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zoom RSS 発光波長と材料

<<   作成日時 : 2008/01/27 19:23   >>

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 これまでに半導体レーザに用いられる半導体の材料系としてAlGaAs/GaAs系とGaInAsP/InP系の2種類を紹介しました。AlGaAs/GaAs系の発光波長は0.8〜0.9μm程度、GaInAsP/InP系は1.3〜1.6μm程度でした。

 発光波長は活性層にする半導体のバンドギャップエネルギーで決まります。しかし半導体レーザは基板の上に結晶膜を多層に積み重ねて作ります。欠陥の少ない結晶を多層に積み重ねるためには、各結晶層の材料の格子定数(原子間距離)がほとんど一致する材料を選ばなくてはならないという制約があります。

 InP基板と格子定数が一致する材料としてGaInAsPがあることを前々回にデータを示して説明しました。今回はその他の材料について整理しておきたいと思います。画像

 図Aは前々回にGaAs、GaP、InAs、InPについて示した格子定数とバンドギャップエネルギーの関係をより広い範囲の半導体についてまとめて示したものです。全体を見渡すと、バンドギャップエネルギーの大きい材料は格子定数が小さく、逆にバンドギャップエネルギーが小さい材料は格子定数が大きい傾向があり、両者ともに大きい材料や、ともに小さい材料は見あたらないことが分かります。

 AlGaAs/GaAsより短い波長の光を出す半導体レーザは必要とされながら、なかなか実用化しませんでしたが、現在では窒化物半導体によって実現されています。図をみていただくとわかるように、GaNを中心にAlGaNやGaInNを使うことにより可視光から紫外域までかなり広い波長範囲の発光が可能です。しかしGaNはじめ、AlN、InNは他のV−X族化合物半導体より格子定数がかなり小さく、GaAsやInPなどとはまったく格子整合しません。仕方なく異種材料であるサファイアとか炭化珪素(SiC)などを基板として使っています。

 ときどきGaN基板を使ったと書かれていることもありますが、これはサファイア基板上に厚さ数μmとやや厚いGaN結晶を成長させた後、サファイア基板を除去したものです。他の材料のようにGaNのバルク結晶を成長させることはできはずです。

 この窒化物半導体ですが、GaAs基板と格子整合することができる混晶があります。これはV族としてNの他にAs(またはP)を加えて4元混晶にしたものです。図AのGaN、InNとGaAs、InAsを結んだ青線の範囲を見ると、GaAsと格子整合する赤い点線がこの範囲内を通っています。つまりGaInAsNはGaAsと格子整合できる組成をとることができます。ただしバンドギャップエネルギーを見ると赤外域になっています。同じ波長域はGaInAsPが実績をもっていますから、なにか特別な利点がないとあまり使われることはないと思われます。

 短波長用の材料として早くから期待されてきたのが、ZnSeなどのU−Y族です。これらはGaAsやInPなどのV−X族と近い格子定数をもっており、その点では窒化物系に比べて優れています。しかしp型、n型のいずれか一方ができにくいという問題などのため、実用化では窒化物系に遅れをとっています。画像

  図Aの格子定数の大きい部分を拡大し、材料の種類を増やして示したのが図Bです。まずV−X族ですが、GaInAsPの4元系混晶は先に説明したInP基板に整合する組成の他、GaAs基板に整合する組成もあることがわかります。しかしこれもすでに実績のあるAlGaAs/GaAs系とほぼ同様の波長に重なっているため、それ程多くは利用されていません。

 これよりもAlP、GaP、InPで囲まれる領域は重要です。AlGaInPというV族元素を3種類含む4元系はGaAsと格子整合し、しかもAlGaAs/GaAs系ではできない短波長の0.6μm帯の赤色発光ができる点で特徴があります。この系を利用した半導体レーザはすでに実現しています。

 一方、1.5μmよりも長い2〜3μm帯についてはAlInAsSbあるいはInAsPSbといったアンチモン(sb)を含む系で発光可能です。GaSbやInAsはバルク結晶ができることがわかっており、必要あればこれらを基板とすることができます。ただ現在のところこのような波長は特殊な目的にしか利用されないので、半導体レーザの開発もそれほど進んでいません。

 U−Y族に目を転じると、MgZnSSeという系がGaAsに格子整合することが分かります。ZnSe自体のバンドギャップが青色に相当しており、さらにMgとSを加えた4元混晶にすれば、紫外域まで発光波長が伸ばせる期待があります。なお、ZnSeなどのバルク結晶の成長は不可能ではありませんが、GaAs基板に匹敵するような良質なものはできていませんので、普通GaAs基板を使うことが多いはずです。

 図BからU−Y族はInPに整合する系もあることがわかります。MgZnSeTeやZnCdSeTeがそれです。バンドギャップからみて前者の方が短波長になります。これらも机上では興味深い特徴をもっているのが分かりますが、実際の結晶成長の研究は困難が多いようです。

 以上のように4元混晶まで考えると半導体レーザを実現する多彩な可能性が考えられますが、現在大量に使用されているのはAlGaAs/GaAs系、GaInAsP/InP系、AlGaInP/GaAs系、それにGaNを中心とする窒化物系の4種類です。

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