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zoom RSS CMOSの固体撮像素子への応用

<<   作成日時 : 2007/01/28 19:02   >>

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 最近、ビデオカメラのテレビコマーシャルに「CMOSセンサーだから・・・」というコピーが使われていました。固体撮像素子としてはこれまでCCDが中心的な存在でしたが、最近は携帯電話用のカメラやデジタルカメラなどの撮像素子にCMOSイメージセンサーが多く使われるようになっています。

 CMOSというのは以前に説明した相補型MOSFETのことです。nチャンネルとpチャンネルのMOSFETを対にして使い、MOSFETを単独で使うより消費電力を大幅に減らすことができるのが特徴です。この消費電力が少ないという特徴が電池で動く携帯用の機器には向いているのです。CCDは電荷を転送するのに複数の電圧の電源が必要で、消費電力が結構大きいのです。画像

 それではCMOSをどのようにして撮像素子として使うのでしょうか。図Aを見て下さい。どこかで見たような回路ではありませんか。そうですね。DRAMなどのメモリーで使われている縦横2次元にMOSFETを並べた回路とよく似ています。

 さて、図を見るとDRAMでコンデンサが繋がっていたところ(MOSFETのドレイン)に受光素子1(図は2×2部分が示され、受光素子には11〜22の添字が付けられています)が繋がっています。この受光素子の原理はCCDの場合と同じです。半導体に光が当たって吸収されると電子と正孔の対ができ、その電子か正孔が電流となって、光が電気に変わります。受光素子1とスイッチのMOSFET2が繋げられこれがセルを構成しています。撮像素子では画素と言った方が良いかも知れません。CMOSイメージセンサーといってもCMOS自身が光を検知するわけではなく、CMOSはスイッチとしてはたらいています。

 MOSFET2のゲートはセルスイッチ線3に繋がっています。またMOSFET2のソースには垂直信号線4が繋げられています。この垂直信号線4の先にはMOSFET5によるスイッチがあり、このMOSFET5のゲートはゲート信号線6に繋がっています。
両方のMOSFETがnチャンネル型としますと、セルスイッチ線3の電圧V1をプラス電圧にし、垂直信号線6の電圧H1もプラスにすると、両方のMOSFETがオンになって受光素子111の情報だけが、画像信号出力端子7に出てきます。V1をそのままにし、H1を0に戻してH2をプラスにすれば、今度は受光素子112の情報が出力されます。このようにつぎつぎと各端子の電圧を切り換えれば、各画素の情報が電気信号として得られます。

 このような考え方はむしろ普通で、CCDのように特別な構造の素子で、電荷を転送するやり方は大変巧妙ですが、むしろ特殊と言えます。このような普通のやり方がなぜあまり使われなかったかと言うと、理由は肝心の光を受光する感度があまり高くなかったことと、雑音が多いので、弱い光をうまく撮像できなかったことが原因です。また2個のMOSFETを対にして使うので、素子の面積が大きくなってしまい、これを小さくするためにはトランジスタを小さく作る高度な技術が必要だったことも原因です。

 なお図Aは特開昭62−59472から採りました。この特許は放射線のある環境にも強いという理由で単独のMOSFETの代わりにCMOSを使うという趣旨で書かれています。図Aの各MOSFETをCMOSで置き換えた図面が掲載されていますが、複雑で見にくいのでここではMOSFETを単独で使用した図を載せました。

 CMOSイメージセンサーの問題点だった感度、雑音の問題を改良するいろいろな努力がなされてきました。その一つが能動画素センサー(APS)というものです。その典型的な回路を図Bに示します。上記のCMOSセンサーは受光素子で光を電流に変換し、それをそのまま出力します。CMOSはスイッチとしてはたらいているだけです。APSでは各セルで受光素子に電荷を貯めるようにし、その電荷量を正確に検出するようにしました。例えある一瞬ノイズが入っても貯まる電荷量にはあまり影響が出ません。

 Q7のMOSFETはリセット用です。最初にこれをオンにして受光素子PD1に貯まった電荷をリセットします。光を受光している間はQ7はオフにします。受光素子PD1はpn接合ですので、逆バイアス状態では導通せずコンデンサになり、光によって発生した電荷を自分で貯めます。受光素子PD1は右側のMOSFETQ5のゲートにも繋がっていますが、ゲートから電流が流れることはありませんから、電荷はQ5側に流れることはありません。

 一定時間後、もう一つのMOSFET:Q6をオンにするとQ5のゲート電圧、すなわち受光素子に貯まった電荷量に従って2つのMOSFET:Q5、Q6のソース−ドレイン回路に電流が流れます。これで当たった光の強度が電流に変換されます。

 しかしこの回路にはMOSFETが3個も使われています。各トランジスタをCMOSで置き換えるとさらに倍のトランジスタが必要になります。小さな画素の面積内にこのような回路を押し込めるためにはトランジスタを小さくしなければなりません。図Bは特開平11−261895からとりましたが、この回路は従来技術として示されており、この特許ではさらにトランジスタを2個に減らす回路が示されています。

 CMOSは論理回路として集積化の技術がどんどん進んできました。同じ技術がイメージセンサにも使えるので、上記のような感度やノイズの問題解決が進むに連れ1990年代後半辺りからCCDの置き換えが進んできています。以上で固体撮像素子の話は終わりです。

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