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zoom RSS 太陽電池の効率を低下させる原因(その1)

<<   作成日時 : 2008/11/02 23:28   >>

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 前々回、太陽電池の変換効率について調べましたが、太陽電池は、ほとんど避けようのない理由で入射した太陽光のエネルギーを約3割くらいしか電気のエネルギーに変えられないという結果でした。

 そして前回、太陽電池の代表的な構造を示しましたが、このような構造であるが故に、何の工夫もしないとさらに折角入ってきた太陽光のエネルギーがさらに失われてしまいます。

 入ってきた太陽光エネルギーが失われ、電気エネルギーになってくれない原因は大きく分けて2つあります。1つは太陽光が太陽電池の中にうまく入ってくれないことによります。これでは電気エネルギーが得られるはずもありません。もう1つは太陽光はうまく太陽電池のなかに入り、電子と正孔もできるのですが、その後うまくエネルギーとして取り出せないことによります。これは主として半導体の性質によるものです。

 これらの原因は完全に除くことはできなくても、ある程度軽減できるので、そのための工夫がいろいろなされています。それらの一部を紹介してみましょう。今回は1つめの原因、太陽光がうまく太陽電池のなかに入ってくれない原因について調べてみます。
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 前回のセル構造からわかるように、太陽電池内に光を取り込むために、太陽光が当たる面は透明な材料にするか、または半導体そのものをむきだしにしてあります。しかし周りは空気ですからいかに透明な物質でも屈折率は1より大きく、そのために表面で反射が起きます。反射があるとやってきた光ははね返されて太陽電池のなかに入りません。

 そこで表面での反射をできるだけ減らす工夫がなされています。反射を防ぐ手段としてよく知られているのは、反射防止膜と呼ばれる膜を表面に着けることでしょう。無反射膜とも言われますが、英語では”anti-reflection film”などと言うので、よく略してAR膜などと呼ぶ場合があります。

 この反射防止膜の原理は干渉の効果です。例えば図Aのように半導体の表面に屈折率nの誘電体膜を着けます。nは半導体の屈折率より小さくします。屈折率が1の空気中で波長がλの光は屈折率がnの誘電体中に入ると、波長が1/n、つまりλ/nになります。この光が半導体表面で反射して誘電体膜の表面から出るとき、誘電体膜表面で反射する光と干渉を起こします。光が誘電体膜中を走る距離が(λ/n)×(k+1/2)になっていると光は打ち消しあって反射光は出ないことになります。ただしkは正の整数です。

 言い換えると誘電体膜の表面で直接反射される光と誘電体膜内に入り半導体表面で反射された光が誘電体膜表面から出るとき、この2つの光の位相がちょうど1/2波長分ずれるように誘電体膜の厚みdを設定してやると、2つの光は打ち消しあって反射光は現れないことになります。

 上の原理からわかるように、1層の誘電体膜ではある波長の光が決まった角度で入射する場合にだけ反射が打ち消され、そうでないときは反射が起こります。このため太陽光のように連続的にいろいろな波長を含む場合にはあまり反射防止の効果がありません。この問題を解決するためには、さらに屈折率の大きい膜と小さい膜を多層にする必要があります。これによって効果のある波長範囲にある程度幅をもたせることができます。しかし多層膜は層数が多いほど、それを着けるのに手間がかかってしまいます。

 他の手段としては表面をでこぼこにする方法があります。表面をでこぼこにした刷りガラスは表面が平らなガラスより反射が少ないと思われています。しかしこの場合は反射光がいろいろな方向に散乱されて決まった方向には反射されないだけで、反射は起きています。

 しかし太陽電池の表面の場合は、入射光が散乱しても中に入ってこないのでは意味がありません。図Bのように入射してきた光が表面の尖った部分で横方向に反射されて、隣の出っ張った部分に入射してくれれば、表面に凹凸を付ける意味があります。

 もう一つ、比較的最近注目されるようになった方法があります(例えば特開2006-38928号参照)。表面にでこぼこをつける点では上の方法に似ていますが、でこぼこが非常に小さく、光の波長以下の大きさにします。でこぼこが光の波長以下であれば、光はそこにでこぼこがあることを感じません。つまり上の場合のように、でこぼこの形に従って反射したりすることはありません。

 それではどうなるかというと、図Cのような尖った形のでこぼこで上側が空気、下が固体とすると、でこぼこの上の方は空気が占める体積が大きく、下の方は固体が占める体積が大きいので、平均的な屈折率は上から下に向かって少しずつ大きくなるようにみえます。このため屈折率が徐々に変化する膜があるのと同じように反射は防ぐことができ、またこれは干渉の効果ではないので、あまり波長によって左右されません。

 このような凹凸構造のことをモスアイ(moth-eye)構造と呼ぶことがあります。モスアイとはガ(蛾)の目という意味です。ガやハエなどの昆虫の複眼の拡大写真を見られたことがあると思いますが、ピカッした反射がありません。これはこのような細かい凹凸があるためだそうです。

 上記の手段をどれか一つより、二つを組み合わせて使うことができます。
 

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