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zoom RSS 発光ダイオードと半導体レーザ

<<   作成日時 : 2007/07/08 18:58   >>

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 pn接合やダブルヘテロ接合に電流を流すと、エネルギーの高い伝導帯に電子が流れ込み、エネルギーの低い価電子帯には正孔が流れ込むため、エネルギーの高い伝導帯に電子が多い状態が実現します。この状態で伝導帯と価電子帯のエネルギー差に等しい光が入射すると、これはまさに誘導放出が起きる条件を満たしています。となると発光ダイオードでも同じような状態なのになぜ自然放出だけが起きてレーザにはならないのだろうかという疑問が出てくるのではないでしょうか。

 この疑問に答えるにあたって、まず発光ダイオードでは自然放出だけが起きているのではなく誘導放出も起きていると考えなければいけません。そして大事なのは誘導放出の逆の現象の吸収も起きているということです。

 例えば接合に電流を流して伝導帯に電子を、価電子帯に正孔を詰め込んだとします。入ってくる光がなければ、やがて伝導帯の電子は価電子帯に落ち、自然放出によって光を出します。正確には光を出さずに熱になってしまうこともあるのですが、それは今は考えないことにします。いずれにしても伝導帯の電子は減ることになりますが、これは電流によって補給されます。しかし電流が少な過ぎれば電子は十分補給されないので伝導帯の電子は減ってきます。伝導帯の電子が減れば、吸収が起きやすくなります。

 これ以外に誘導放出も吸収も起きないうちに半導体の外に出て行ってしまう光もあります。発光ダイオードや半導体レーザでは外に出る光がないと利用価値がありません。このように自然放出で光が発生したのち、誘導放出が連鎖的に起きない場合もあります。というより誘導放出が持続して起きやすいように工夫してやらないとなかなか安定してレーザ光は得られません。半導体の接合に電流を流すだけでは、発光ダイオードとして動作するのがむしろ普通で、半導体レーザにするには特別な工夫が必要です。

 半導体レーザを実現するためには、まず電流を十分流して伝導帯から失われる電子を補給する必要があります。また光増幅を十分起こすために光をあっさり外に出さずにできるだけ半導体内に留まるようにしてやる必要があります。これには他のレーザ同様、光共振器が用いられます。画像

 図は半導体レーザに電流を流したときにどれくらい光が出てくるかを示した典型的なグラフです。I−L特性などと呼ばれます。電流が小さいうちは光は弱く電流を増やしてもあまり強くなりません。ところがある電流値を越えると、光は急に強くなり電流を増やすとさらに急激に強くなっていきます。この境目の電流値をしきい電流と呼びますが、電流がしきい電流以下のときは自然放出が主に起こっていて、電流がしきい電流を越えると誘導放出が主流になりレーザ光が発生します。つまりこのしきい電流以上の電流を流さないと誘導放出を持続できないということです。

 もう少し言い直せば、しきい電流より電流が小さいときは誘導放出は起こってはいますが、電子の補給が十分でないため、吸収の方が優勢で光増幅は起きず、出てくるのは自然放出による光だけです。ところがしきい電流より電流が大きくなると、吸収より誘導放出の方が優勢になります。光の一部は外に取り出されているものの、電子が伝導帯に十分補給されるので、誘導放出はそれを上回って起きます。つまり光増幅が起き強いレーザ光が発生することになります。

 特性のよい半導体レーザを作るには上記の条件になりやすいように工夫しなければなりません。電流をたくさん流さなければいけないのですが、小さな半導体の石のなかに大きな電流を流せば、熱が発生して半導体が壊れてしまいます。これがもっともやっかいな問題で、これをうまく解決したのが現在の半導体レーザであるとも言えます。次回から少し具体的な素子を取り上げていきます。

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