石くれと砂粒の世界

アクセスカウンタ

zoom RSS 単結晶シリコン太陽電池

<<   作成日時 : 2009/01/18 21:15   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 6 / トラックバック 0 / コメント 0

 単結晶シリコンを使った太陽電池は現在でも性能の良い代表的な太陽電池として使われています。太陽電池のもっとも重要な性能は、入射した光のエネルギーのうち、何%を電気のエネルギーに変えられるか、すなわち変換効率です。

 もちろん高い変換効率を得るには、材料ができるだけよい必要があり、前回まで調べた単結晶の作り方がその鍵を握っていると言えます。しかしこれに合わせて太陽電池の素子構造によっても変換効率は改善できます。
画像
 すでに最初に作られた単結晶シリコン太陽電池については4回ほど前に紹介しました。これは1954年にベル研究所で開発されたものです。このときの変換効率は5%程度とされています。その後、変換効率を改善すべく素子構造を改良する努力が長く続けられてきました。ここではその歴史については立ち入らず、現在、ほぼ完成したと思われる単結晶シリコン太陽電池の代表的な構造を紹介することにします。

 単結晶シリコン太陽電池の典型的な構造を特許図面を使って示します。この図は特開2000-2218号のものです。ただしこの特許は宇宙用太陽電池が宇宙線によって損傷を受けるのを減らすことが目的で、図のような太陽電池の構造がこの特許で初めて提案されたわけではありません。

 単結晶シリコン太陽電池の構造の大きな特徴としてはつぎの3つが挙げられます。

(1)表面構造

 素子構造の特徴で目立つのは表面の凹凸構造(テクスチャーとも言います)です。この図では基板1の表面に入り口が正方形で、底に向かって狭まった穴がたくさん作られています。逆ピラミッド構造と呼んでいます。大きさは正方形の一辺が37μm、穴の深さ30μmと非常に小さいものです。表面側が尖った普通のピラミッド構造もこの特許には載っていて、そのいずれでも効果にそれほどの違いはありません。

 この凹凸は前にも説明しましたが、表面から入射する太陽光の反射を減らすことと、中に入った光が反対側で反射して外に出て行ってしまうのを防ぐことの両方の役割をもっています。光をできるだけ基板の結晶内に留めて電気に変換される割合を増やそうという考えです。入射光の反射を減らすためにはさらに反射防止膜8も設けられています。

 こんな構造をどうやって作るのかというと、これは結晶の性質を生かしたエッチングを使います。この基板は単結晶ですから、ウェハを作るときの切り出し方で表面のシリコン原子の並び方の規則を決めることができます。そこに四角い穴の開いたマスクを着け、特別のエッチング液でエッチングをすると、ある方向にだけエッチングが進みやすいという結晶独特の性質があってこのような逆ピラミッド型の穴ができます。この特許にはエッチング液は加熱したKOH(水酸化カリウム)の水溶液を使ったと書かれています。

(2)接合構造

 肝心の接合はこの凹凸のある表面付近にあります。基板はp型のシリコンですので、表面からリンなどもn型の不純物を一様に熱拡散する方法でn型拡散層2を作り、pn接合としています。表面から入射する光は波長が短い成分ほど表面近くで吸収されるので、基板の奥深いところに接合があると、キャリアがそこに至ることができずに消滅してしまうことになり、変換効率にとってはよくありません。

 なお単結晶シリコン太陽電池の場合はp型基板を使うことが多いですが、これには理由があります。半導体ではだいたい、少数キャリアが動ける距離(拡散長)は電子の方が正孔より長いという性質があります。単結晶シリコン太陽電池では100μmくらいの厚さの基板を使いますので、表面で発生したキャリアが基板の中を速く流れてくれる必要があります。n型基板を使うと少数キャリアは正孔になるので、不利になるのです。

(3)電極

 表面側の電極6は図のように細長いものを使います。図では2本しか描かれていませんが、たくさんの細い平行な電極を作ります。これはもちろん入射する太陽光をできるだけ遮らないようにするためです。電極の間隔が広すぎて電界があまりかからないようでは折角キャリアができても無駄になってしまうので、光を遮る割合との兼ね合いで電極の形を設計する必要があります。

 これも図には示されていませんが、この電極に垂直な方向に1、2本のバスバー電極と呼ばれる電極を作って平行な電極を接続するのが普通です。

 裏側の電極7は光が抜けない方がよいので、一面に金属を着けます。この電極表面での反射も利用できます。通常はp型基板の場合、裏面電極とのオーミック接触をよくするように基板の裏面側に高濃度のp型拡散層3を設けることが行われます。

 この特許に書かれている変換効率は10数%程度ですが、同じような構造の太陽電池では20%を越える変換効率が得られています。単結晶シリコンの理論的な変換効率は27%くらいですから、これに迫るものが作られていることになります。単結晶シリコンの技術が非常に進んでいることがわかります。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 6
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
かわいい かわいい
驚いた

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
単結晶シリコン太陽電池 石くれと砂粒の世界/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる