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zoom RSS フレキシブル基板太陽電池

<<   作成日時 : 2009/06/07 20:17   >>

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 アモルファスや微結晶の薄膜を使った太陽電池は単結晶の太陽電池に比べると、基板をかなり自由に選べるという特徴があります。透明なガラス板がよく使われますが、この場合は平面状で、単結晶の場合と形としては同じようなものになります。しかしアモルファスシリコンのような薄膜は基板表面が曲面であっても成膜が可能ですから、光を受ける面が曲面の太陽電池も作ることができます。

 曲がった面を作る簡単な方法は柔らかい材料を基板にして曲げることです。自由に曲げられる、柔軟な基板をフレキシブル(flexible)基板といいますが、日本語の場合は「可撓性」(カトウセイと読む)というあまり普段は使わない、ワープロなどでも出てこない語が当てられています。「撓」は「たわむ」という意味ですから、可撓性は「撓むことができる」という意味です。

 このようなフレキシブルな材料というとすぐに思い浮かぶのは樹脂、プラスチック材料でしょう。ただ樹脂はだいたい熱に弱いので、これを基板に使う場合は上に膜を着けるとき、あまり高温にできません。このため成膜に高温を必要とするような材料あるいは成膜方法は使えないということになります。
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 しかしある程度の高温に耐える樹脂もないわけではありません。特開昭54-149489号(特公昭60-43135号)に書かれているように、ポリイミドという樹脂は300℃での成膜に耐えます。もっと高温に耐える樹脂も開発されています。アモルファスシリコンをプラズマCVDで作る場合には300℃以下の温度でも可能ですから、樹脂を基板にした太陽電池は一応作ることはできます。

 本来硬い材料でも厚みが薄ければ、文字通り撓みます。とくに金属は薄い箔に加工できよく曲がる材料になります。たいていの金属は熱にも強いので、高温を必要とする場合にも使えます。ただ光を通さないので、基板側から光を入射させるという構成はとれなくなります。

 フレキシブル基板を使った太陽電池の光電変換膜と電極は基板を平板状態にして成膜し、その後、必要な形に曲げる場合と、先に基板を必要な形にしておき、曲がった表面に成膜する場合とがあります。特開昭60-57679号(特公平6-36432号)は後者の場合を述べています。曲がった基板に膜を着ける場合、方法によっては場所によって膜の厚みが変わってしまう場合があります。均一な厚さの膜を着けるには原料ガスを大気圧より低い減圧状態で流すとよいことが書かれています。

 これまで説明したのは、製品として受光面が曲がった太陽電池が必要とされる場合の話でしたが、フレキシブル基板はもう一つ別な目的でも必要とされます。

 それは大面積の太陽電池を連続的に成膜する場合です。図Aは連続成膜装置の典型的な構造例です(特開昭57-122581号より)。フレキシブルな基板であれば図の左側のロールに巻き付けておき、これを成膜室を通して右側のロールで巻き取るようにします。

 図Aでは成膜室は3つに分けられ、左からn層、i層、p層をそれぞれ成膜する室となっています。送り出しと巻き取りのロールも真空室に入れておけば、ロールに巻けるだけの長さの基板に連続的に成膜ができることになります。ガラス基板のような硬い平板状の基板の場合は真空室内に置ける量に限界があり、基板の出し入れの際、どうしても一部の室を大気に戻さなければならないので、効率が悪くなります。

 図Aは光電変換層(半導体層)の成膜のみを示していて、電極は別に作る必要がありますが、ここではその説明は省略します。

 フレキシブル基板の太陽電池にはもう一つまったく別の発想によるものがあります。以前に球状シリコン結晶の作り方に触れたことがありますが、その球状シリコンを使うものです。

 テキサス・インスツルメント社が出願した特開平6-13633号(特公平6-42561号)にはその構造と製造方法が示されています(図B)。簡単に説明すると、孔5を開けたアルミ箔1を用意し(b)、この孔に予め表面にpn接合を形成した球状シリコン7を嵌め込みます(c)(d)。図は1個のみ示していますが、実際には多数並べます。シリコンの球は小さいものなので、アルミ箔の反対側から真空引きし、球状シリコンを吸い付けるようにして孔に嵌め込むと書かれています。裏面のn層を除去し(e)、酸化して絶縁層21を作り(f)、さらに裏面を削ってp型部分を露出させます(g)。この露出部分に別のアルミ箔19を接触させて陽極とします(h)。陰極はn層に接触している最初のアルミ箔1です。最後に表面に反射防止膜11を着けて完成です(i)。

 かなり複雑なプロセスですが、球と球の間のアルミ箔は自由に曲げられるので、曲面状の太陽電池ができます。

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