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<<   作成日時 : 2007/03/11 20:29   >>

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 TFTの用途はというとほとんどディスプレイ用といってよいと思われます。それも液晶ディスプレイ用です。液晶ディスプレイになぜTFTが使われるのでしょうか。液晶ディスプレイは別に画素ごとにトランジスタのようなスイッチ素子を設けなくても画像を表示できます。たくさんの画素を碁盤の目のように並べ(マトリックス状に並べると言います)、各画素のところで交差するように縦横の電極で液晶セルをはさんだだけの構造でも表示はできます。この方式を単純マトリックス方式と呼び、例えばモノクロの数字を表示するだけでよいような液晶ディスプレイに多く使われています。

 ところがパソコンやテレビのカラー画面では画像をできるだけくっきりと鮮やかに表示する必要があり、また動画では早い動きも表示できなければなりません。詳しい理由は省略しますが、単純マトリックス方式ではこのような要求には充分応えられません。そこで考え出されたのが、一つ一つの画素にスイッチ素子を設けるやり方です。これをアクティブマトリックス方式と言います。スイッチ素子はトランジスタに限らず他のデバイスでもよいのですが、現在ではほとんど電界効果トランジスタが使われています。

 しかもこの電界効果トランジスタには薄膜トランジスタ(TFT)です。この理由はガラス基板の上にトランジスタを作る必要があり、シリコン基板上に作られるMOSFETが使えないためです。液晶は光の性質を変えるはたらきをするだけで、自分で光るわけではありません。このためディスプレイの裏側から光を当て、それがどうなるかを表側で見ることになります。ですから間に光を通さない物があっては困るのです。

 薄型テレビには液晶ディスプレイのほかにプラズマディスプレイも使われていますが、このプラズマディスプレイは液晶とちがって自分で発光します。でも多数の画素のどれを光らせ、どれを光らせないか切り換えてやらなければ画像の表示はできませんから、画素ごとにスイッチは必要です。しかし液晶ディスプレイのようにパネルが光を通す必要はないので、透明なガラス基板上にトランジスタを作りつける必要はないのです。画像

 さてここでまた特許を使ってアクティブマトリックス方式のディスプレイについて説明しましょう。アクティブマトリックス方式を最初に提案したのはアメリカのRCA社のLechnerという人のグループとされています。アメリカ特許3532813号などがこの発明を最初に提案しているようです。この特許は1967年に出願されていますが、日本出願はありません。TFTもこれより前にRCA社から最初に提案されていますから、同社はこの時期、非常に重要な研究をやっていたと言えます。しかし同社はこの研究開発を継続しなかったようです。

 液晶ディスプレイ関係の特許のFIはG02F1/13に分類されています。アクティブマトリックスについてはG02F1/133,550という分類コードがあります。デバイスとしてのTFTはH01L29/78,611に分類されますが、ここにも応用としてアクティブマトリックス関係の特許が一部入っています。G02F1/133,550に一番先に分類されている日本特許は、アメリカのウェスティングハウス社の特公昭54-18886号です。アメリカでの最初の出願は1972年となっています。この特許にはTFTを使ったアクティブマトリックス方式の液晶ディスプレイについて基本的なことがすでに書かれています。もちろんこの時代にはまだアモルファスシリコンが使えることはわかっていないので、TFTはCdSeなどを使った例が記されているだけです。

 図Aは特許の図面で液晶ディスプレイの分解図です。22が液晶層で、ガラス板に挟まれていますが、表側のガラス板には電極16が付いています。この電極は透明でなければなりません。裏側には画素ごとにやはり透明な電極30が設けられます。図ではわかりにくいですが、各画素にTFT26が作りつけられています。さらにその裏側に面状の光源(現在ではバックライトと呼ばれます)46が置かれています。

 動作は図Bの方で説明されます。真ん中辺りに液晶分子22が模式的に描かれています。液晶はその名の通り液体状の物質です。でも同じ液体の水やアルコールなどと違うのは分子がいつも決まった向きに並ぶ性質をもっていることです。液体の結晶、液晶と呼ばれているのはこのためです。図では上側の電極16と下側の電極24の表面に矢印が描かれていますが、これは電極の表面に矢印の方向に細かい溝が作られていることを示します。現在ではこれを配向膜などと呼びますが、液晶は近くにこのようなものがあると、それに影響されてその向きに並ぶ性質があります。電極16と24を、この溝の方向が90度違うように置いておくと、液晶は図の左側のようにねじれたような並び方をします。ところが右側のように電極の間に電圧をかけると、液晶の並び方は溝の方向と関係なく一方向に揃うように変わります。

 このように分子の並び方が変わっても普通の光の通り方はそれほど大きく変わりません。ところが光の偏光という性質を使うと両者の差がはっきりします。光は波で振動しているわけですが、その振動する方向が揃った光を偏光した光と言います。これでは何を言っているのかわからないと思いますが、ここでは脇道にそれることになるので、これ以上の説明はしません。この偏光は普通の光を偏光板34に通すことによって作られます。この偏光を液晶に通し、もう一度表側に置いた偏光板14に通すと、電圧をかけた液晶を通ってきた光だけが表側に出てきます。今この文章を液晶ディスプレイで見られているとすると、黒い文字の部分の画素には電圧をかけず、下地の白い部分の画素にだけ電圧をかけていることになります。もっとも電圧のかけ方は製品によっては逆の場合もあります。

 一番下に描かれている小さな矩形38、40、42はカラーフィルタです。液晶は色については何の作用もしませんので、光源の光をカラーフィルタで赤(R)、緑(G)、青(B)の三原色に分け、それぞれの色について液晶をコントロールしてカラー表示をします。今の画面の下地のように白色の場合はRGBとも光が通るようにコントロールするわけです。

 さてTFTはこの図では電極24に付けられ、各画素にかかる電圧をオン、オフしているのですが、具体的なことは描かれていないのでわからないはずです。それを次回に説明します。

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