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zoom RSS 低しきい電流化のための方策

<<   作成日時 : 2008/02/03 16:29   >>

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 半導体レーザを動作させるためには電流を流さなければなりませんが、その電流は小さいに越したことはありません。電池で動作させている機器では大きな電流が必要な素子は使えません。また大きな電流を流していると素子そのものだけでなく、それ以外の周辺の回路からも熱が発生し装置の温度が上がり故障を引き起こしやすくなります。

 これまでにも説明してきたように、半導体レーザでは活性層のなかに電子と正孔が注入され、それが結合してまずは自然放出による発光を起こします。そのときまだ十分に電子と正孔が残っていれば誘導放出が起きます。こうなってもまだ電子と正孔が補給されればますます誘導放出が起こり、光が増幅されレーザ発光が持続します。

 つまりレーザ発光を起こさせるためには電子と正孔をひっきりなしに補給してやる必要があります。ひっきりなしに補給するとはすなわち電流を流し続けることです。この電流が大きいか小さいかは電流が流れ込む面の面積によって変わりますから、単位面積当たりの電流(電流密度といいます)で比較する必要があります。つまりレーザ発振が始まるしきい電流の電流密度をいかに小さくするかです。

 一方、光の増幅を起こすのに必要になるキャリア(電子と正孔)の単位体積当たりの数が一定であるとすれば、単位面積当たりに流す必要のある電流は活性層の体積が小さいほど少なくなるはずで、単位面積で考えるならば、厚みが薄いほど少なくてよいはずです。画像

 図Aは特開昭59-104189号(特公昭63-52792号)から採った図面ですが、しきい電流密度と活性層の厚さの関係を示しています。活性層の厚みが減少するにしたがってしきい電流密度は減少していますが、活性層の厚みが0.1μm前後より小さくなると、しきい電流密度は逆に上昇に転じています。

 この原因は何かというと光導波路の問題です。光増幅のためには発生した光がつぎの誘導放出の引き金にならなければいけません。そのためには発生した光がどんどん放散してしまってはだめで、光を活性層のなかに閉じ込めておかなければなりません。ところが活性層の厚みが薄すぎると、光導波路の性質から光を閉じ込められなくなります。つまりこのままではある程度以上活性層の厚みを減らすことはできず、しきい電流密度も減らせないことになります。

 しかし薄い活性層を使い、かつ光も閉じ込められる構造が考え出されました。それが図Bのような構造です。光導波路が2段構えになっています。同図(c)に示すように活性層4とクラッド層2、6の間に両者の中間の屈折率をもちある程度厚みをもった層3、5を入れてあります。これによって活性層で発生した光は活性層自身には閉じ込められませんが、この中間の層(光導波層あるいはガイド層と言います)3、5のなかには閉じ込められます。
画像


 この特許はInGaAsP/InP系のレーザを例に挙げていますが、同図(b)のようにInとGaの組成比をコントロールすることにより、屈折率を2段構えに設定できます。

 この構造のことを分離閉じ込めヘテロ構造あるいはSCH(Separate Confinement Heterostructure)構造と呼びます。上記特許では従来技術として扱われており、最初に考えられたのはもう少し前になります。最近の半導体レーザではこのようなガイド層をもった構造が主流になっているように思います。

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