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zoom RSS 電荷転送素子

<<   作成日時 : 2007/01/07 20:35   >>

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 昨年末までずっと半導体メモリーの話をしてきましたが、年明けから少し話題を変え、電荷転送素子について説明します。電荷転送素子とは聞き慣れないかもしれませんが、CCDと言えばご存じでしょう。CCDはCharge Coupled Device (電荷結合素子)の略ですが、電荷転送素子の一つです。CCDはデジタルカメラやビデオカメタの心臓部の撮像素子として使われています。デジタルカメラの広告などで何百万画素という言葉をよく聞きますが、これはこの撮像素子の画素の数を示しています。

 電荷転送素子とは電荷を転送することができるというデバイスの機能を表す言葉で、撮像素子とは静止画や動画を撮影するというデバイスの用途を表す言葉です。電荷転送素子で実際使われているのはほとんどCCDだけですし、現在のCCDの応用先は撮像素子だけですからほとんど電荷転送素子=固体撮像素子なのですが、電荷を転送する素子はCCDだけではありませんし、撮像以外に電荷転送素子が応用される可能性はもともとありました。また撮像素子は固体撮像素子に限ってもいまやCCDだけではないので、電荷転送素子=固体撮像素子は厳密に言うと正しくありません。そこでここでは電荷転送という機能をもった素子をまずは説明します。

 半導体メモリーのところで説明したように、DRAMではコンデンサ(キャパシタ)に電荷が貯まっているかいないかで情報(1か0)を記憶しました。フラッシュメモリーなど浮遊ゲートを持つ不揮発性メモリー素子でも浮遊ゲートに電荷があるかないかで情報を記憶しています。情報を記憶するためには書き込んだり、消去できたりしなければならないので、電荷を流し込んだり、吸い出したりする必要もあります。つまり電荷を貯めておくだけでなく、思いのままに動かせないとメモリー素子にはなりません。画像

 電荷の転送とは一度貯めた電荷をどこかへ動かすことで、情報を転送することを意味しますが、このような発想自体は古くからあったようです。MOSFETを使えばそれが簡単に実現できることを最初に提案したのは、オランダのフィリップス社です。1969年に早くも特許が出願され日本でも特許になりました(特公昭47−27573号)。

 この特許に書かれている素子はCCDとは少し違い(どこが違うかはCCDが出てきたときに説明します)、BBDと名付けられています。BBDとはBucket Brigade Deviceの略です。Bucket Brigadeとは辞書で調べるとバケツリレーの意味です。急いで火を消すためにはみんなで協力してバケツをリレーするというのは万国共通なのでしょう。デバイスとしては電荷を次々に受け渡していくことを示そうとした命名で、なかなかいい名前だと思います。

 図AがBBDの素子構造を示す断面図です。特許図面には配線は描かれていませんが、わかりやすくするために付け加えました。n型Si基板50の表面に一列に多数のp領域51を設けてあります。その上をSiO膜52が覆い、その上にゲート電極52が設けられています。56で示された部分がMOSFETのチャンネルができる部分です。p領域は隣合うドレインとソースが切れ目なく続いていることになります。なおp領域にはソースとドレインに当たる電極を設ける必要はなく、ゲート電極52は普通のMOSFETと違ってドレイン領域の上まで覆うようにしてあります。

 電極は交互に接続されていて、隣の電極は異なる電位にできますが、1つおきの電極はいつも同電位になります。今、VaとVbを等しくマイナスの電位にすると、基板表面の電位は図Bのようになります。MOSFETで言えばソースとドレイン間にチャンネルができて正孔が貯まります。今すべてのチャンネル領域に正孔がいるのではなく、左端の1つにだけいるとします。

 つぎにVaとVbを切り換えて、Vbをより大きなマイナスにし、Va>Vbとなるようにします。すると電位は図Cのようになって正孔は隣のチャンネルに流れ込みます。その後Va=Vbに戻すと、図Dのように電荷(正孔)は隣に移っています。つぎに今度はVa<Vbにすると電荷は図Eのようにさらに隣へ移ります。電極がドレイン側にだけ延びた非対称な形になっているので、電荷は元へ戻るようなことはなく、右側へ移ります。このような電圧のかけ方を繰り返すことによって、電荷は次々に右側へ転送されていくことになります。これがBBDの電荷転送の原理です。

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