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zoom RSS SoG−Siの作り方(その2)

<<   作成日時 : 2009/02/22 20:26   >>

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 前回、シーメンス法を紹介しましたが、今回はこれとは違う考え方の方法を説明します。シーメンス法はシリコンの化合物(塩化物など)を気体にして反応させ、シリコンを析出させる方法でした。今回紹介する方法は原料を加熱して融かした状態で不純物を減らしていく方法で、これは鉱石から金属を取り出す冶金に近い方法です。

 いろいろ種類はあるようですが、日本の新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)が1990年代にプロジェクトとして取り組んで開発した方法を取り上げます。シーメンス法は1950年代に開発されており、驚くべき早い時代だったと言えます。
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 まずこの方法は一言で言えば、金属グレードシリコン(MG−Si)を高温で融かし、その状態でいろいろな手段を使って不純物を取り除き、目標とするソーラーグレードシリコン(SoG−Si)を得るというものです。不純物を取り除く手段は不純物によって性質が違うので、不純物によって使い分ける必要があります。

 まずシリコンに含まれる不純物で取り除きにくい元素の一つがリン(P)です。ただPは高温で蒸発しやすいという性質があるので、この性質を利用して取り除きます。特許を使って具体的に説明しましょう。図Aは特開平11-209195号の図面です。出願人はNEDOではなく、実際に研究開発を行った川崎製鉄社(現、JFEスチール社)となっています。

 黒鉛のるつぼ1aに粉末状のMG−Si(純度99.5%)21を投入します。加熱は電子銃10から電子ビームを当てて行います。電子ビームは空気中では遮られてしまうので、この作業は減圧室40、つまり真空にしたなかで行われます。真空中でSiを融かすと、不純物のPはSiより蒸発しやすいので、Siの融液から蒸発しSiの純度が良くなります。

 もちろん加熱は電子ビームではなくヒータを使ってもできますが、電子ビームの場合はSiの表面がもっとも加熱されるため、よりPが蒸発しやすくなるという利点があります。この方法は以前から知られていましたが、純度が十分良くならなかったため、図のようにもう一つ、別の電子銃12を付けた黒鉛るつぼ1bを設け、もう1回処理を繰り返すようにしてあります。

 このようにすると、Pは1ppmより少なくなり、SoG−Siのレベルに達したという結果がこの特許の書かれています。また、Pだけでなくアルミニウムとカルシウムに対しても同様の効果があると書かれています。

 2番目のるつぼ1bから溢れたSiの融液は鋳型31に流れ込みます。この鋳型は銅製で水冷されています。融けたSiは下の方から固まりますが、このとき前に説明したゾーンメルティングと同じ原理によって、蒸発では取り除けなかった金属、例えば鉄(Fe)やチタン(Ti)などの不純物も1ppm以下まで取り除かれます。

 以上の操作でまだ取り除けない元素があります。その代表が硼素(ボロン、B)です。BはP同様、ドーパントとして使われますから、はじめから含まれていては困ります。このBを取り除く方法はもう1件別の特許(特開平11-209119号)に書かれています。

 Bはそのままでは蒸発しにくいのですが、酸化すると蒸発しやすくなるという性質があります。そこでこの性質を利用して取り除く方法がこれもこのプロジェクト以前から知られていました。

 図Bはこれに使う装置を示しています。Si原料1を加熱容器8中に入れて融かします。描かれていませんが、加熱容器は密閉された容器中に置かれ、周囲にアルゴンガスを入れてあります。上にある電極4と5に高電圧をかけると電極先端部でアーク放電11が起き、アルゴンイオンと電子が混ざったプラズマガス2が融けたSi表面に吹きつけられます。このとき管10から水蒸気を導入します。これによってSi中のBが酸化され、蒸発して取り除かれるという仕組みです。

 ただ問題は酸化されるのはBだけでなく、Siの表面も酸化されてしまいます。この特許はその点の改良を目的としており、水蒸気の量とSiの温度をうまく調整すれば、Siの酸化は少なく、Bだけを酸化して取り除けるとしています。

 このような方法は冶金学的方法などと呼ばれますが、融けて液状になったSiから種々の方法を駆使して不純物を取り除こうとするものです。シーメンス法のような化学反応を使う方法とどちらが優れているかというと、できるSoG−Siの質には大きな差はなさそうです。結局どちらが低いコストでできるかということになりますが、それぞれの方法の改良によってこれは変わってきますので、いちがいにどちらというのは難しいところがあります。

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