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zoom RSS 半導体レーザ

<<   作成日時 : 2007/05/05 21:09   >>

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 今回から新しい話題「半導体レーザ」に入ります。まずはイントロダクションです。

 レーザ光とかレーザビームとかいう言葉はかなりよく使われていますから、この言葉にあるイメージをお持ちの方も多いと思います。一直線に進む強い光というイメージが普通でしょうか。レーザ光は太陽の光とか室内の蛍光灯が出す光とはかなりちがう感じです。どこがどう違うのかはだんだんに説明していきますが、半導体レーザはこのレーザ光を出す装置のひとつです。

 まず「レーザ」という言葉ですが、片仮名で書いて別に何とも思わないくらい定着しています。でももともと「LASER」は英語の言葉の頭文字をとった略号です。「MOSFET」などと同じです。何の略かというと、かなり難しくさっと答えられる人はそんなに多くありません。

 LASERは、”Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation”の頭文字を並べたものです。難しいですね。Light Amplificatinは「光の増幅」という意味です。つまり弱い光を強くするということです。つぎのStimulated Emissionは「誘導放出」と訳されていますが、実はこれがレーザ光を生み出す重要な現象を指しています。最後のRadiationは直訳すれば「放射」(古くは「輻射」と言われました)ですが、放射されるもの一般を指し、放射線や電磁波の意味です。LASERは要は誘導放出という現象によって光を増幅することを意味していることがわかります。

 実はレーザの前にメーザ(MASER)というものがありました。Lの替わりのMはMicrowave(マイクロ波)の略です。マイクロ波は光より波長が長い電磁波で、無線通信に使われていますが、周波数が高いので増幅するのは難しかったのです。これを誘導放出を使って増幅しようというアイデアは画期的なものであったと言えます。レーザはマイクロ波でできるならそれより波長の短い光でもできるはず、ということで生まれたものです。メーザは特殊な目的でしか使われていないので、レーザのように私達の身の回りで見かけることはまずありません。

 レーザ光を出す装置にはいろいろな種類がありますが、半導体レーザはそのなかでひときわ異彩を放っていると言って良いでしょう。どこがと言うと、小さいことがまず挙げられます。一辺が1mmにも満たないまさに砂粒のようなものです。レーザポインタという道具をご存じでしょうか。講演会で講演をする講師がスクリーンに投影した図表などを指す道具です。昔は(今でもですが)指し棒という棒で図や文字を指していましたが、棒の代わりに細いレーザ光をスクリーンに当てて赤色や緑色の光の点で説明したい場所を指し示すことができます。大きさはちょっと太い鉛筆くらいで電源コードなどつながっておらず電池で動いています。レーザ光を出す装置でこんなに小さく、しかも電池で動くものなど他にありません。

 他にレーザ光を出す装置にはどんなものがあるか、簡単にお話しておきます。世界で最初に動作したレーザはルビーレーザというものです。ルビーは赤い色をした宝石ですね。材料は酸化アルミニウム(Al)です。純粋な酸化アルミニウムは透明ですが、色がついているのは不純物が入っているからです。実はこの不純物がレーザ光を出すのに重要な役割を担っています。というか酸化アルミニウムの方はこの不純物がどこかに行ってしまわないように押さえているだけの役目と言ってもいいくらいです。

 このようなレーザを固体レーザと呼びます。このほかによく使われている固体レーザとしてはYAG(ヤグと読みます)レーザというのがあります。YAGはイットリウム・アルミニウム・ガーネットの略です。ガーネットも宝石として知られていますが、一群の同じ構造をもった酸化物結晶を意味しています。これも不純物を入れてレーザとします。

 ルビーやガーネットは絶縁体で、電流を流して発光させるわけではありませんから、同じ固体ではあっても半導体レーザとはだいぶ違います。光は外から入れ、これを増幅した光を出します。このため別の光源などが必要になりどうしても大型になってしまいます。YAGレーザはレーザ溶接など工業用を中心に使われています。

 気体レーザ(ガスレーザ)というのもあります。赤い光を出すヘリウム−ネオン・レーザというのが実験室などでよく使われています。ヘリウム(He)とネオン(Ne)というガスを混ぜて電極を付けた管のなかに閉じこめます。電極に電圧をかけると気体は放電を起こして光を出します。この光を増幅してレーザ光にします。気体レーザも多くの種類があり、赤外光から紫外光までのいろいろな波長のレーザ光が利用されています。例えば炭酸ガス(CO)を使った炭酸ガスレーザは強力な赤外光を出すので、金属板の切断など工業用に使われています。

 He−Neレーザなどはかなり小型なものがありますが、気体レーザは放電管が必要でこれを小さくするのは限度があます。また放電をさせるための電源も必要ですから、半導体レーザのように小型にすることはできません。

 このほか、液体レーザというものもあります。色素を液体に溶かしたものを使って光の増幅を行っています。この他にもいろいろ特殊な方式があり、レーザ装置は多種多様です。

 半導体レーザはこのように他のレーザ装置に比べると小型で、一般の電子回路とそれほど違わない電源があれば動作させられますから、私達の身の回りの器具に多く使われています。数として一番多いのは何かというと、光ディスク装置用でしょう。CDやDVDの装置には必ず使われています。ディスクの表面に細いレーザ光線を当て小さな穴(ピット)
があるかないかを反射光で調べ、その結果で音声や画像などの信号を作ります。情報を記録する方もレーザ光をディスクに当てて行います。

 この他、重要なのは光通信用です。インターネットに接続するため、最近は個人の家庭でも光ファイバが繋がるようになってきました。光ファイバを伝わるのは光で、この光源に使われているのが半導体レーザです。このような身近な場合だけでなく、太平洋の海底に張られアメリカまで行っている光ファイバを伝わっている光も半導体レーザから出ています。

 さてこのような半導体レーザでもレーザに共通の誘導放出が起こっていることに変わりはありません。まずはこの誘導放出についての説明から始めたいと思います。

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