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<<   作成日時 : 2009/12/06 19:55   >>

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 暗電流についてはすでに触れていますが、今回は正面からこれを取り上げてみます。暗電流(dark current)とは光電変換素子において光が照射されていないにも拘わらず流れてしまう電流のことです。

 光があるかないかを光電変換して検知する光検知器では、光がないのに電流が流れるのは誤った判断をする原因になるわけですから、この暗電流は極力減らすことが必要です。

 半導体受光素子の暗電流はなぜ流れるのでしょうか。pn接合(またはpin接合)ダイオードを逆バイアスしたときは、順バイアスしたときに比べればほとんど電流は流れませんが、「ほとんど」であって「まったく」流れないわけではありません。

 その原因はいろいろありますが、重要なものはつぎの2つです。

(1)拡散電流
 可視光や近赤外光を検知するための受光素子に使う半導体は、その光のエネルギーに近いバンドギャップエネルギーをもっています。これは大体1eVといった程度のエネルギーに当たりますが、このような半導体は例え純粋な真性半導体でも室温では僅かながら自由に動ける電子と正孔をもっています。p型やn型の半導体でも、正孔や電子の一方だけがあるわけでなく、少ないながら反対の電荷のキャリアがあります。これを小数キャリアと呼んでいます。

 pn接合(またはpin接合)に逆バイアスがかけた状態でも、空乏層の両側には電界のかかっていないp型層、n型層があり、そこには少数キャリアが少ないながらいます。空乏層には電界がかかっているので、電子、正孔ともとどまっていられません。このため小数キャリアは少しは濃度の大きいp型層、n型層から空乏層へ拡散することができます。空乏層に入った電子と正孔はそこにある電界によって移動し電流となります。この拡散電流が暗電流の原因の一つになります。
画像
(2)表面リーク電流
 pin型受光素子、とくにプレーナ構造の場合は、前回の図Bのようにi層の表面の一部にp層(またはn層)を形成し、その上に環状の電極が着けられます。電極の外側の半導体表面は絶縁のためと保護のために絶縁膜が着けられるのが普通です。

 この表面の部分を拡大して示しているのが図A(1)です(特開平2-220480号より)。nと書かれている層がi層に相当し、その一部にp層が作られ、それにつながる電極が設けられています。p層とn層の界面は端で表面に出て表面保護膜(絶縁膜)に接しています。図で○に+と−で示された部分が空乏層を意味します。空乏層も表面に出て絶縁膜に接しています。

 このように半導体の結晶が途切れ、違う物質(この場合は絶縁膜)と接しているような状態では半導体結晶の端の部分でどうしても原子の並びが乱れます。このような乱れがあるとそこに電子が捕らえられやすくなります。しかし捕らえられたら離れないわけではなく、比較的簡単に離れるような状態になります。このような状態(×で示されています)を界面準位と言います。

 これはMOS型電界効果トランジスタ(MOSFET)の半導体(Si)とゲート絶縁膜(SiO2)の界面で起こることと同じです。本来は空乏層があるので、半導体中での電子、正孔の流れは抑えられるのですが、界面部分では図A(1)のようにこの界面準位を通して電流Idsが流れてしまいます。これが表面リーク電流と言われ、暗電流の主要な原因となります。
 
 さらに絶縁膜が負の電荷で帯電していると界面付近の電子を遠ざけるはたらきをするので、図A(2)のように界面付近だけ空乏層が横に広がり、ますます界面準位にあった電子がn層へ流れ込みやすくなります。さらにこの状態が進むとMOSFETと同じように界面に反転層ができ、正孔が貯まるようになります(図A(3))。こうなると界面は導通状態になり、暗電流は急増することになります。


 このような暗電流を減らすにはどうしたらよいでしょうか。拡散電流は原理的に避けられないので、対策はあまりありません。一つの方法は受光素子を冷却することです。これによってキャリアを減らすことができます。しかし拡散電流が存在することが半導体受光素子の宿命的な特性の限界になっています。

 一方、表面リーク電流の方は減らす手段がいくつかあります。前回の図Bに示した構造では電極の外側にp層が設けられていました。この例では上側がn層ですから、それと反対のp層を設けることにより反転層ができても外側へ広がるのを抑えることができます。これはチャンネルストッパーと呼ばれ、表面リーク電流を減らす手段の一つになっています。

 もう一つの方法を特開平2-51284号から紹介しておきます。この方法では図Bのように第3電極11を本来の電極(第2電極10)の外側を囲むように設けます。第2電極は環状ですが、第3電極もそれを囲む環状電極とします。裏面の第1電極9との間に図のように逆バイアスEをかけて光電流を測定します。

 このとき第3電極は第1電極と接続し、第3電極にも第2電極に対して逆バイアスがかかるようにします。こうした状態で図に「出力電流」と書かれた位置で光電流を測定します。この回路のなかでのこの測定位置が重要です。第2電極と第3電極の間に逆バイアスがかかっているので、表面リーク電流は流れます。しかしこの回路ではそれは測定電流のなかには入ってきません。表面リーク電流は流れてはいるのですが、測定する光電流には含まれないことになるので、これでよいわけです。この第3電極はガードリングとかガード電極とか呼ばれます。

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