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zoom RSS 低温ポリシリコンTFT

<<   作成日時 : 2007/03/25 12:13   >>

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 ガラス基板上に粒径の大きいポリシリコン(p−Si)膜を低温で作る方法を紹介しましたが、実際には少しずつ違ういろいろな方法が開発されています。微妙なノウハウなど公表されていない場合も多いと思われます。しかしまだアモルファスシリコン(a−Si)膜のように大きな面積にわたる膜をつくるのは難しいようです。それでもa−Siの弱点をカバーできるので、比較的小さい液晶パネルにはp−SiのTFTが使われるようになっています。画像

 さてTFTですが、原理的にはa−Si・TFTと変わりません。しかしa−Siとp−Siとでは膜の作り方が違いますので、トランジスタの構造もちがってきます。図は前回紹介した特許3357707号に示されているTFTの断面構造です。a−Si・TFTでもっともよく使われている逆スタガ型ではありません。

 ガラス基板10の上に網がけで示されたp−Si層11が形成されています。その両端がソース、ドレイン領域になっていて、上にはゲート絶縁膜12、ゲート電極13が積層されています。ソース、ドレイン領域には不純物ドープも行われますので、結晶シリコンのMOSFETにかなり近い構造です。このようにソース、ドレイン領域がチャンネルと同じ平面上にある構造をコプレーナ型と呼んでいます。英語の綴りは”coplanar”で、同一平面上にあるという意味です。

 逆スタガでなくコプレーナ型が選ばれる理由がp−Si膜の作り方に関係していることは容易に理解できると思います。ここでのp−Si膜はa−Si膜にレーザ光を照射して再結晶化させて作られています。逆スタガ構造ですと、ガラス基板のうえにゲート電極、ゲート絶縁膜を作ってからa−Si膜を作ります。チャンネルはゲート絶縁膜とシリコン膜の界面にできますが、レーザ照射はシリコン膜の反対側の面から行われることになり、肝心のゲート絶縁膜との界面付近まできちんと再結晶化ができるか不安が残ります。

 コプレーナ型の場合はまずガラス基板のうえにa−Si膜を作り、これにレーザ光を照射して再結晶化しますので、結晶粒ができていることを確認できます。特許にも書かれていますが、結晶粒径が数μm程度と大きくなれば、1つの結晶粒を選んでそのなかにチャンネルが入るようにすることもできます(大量生産するときにいちいちこんなことができるのかは別ですが)。1つの結晶粒のなかは単結晶とほとんど同じですから、結晶シリコンのMOSFETに近い特性のTFTが実現できることが期待されます。

 最初にも触れましたが、ガラス基板が使える低温で、p−Si膜が作れるようにはなりましたが、なかなか大きな面積にするのは難しいようで、応用はまず比較的小さな画面の液晶ディスプレイから始まっています。

 例えば、パソコン画面をそのまま投影できるプロジェクタが急速に普及しましたが、このうち液晶式のものにはp−Si・TFTが使われています。プロジェクタの場合、液晶パネルを3枚使ってRGBの各色の画像をそれぞれ表示し、これを光学的に重ね合わせてカラーの拡大画像をスクリーン上に投影します。この液晶パネルはせいぜい数cm角と小さいので、低温p−SiのTFTで作製するのに向いているのです。また、携帯電話の画面も基本的に小さいので、p−Si・TFTへの置き換えが進んでいるようです。

 以上で薄膜トランジスタ(TFT)の話はお終いにします。

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