではなさそうです。何か不純物が入っているためとか、薄膜中に電流が流れやすい通路ができるとかいった説があります。

 そんななかで最近、安定した抵抗変化を示す材料が見つかってきてメモリーへの応用開発が進んできました。アメリカのヒューストン大学で見つけられた材料をシャープ社(アメリカ法人)がメモリーに応用した例がもっとも早い報告のようです。関係した特許がありますので、紹介しておきます。シャープ社が2002年に出願した特開2004−158804です。

 この特許で先行技術文献として引用されているアメリカ特許6204139号はヒューストン大の特許です。このヒューストン大で見いだされた材料はペロブスカイト構造のマンガン酸化物です。ペロブスカイト構造というのはRMOという形の2種類の金属RとMの酸化物 などで見られる結晶構造のことです。立方体の各頂点に金属Rがあり、その中心に金属Mがあります。酸素は金属Mを 中心として立方体の中に8面体を作るように並んでいます。相転移を起こしやすい構造としてよく知られています。画像

 特開2004−158804に戻ると、使われている材料はPr0.7Ca0.3MnO3などです。Mがマンガン(Mn)に当たり、Rはプラセオジウム(Pr)とカルシウム(Ca)が7:3の割合で混ざったものです。図Aはこの材料の抵抗変化を示したものです。2.9Vで幅17nsという短いパルス電圧を極性を交互に変えてかけたときの特性です。パルス電圧の極性を変えるごとに抵抗値が2桁以上も大きく変わっています。このそれぞれの抵抗値は電圧を切り離しても変わらないので不揮発性メモリーになります。

 この抵抗素子を図BのようにMOSFETのソース−ドレイン回路にいれてやればFeRAMやMRAMと同様にメモリセルができます。低い電圧であれば抵抗変化は起きないので、抵抗値がどちらの状態にあるか判別する(情報を読み出す)ことができます。

 韓国の三星電子社が出願した特開2004−363604によれば、NiO、TiOなど単純な金属酸化物でも抵抗変化が起こるとされています。ただ抵抗変化はパルス電圧の極性反転ではなく、同極性のパルス電圧の大小関係によって変化するとされていて、動作のさせ方が少し違います。

 ReRAMはまだ開発が始まったばかりの新しい半導体メモリと言え、実用化のためには解決しなければならない課題も残されています。以上、紹介したように何かの特性が2つ(あるいはそれ以上)の値をとり、それが電源を切っても保存されるなら、これをMOSFETと組み合わせることによってメモリー素子ができる可能性があります。ここで紹介したもの以外の原理を使ったメモリも提案されていますし、これから現れるかもしれません。メモリーはバラエティに富んだ面白い分野です。

 以上で半導体メモリーの話は終わりにします。最後に特許を調べる際の分類コード(FI)をまとめておきます。メモリーは分類がかなり進んでいる分野と言えます。半導体集積回路のうち、同じ素子を多数繰り返し使ったものという観点のH01L27/10に各種半導体メモリが分類されています。H01L27/10,311がDRAMです。DRAMはMOSFET1個、キャパシタ1個の組み合わせの場合は601という分類も用意されています。371はSRAMです。434はEPROMです。フラッシュメモリもここに分類されている場合が多いです。444が強誘電体メモリー(FeRAM)、447が半導体磁気メモリー(MRAM)、448が相変化メモリー(PRAM)です。これらの分類がすでに用意されています。ReRAMはさすがにまだ独立のコードはなく、上記の2つの特許には451というその他の半導体メモリというコードが付与されています。

 記憶装置という観点にはG11Cという分類が別にあり、DRAM、SRAMなどにはG11C11/34やG11C11/40が付いていることが多いようです。これらはさらに細かく分類されていて、発明の内容に合わせて分類がなされています。また集積回路というよりMOSFETの素子という観点ではH01L29/78,371が半導体不揮発性記憶装置であり、EPROMやフラッシュメモリにはこれが付与されていることもあります。

 さて年内最後の更新で半導体メモリの話を終えることができました。次回はまだMOSFET関連の話を続ける予定です。

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