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zoom RSS 半導体レーザの初動作(その2)

<<   作成日時 : 2007/09/09 19:17   >>

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 前回、初めて動作した半導体レーザに関するIBM社の日本特許を見ました。今回はその続きで、GE社の特許を少し読んでみましょう。1962年にアメリカの4つの研究機関が半導体レーザの動作を確認し、発表しましたが、その中ではGE社がもっとも早かったようです。

 前回も触れましたが、この最初の半導体レーザに関するGE社の特許は日本には出願されていませんので、アメリカ特許3245002号を見ます。GE社の半導体レーザ研究の中心はこの特許の発明者であるR.N.Hallという人です。

 技術的な内容はIBM社のものと共通なところがかなり多く、当時のアメリカの研究者間ではこうすればうまくいくのではないかという方針はかなり煮詰まっていたと思われます。画像

 図Aが素子の構造です。p型半導体2とn型半導体3によりpn接合4が形成されています。実際にはテルルドープのn型GaAs基板に亜鉛をドープしてpn接合が作られていますが、これはほとんどIBM社の場合と同じです。実際の接合の面積は0.4mm角です。なお、面11と12はpn接合面に垂直に互いに平行な面になるように研磨され、この2つの面が光共振器を形成しています。

 電極は5と7ですが、いずれも金属板をハンダ層6、8によって貼り付けたものです。半導体に直接接しているのはハンダ層ですが、融点の低い金属です。これを半導体表面で融かすと半導体との間で合金のような混じり合った層ができ、いわゆるオーミック電極ができます。

 この素子を77Kに冷やし電流を流して発光させます。電流は1〜10マイクロ秒の長さのパルスで(これはIBM社の場合よりかなり長いようです)、電流の大きさは1cm2あたりにすると5000〜50000アンペアです。

 図Bは電流密度と光出力の関係を示しています。I−L特性などと呼ばれます。Aの領域は光出力と電流密度は比例関係にあり、この領域は自然放出による発光が起こっています。つまり素子はLEDとして動作しています。Bの領域に入ると光出力が急に増えます。ここで誘導放出が優勢になり、素子はレーザ発振を起こします。Aの領域からBの領域に入る電流値、すなわちレーザ発振が始まる電流値のことをしきい電流とかしきい値電流と呼びます。「しきい」には「敷」という漢字がありますが、当用漢字でないからでしょうか、最近はほとんどひらがなで書かれます。この「しきい」はもともとはこの明細書にもあるように”threshold”という英語の訳語です。

 図Cは発光スペクトル、すなわち発光波長の分布を示しています。曲線Dは図BのAの領域のスペクトルですが、Bの領域に入ると曲線Eのようにスペクトルの広がりが非常に狭くなり、誘導放出が起こっていることを示します。なお、縦軸は任意軸となっていて、わかりやすいように2つの曲線のピーク値は2倍程度に描かれていますが、実際のピーク値は曲線Eの方が20倍から50倍も大きく、測定をしてみるとAの領域とBの領域での特性の違いははっきりと現れます。

 前回も触れた通り、77Kという低温でパルス電流でしか動作しないのでは、手軽に使えません。この後、半導体レーザの研究開発はいかに室温で直流電流で継続的に動作するようにするかということが最重要課題となります。次回以降どのような解決手段がとられたかについて説明していきますが、半導体レーザはその後も新しいタイプのものが開発されるたびに最初は低温でパルスでの動作から始まり、やがて室温で連続動作するものができるという順序を踏むことがよくありました。

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