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zoom RSS InP系埋め込みヘテロ構造

<<   作成日時 : 2008/01/20 18:29   >>

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 GaInAsP/InP系を用いた長波長帯(1.3μm帯や1.55μm帯)の半導体レーザではAlGaAs/GaAs系とちがって格子整合というやっかいな問題があることを説明しましたが、この問題が解決されれば、半導体レーザの構造は基本的にはAlGaAs/GaAs系と同様なものが使えます。

 例えば埋め込みヘテロ(BH)構造は特性が良く信頼性も高いので、GaAs系よりもむしろ光通信用のInP系で多用されてきました。開発が本格化し具体的にものが作られるようになったのは1980年頃からですが、特許の面からみると、GaAs系からInP系へ材料を変えただけという印象が強いためか、InP系BH構造レーザについて登録になっている特許は少ないようです。

 しかしInP系に固有の問題もあり、ここでは具体例として参考になる公開特許を見てみることにします。特開昭55-145385号は日本電気社から1979年に出願されています。この特許にはGaAs系とInP系の実施例が併記されていますが、図AはInP系BH構造レーザの断面図です。画像

 このレーザの活性層15はInPに格子整合するGa0.27In0.73As0.580.42で発光波長は1.3μmです。クラッド層12、16はn型とp型のInPです。InPは上記のGaInAsPよりバンドギャップエネルギーが大きく、屈折率は小さいので、光とキャリアを活性層に閉じ込めるはたらきをします。層13、14についてはここでは立ち入りません。両側の埋め込み層17もクラッド層と同じInP(ただしノンドープ)で形成され、電流の広がりを抑え、光も横方向に閉じ込めるはたらきをします。

 なおp型InPクラッド層16の上にGaInAsP層18がさらに形成されています。これはInP系固有の理由によるものです。p型InPに対しては接触抵抗の低い電極を形成するのが難しいという問題がありますが、GaInAsPならば抵抗の低い電極が形成できるため、この層18を設けているのです。

 図Bは特開昭56-49587号(特公昭58-26834号)の図面です。これは日立製作所から同じく1979年に出願されています。活性層13はGa0.27In0.73As0.630.37で、クラッド層12、14はともにInPです。ここでもp側電極の下にInGaAsP層が挿入されています。上記の特開昭55-145385との違いは埋め込み層が2層19、20になっている点です。上側の層20がn型InP、下側の層19がp型InPとなっています。この特許の課題は活性層に電流を流すため電極にやや大きな電圧をかけたとき、光出力が急に低下するという問題の解決です。印加電圧が大きくなると、埋め込み層側で電流が流れてしまうためとされ、埋め込み層をpn接合にして発光のための電流を流すとき逆バイアス状態になるようにして無駄な電流の流れを防いでいます。

 図Cは特開昭57-2590号の図面です。これは日本電信電話(NTT)社から1980年に出願されています。ここでは活性層2がGa0.40In0.60As0.860.14で、発光波長は1.55μmです。特徴はInP基板をp型にしていることです。これにより上側のクラッド層をn型InPとすることができ、この場合はInGaAsP層を挿入しなくてもよく、結晶層を1層省くことができるのが特徴です。埋め込み層は逆に上側5をp型にしています。埋め込み層の上側をp型にするために新たな層を成長せずp型不純物を拡散する方法をとっています。

 このようにGaInAsP/InP系でもBH構造半導体レーザを作ることができることがわかりました。もちろんリッジ構造のレーザなども作ることができます。これで光ファイバを使った光通信に必要な発光波長が1.3μmや1.55μmのレーザができることになりました。

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