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zoom RSS シリコン薄膜の作り方(その1)

<<   作成日時 : 2009/04/19 21:02   >>

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 前回、アモルファスシリコンの話をしましたので、ここもアモルファスシリコンの作り方という題にした方がつながりとしてはよいのですが、太陽電池に使われるのはアモルファスだけでなく、微結晶とか多結晶の薄膜もあります。これらの作り方は共通しているので、ここではこれらすべてを含めてシリコン薄膜の作り方を何回かに分けて紹介します。

 ただのシリコン薄膜であれば、スパッタリング法とか蒸着法などの物理的手段により作ることができますが、水素化したものとなると、化学反応を利用する化学的気相成長(CVD)法の方が有利で、水素化アモルファスシリコン薄膜を作るには当初からモノシラン(SiH)を原料としたCVD法が用いられています。

 モノシランはシリコンの水素化合物ですから、これを分解してシリコンを堆積させるようにすれば、水素を含みやすくなります。このモノシランはガスですが、空気中に放出すると自然発火することが知られています。つまりとても酸化されやすく、酸素があるとシリコンはSiOになってしまいます。

 このため、シリコン薄膜を得るためには、酸素がない状態でSiH4から水素を取り去る必要があります。これは加熱するだけでも可能です。ただし500℃以上の加熱が必要です。この熱による分解を利用するのが熱CVDと呼ばれる方法です。
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 もっと低温でモノシランを分解させる方法があります。大気圧の1/100くらいの低い圧力になるようにモノシランガスを容器に入れ、高周波電圧をかけると容器の中がボウっとピンク色の光を出し放電が起きます。このような放電をグロー放電といいます。

 この放電が起きるのは、何かのきっかけでガスの分子がイオンと電子に分かれたとすると、それらは電界によってそれぞれ加速され、他の分子に衝突します。するとこの分子もエネルギーをもらってイオンと電子に別れます。これが繰り返されて、多くの電子とイオンが分離した状態ができます。この状態はプラズマと呼ばれています。

 モノシランを放電させると、100〜300℃程度の低い温度で分解し、シリコンが堆積します。それは多くの場合、水素が添加されたアモルファス状態のシリコンになります。この成膜方法をプラズマCVDと呼んでいます。

 プラズマCVDによる水素化アモルファスシリコン薄膜の形成に関するもっとも早い時期の特許出願はアメリカのRCA社の米国特許4064521号(対応日本出願は特開昭52-16990号(特公昭53-37718号))と思われます。アメリカでの最初の出願は1975年です。

 装置は図Aのように簡単なものです。ガラス容器34は管44、46を通して真空に引けるようになっていて、管48から原料ガスを供給します。基板12を加熱板38上に置きます。容器中を一旦真空にした後、モノシランガスを入れ適当な圧力に調整した後、陽極36と基板の間に電源42から電圧をかけると放電が起きます。電圧は交流でも直流でもよいとされていますが、よく使われるのは高周波です。陽極36をプラス電位になるようにバイアスしておくと、基板上にシリコンイオンが引きつけられて堆積します。

 n型層が必要な場合はモノシランにリンの水素化合物であるフォスフィン(PH)を混ぜます。p型層が必要な場合は硼素(ボロン)の水素化合物であるジボラン(B)などを混ぜます。なお、これらのガスは生のまま使うより、水素で薄めて使うのが普通です。これらの原料ガスを切り換えて容器中に送れば、pin構造など多層構造を作ることができ、太陽電池が作れます。

 高周波を使って放電を起こさせるには図Aのような対向電極に電圧をかける方法のほかに図Bのように容器1の外に置いたコイル13に高周波電流を流し、その誘導で容器内に放電を起こさせる方法もあります。放電用の電極が原料ガスに触れなくてすむので、無用な不純物の混入が避けられるという利点があります。この図BはIBM社出願の特開昭56-83926号(米国特許4363828号)によるものですが、この特許は原料ガスとしてジシラン(Si)を使った方が膜を早く堆積できるとしています。

 このようなプラズマCVDを用いて水素化アモルファスシリコン膜を作る方法は、n型、p型の作製を含めて1980年代前半には確立し、標準的な方法となりました。

 さらに大量生産に向けて、p層、i層、n層を連続して成膜できるような装置も開発されています。図AやBのような真空室が1つだけの装置の場合は同じ部屋に別の原料ガスを切り換えて流さなければなりませんが、前のガスが残っていると不要な不純物となってしまいます。

 そこで図C(特開昭56-114387号より)のように、各層を別の部屋で成膜できるようにし、各成膜が済んだ基板を次々に隣の部屋に運べるようにした装置が考案されています。第1反応室20aでp型層を成膜したのち、第1反応室20aと第2反応室20bを真空にし、シャッタ29aを開けて、ローラコンベア26に載った基板(図には描かれていない)を第2反応室20bに搬入します。ここでi層を成膜した後、同じように第3反応室20cに搬送してn型層を成膜します。こうすれば各部屋にはいつも同じ原料ガスしか流れず、他の部屋の原料ガスが混じり込んで汚される恐れは少なくなります。

 装置としてはいろいろな工夫がされ、特許も1980年代に多く出願されていますが、プラズマCVDとしての基本は以上の通りです。

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