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zoom RSS V−X族化合物半導体太陽電池の低コスト化

<<   作成日時 : 2009/07/05 19:03   >>

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 V−X族化合物半導体の太陽電池はもっとも高い変換効率を実現できることを前回説明しました。しかし価格が高いという難点があり、人工衛星への搭載などはされているものの住宅用に導入することは難しいと考えられています。しかしもし何らかの手段で価格を下げることができれば、高い変換効率を地上でも活かすことができるので、コスト低減の検討もなされてきました。

 V−X族化合物半導体太陽電池のコストが高い原因の大部分は原材料費、とくに基板のコストです。GaAsやInPの単結晶ウェハはSi単結晶ウェハよりずっと少ない量しか生産されていませんので、単純に比較することはできませんが、コストは数倍以上違うとみられます。
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 ガリウムやインジウムはレアメタル(稀少金属)で、シリコンに比べると地球上にほんの僅かしか存在しません。このため初めから価格が高いわけですが、大量に使用されれば資源の枯渇という心配もあります。インジウムは透明導電体のITOに使用されていますが、液晶ディスプレイの普及とともに消費量が増え、供給に問題が出始めているとの報道もありました。

 タンデム構造の場合、光電変換層の厚みも増えますが、それでも全体の厚みに占める基板の割合は少なくとも半分程度にはなると思われます。そこでこの基板としての材料使用量を減らすことがコスト低減に有効なことがわかります。もちろん資源の節約にも有効です。

 基板材料の使用量を減らす方法は、当然ながら厚みや面積を減らし、究極は別の安価な材料に変えてしまうことです。しかしどの手段もそれほど簡単ではなく、技術的な課題を抱えています。以下それらの課題について紹介していきます。

 厚みを減らす努力はなされていますが、ウェハ製作時に薄くできなければならず、デバイス製作時に薄く加工してもそれは使用量を減らすことにはなりません。GaAsやInPの単結晶はSi単結晶に比べて脆く、あまり薄いウェハを作ることは現状では難しいようです。

 面積を減らすのはどうでしょうか。太陽電池の場合、太陽光を受ける面積で発電量が決まりますので、面積を減らすことは発電量を減らすことになります。しかし平行光である太陽光を何らかの方法で集光して太陽電池に当たるときには細くしてやれば、同じエネルギーの太陽光を小さい面積の太陽電池に入射できます。

 集光手段を用いることはかなり早くから検討されてきました。一例を挙げると1989年にアメリカのボーイング社が出願した米国特許5091018号があります(対応日本特許は出願されていないようです)。図Aのように受光面全面に並べたレンズ12によって太陽光を集光し、面積を小さくした太陽電池10に照射するようにしています。

 ここで例示されている太陽電池はAlGaAs/GaAs系とGaSb系を重ねた積層型です。GaSbはGeと同程度のバンドギャップエネルギーをもっていますから、GaAs系を透過する波長の長い部分の光電変換ができます。ここでいう積層はエピタキシャル成長によって積層したものでなく、別々に作って積み重ねたタイプです。GaAsとGaSbのように格子定数が大きく違う組み合わせの場合にはこのような構造とすることもできます。効率は31%が得られたと書かれています。しかしこの特許には集光によってどの程度の効果があったのかについて書かれていません。

 光を集光すると、集光された光の面積当たりの強度はもちろん集光しない場合より大きくなります。しかし太陽電池内で発生できる電子−正孔対の量はではないので、ある量以上は増えないはずです。太陽光を何倍くらい集光し、どのくらいの面積の太陽電池に照射すればもっとも効果的かについて調べ、それにしたがって集光光学系を設計する必要があります。

 最近になって、前回紹介したタンデム構造の太陽電池を集光型として用いると非常に高い効率が得られることがわかってきています。シャープ社の出願した特開2005-136333号によると、効率は集光倍率や受光面積によって変わることが示されています。集光倍率は100〜500倍程度がよく、受光面積は1mm程度まで小さくする方がよいという結果になっています。

 同社の他の特許(特開2006-344698号など)にはレンズと太陽電池を組み合わせた発電ユニットの具体的構造が示されています。大雑把には図Aの構造と同じです。

 ここで集光型の場合、忘れてはならないのは太陽電池はつねに太陽の方向を向いていなければならないことです。方向がずれると集光される光の位置がずれて太陽電池から外れてしまいます。このため、地上で使う場合は図Bのような太陽に対する追尾装置に太陽電池を載せる必要があります。

 図は追尾装置を裏側からみたもので、多数の発電ユニット10を組み合わせた発電モジュール22、23に向こう側から太陽光が入射します。発電モジュールを取り外して描かれていますが、実際はモジュール裏面の主桁部21を追尾駆動部25に接続されている主桁結合部24に固定します。追尾駆動部25は発電モジュールを予め計算されている各時間の太陽の位置に合わせるようにコントロールされます。

 集光型の場合、折角太陽電池のセル面積が小さくできても、このような追尾装置をつけなければならず、装置全体が大げさになってしまう難点があります。

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