石くれと砂粒の世界

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<<   作成日時 : 2009/12/27 23:30   >>

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 受光素子に光を当てると光電流が流れ、光の強さを変えるとそれにしたがって電流の大きさも変わります。もちろんこの光の波長は受光素子が感じる範囲でなければなりませんし、光の強さもほどほどでなければいけません。ある程度以上、光が強くなりすぎると、電流はもう増えなくなってしまいます。

 というわけで、適当な波長と強度の範囲では、光の強さが変化すると、それに従って光電流も変化します。しかしここでまたとは言ってもという条件がつきます。光の強さがあまり早く変化すると、光電流はそれについていけなくなります。どこまでついていけるかを表すのが応答速度(応答時間)です。
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 光通信では光をオンオフして情報を伝えますが、最後は電気信号にする必要があるので受光素子が使われます。そのとき例えば図Aの上のように光がオンオフしたとき、これにに従って受光素子の出力電圧がオンオフしてくれないと情報が正しく伝わりません。ところが図Aの下のように出力電圧信号には遅れがあり、光信号がゆっくりであればいいのですが、速いとついていけなくなります。このため受光素子の応答速度は十分速くなければなりません。

 それではこの応答速度を遅くする原因は何でしょうか。受光素子に光が当たった瞬間からどのようなことが起こるか考えてみると、まず光のエネルギーが原子に吸収されて電子−正孔対が発生します。この電子−正孔対の発生には時間があまりかかりません。非常に速く起きる現象です。

 できた電子−正孔対は電子と正孔に分かれて電極に向かって移動します。電極に到達してはじめて外部に電流が流れます。この電子と正孔の移動にはそれなりの時間がかかります。これをキャリアの走行時間といいます。移動が起こる空乏層の幅が広いほど移動距離が長くなるので、時間がかかります。またかかる電界が大きいほど移動は速くなります。

 このため空乏層の幅を狭くし、高いバイアス電圧をかければ応答速度は速くなります。しかしこれには問題があります。空乏層はpin構造にしてわざわざ広くしているくらいで、狭くすると光が吸収され電子−正孔対が作られる場所が狭くなってしまうので、感度(量子効率)が下がってしまいうまくありません。また電界はあまり大きくすると素子自体が壊れてしまうので、いくらでも大きくできるわけではありません。

 さて以上のようなことが起こって電極に電荷が貯まったとしても、それは検知できません。人が検知するためにはメータの針を振らしたり、ランプを着けたり、音を鳴らしたりしなければなりません。これはつまりエネルギーを取り出さなければならないということです。もっとも簡単にエネルギーを取り出すには受光素子の電極に抵抗器をつなぎます。そうすると抵抗器に貯まった電荷が流れ、その両端には電圧が発生し、これを取り出し検知することができます。

 ところがこの抵抗器の抵抗値が大きいほど、電極に貯まった電荷が流れ終わるまで時間がかかります。これが応答速度を遅くする原因になります。これを改善するには抵抗値を小さくすればよいですが、小さくしすぎると発生する電圧が小さくなるので、検知がしにくくなってしまいます。また受光素子の電極に貯まる電荷量を減らすことも考えられます。これは受光素子の静電容量(接合容量と言います)を減らすこととも言えます。これには空乏層の幅を広くするか、電極面積を小さくすればよいですが、これも感度(量子効率)の低下につながります。

 このように感度を下げずに応答速度を速くするのは難しいのです。特許から一、二の例を挙げておきます。図Bはアメリカのモトローラ社が出願した特開昭62-158373号のSiを用いたpinフォトダイオードの例です。光を吸収するのはn型Si基板10ですが、裏面からエッチングにより大きな穴が開けられ光が入射する中央部は厚さ約20μmと非常に薄くなっています。このn層を不純物拡散によって作られたn層12とp層14で挟むようにしてpin構造ができています。

 i層に相当するn型Si層を薄くすることにより、キャリアの走行距離を短くしています。このため光の吸収量が減るのをカバーするために裏面の電極21を反射膜としても使い裏面に抜ける光を反射して再度吸収させるようにしています。

 図Cは化合物半導体pinフォトダイオードの例です。日本電気社出願の特開平1-239973号から採った例です。基板1はnInPです。光吸収層3はn型InGaAs層です。この光吸収層は厚さが1μmと薄いので、このなかをキャリアが走行する時間は短く、むしろ接合容量を減らすことが重要になります。そのため直径30μmのメサ構造を形成して接合容量を小さくしています。メサ構造を剥き出しにすると表面に電流が流れて暗電流となりやすいので、誘電体層5で埋め込んだ構造にしてあります。

 応答速度を高速にする決定的な構造はありませんが、感度が低下しない範囲でキャリアの走行時間と接合容量のうち、応答速度を低下させる主要因になっている方を改善するという手段がとられています。
 

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