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zoom RSS シリコン系薄膜太陽電池の接合構造

<<   作成日時 : 2009/05/17 20:20   >>

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 シリコン系薄膜太陽電池の構造の概要を前回説明しましたが(末尾の部分が誤解を招きやすい書き方になっていましたので一部修正しました)、薄膜太陽電池はその接合構造に特徴がありますので、今回はそれを取り上げます。

 シリコン系薄膜という言い方で「系」という字を入れているのには訳があります。シリコンを主な成分とする薄膜の材料には実はいろいろな種類があります。それらをまとめて一言で言うために「シリコン系」という語を使っています。

 まずこれまでに紹介したように結晶を含む程度によって、アモルファス(非晶質)、微結晶、多結晶という種類があります。太陽電池としてみるとき、これらの材料の性質の違いのもっとも重要な点はバンドギャップ(光学ギャップ)の違いです。材料の選択によって太陽光のスペクトルのうち、どの部分を電気エネルギーに変換できるかが違います。大雑把に言えば、アモルファスがもっとも短波長の光の変換効率が高く、結晶成分が多いほど長い波長で変換効率が高くなります。

 また、シリコン系には他のIV族元素を含むものがあります。シリコンと炭素は炭化珪素(シリコンカーバイド)と呼ばれる化合物を作ります。このSiC結晶は大きなバンドギャップをもつ半導体として知られていますが、アモルファスではSiとCの元素比が1対1でない材料も作れます。炭素が入る量が増えるほど、アモルファスシリコンより光学バンドギャップは大きくなります。

 IV族ではありませんが、窒素を含むSiNもバンドギャップの大きい材料の一つです。SiとNはSiという化合物を作りますが、これは絶縁体です。窒素の比率が少ないアモルファス状態では半導体となります。
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 一方、シリコンとゲルマニウムを含むSiGeはアモルファスシリコンより光学ギャップが小さくなります。結晶のSiGeは普通あまり化合物とは考えられず、むしろ混晶と考えられ、元素比を変化させることができます。アモルファスの場合も元素比を変化させることができます。Ge結晶のバンドギャップはSiより小さいので、Geの比率が高いほど光学ギャップはアモルファスシリコンより小さくなります。
 
 このような材料が具体的にどのように使われるかというと、SiCは光学ギャップが大きいので、太陽光が入射する側の層に使います。図A(特開昭56-64476号より)のようなpin構造の場合で、ガラス基板側から太陽光を入射させる場合には、透明電極Tの上にp型アモルファスSiC膜、つぎにi型アモルファスSi膜、つぎにn型アモルファスSi膜の順で積層しています。この場合、p型層での吸収が減り、i型層まで光が入りやすくなるため、変換効率が上がることが期待されます。

 SiGeの場合は逆に光学ギャップが小さいので、i型層に用いるとSi膜よりも長波長側の光をよく吸収するようになることが期待されます。図B(特開昭61-232675号より)は透明電極1側から太陽光7を入射させる場合で、透明電極2の上にp型アモルファスSi膜3、その上にi型アモルファスSiGe膜4、その上にn型アモルファスSi膜を着けた例です。この場合にp型層をSiC膜にすることもできます。
 
 以上は基本的な考え方を初期の特許で示しましたが、SiCとかSiGeとかはやはり単元素のアモルファスSiより作るのが難しく、膜中や界面の欠陥などのために期待するほど特性が改善されない場合も多く、最近に至るまで多くの研究が行われています。

 以上はpin構造が一つの場合でしたが、pin構造を2つとか3つとか積層するという考え方もあります。これを積層型とかタンデム型などと呼びます。

 図C1(特開昭58-122783号より)は3つのpin構造を重ねた例です。基板10側のP1、I1、N1層のうち、P1層とI1層はSiC層です。N1層はSi層です。真ん中のP2、I2、N2層はいずれもSi層です。上側のP3、I3、N3層のうち、I3層とN3層はSiSnが使われています。SiSnはSiGeと同様にSiより光学ギャップが小さい材料として知られています。

 各I層の光吸収波長は図C3に示されているようにずれていますので、広い波長範囲の光を光電変換できると期待されます。ただ問題もあります。図C2はこの積層のエネルギーバンド図ですが、各pin構造の間にかなり高い障壁ができているのがわかります。pinとpinを重ねると、その境ではnp接合ができてしまうので、この障壁がどうしてもできます。これによって流れる電流が堰き止められてしまうので、電流が流れにくくなってしまうという問題があります。この問題の解決についてもいろいろな研究が行われていますが、ここでは省略します。

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