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zoom RSS 半導体レーザのモニタ

<<   作成日時 : 2010/04/11 17:06   >>

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 このところ発光素子と組み合わせた受光素子という話題を取り上げてきましたが、今回はその最後として発光素子のモニタ(監視)用受光素子について紹介することにします。

 受光素子の重要な用途として半導体レーザのモニタ素子があります。ほとんどすべての半導体レーザは受光素子をセットで備え、光出力が監視できるようになっています。1個の半導体レーザのチップをパッケージに収めて使用する場合は、図A(特開平7-297493号より)のように同じパッケージ内に受光素子(フォトダイオード)50を入れて半導体レーザ40の光を受けるようにしてあるのが普通です。
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 端面発光型半導体レーザの場合は前後両方の端面からレーザ光を出射できるので、図のように前方から出射する光を透明な窓70を通して外に出して出力光として利用し、後方から出射する光をモニタ用フォトダーオード50に入射させて光強度を監視することができます。前後に出る光は端面に施されるコーティングなどによって強さが違うのが普通ですが、同じ光共振器から出る光ですから前後の強さは違っていても強さの変化を監視するためには問題ありません。

 なぜわざわざ受光素子を組み合わせて光強度を監視しなければならないのでしょうか。半導体レーザの出射光の強度と波長はともに温度によって敏感に変化します。外気の温度はどう変化するかわかりませんし、半導体レーザ自身も発熱するので、素子温度は装置を使い始めたときと後では変化してしまう可能性があります。そのようなときでも光の強度や波長を一定に保つためにはどうしても監視が必要です。

 もう少し具体的に説明するために図Bを見て下さい。この図は半導体レーザの電流Iと光出力(パワー)Lの関係(I−L特性)を概略的に示したものです。ある温度Tのとき、青線で示すI−L特性だったものが、温度がTに上がると赤線のように変化します。レーザ発振のしきい電流が上昇するためです。

 いま光出力をPにして使いたい場合、温度Tのときなら電流Iを流せばよいわけですが、温度がTになってしまったときにも電流をIのままにしておくと、光出力はPに下がってしまいます。I−L特性の傾きはかなり急ですから光出力の変化はかなり大きくなってしまいます。

 この場合、電流をIに増やすのが、出力をPに戻す手っ取り早い手段です。もちろん温度を冷やしてTに戻すのが根本的な対策ですが、これは普通時間がかかってしまうので対応が遅れるのは覚悟しなければなりません。

 モニタ用フォトダイオードがあれば、光出力を自動的に一定に保つことができます。光強度を直接測定していれば、温度変化に限らず何らかの原因で光出力が変動した場合にも対応できます。フォトダイオードは応答が速いので変動に対して素早く対策を打つことができます。

 図Cは具体的な自動パワー制御回路の一例です。このように光強度を自動的に一定に保つシステムを自動パワー制御(Automatic Power Control、略してAPC)システムと呼びます。長円の中に示された半導体レーザ(LD)100とフォトダイオード(PD)104がパッケージされた図Aのような素子を示します。その他の部分は外部につながれた電子回路を示しています。

 PDの出力電流は可変抵抗器(VR)105によって電圧に変換され、必要に応じて増幅された後、演算増幅器(オペアンプ)103に入力されます。このアンプは比較器の役割をもっていて一方の入力端子にPDからの電圧が入力され、もう一方の入力端子には可変抵抗器(VR)102によって設定された基準電圧が入力されます。すると2つの入力端子の電圧の差に比例した出力を符号を変えて出力します。

 光出力が下がるとアンプの入力電圧は基準電圧に比べて下がるので、出力電圧が上がります。この出力はトランジスタ(TR)101のベースにつながっているので、そのコレクタにつながっているLDに流れる電流が増え、光出力を元に戻す方向にはたらくことになります。

 図D(特開2001-313613号より)は光強度と波長、さらには温度もコントロールするように作られた半導体レーザモジュールの例です。半導体レーザは温度や電流によって出射光の波長も変化します。これを一定に保つためにも受光素子が使われます。
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 半導体レーザ101から前方に出射した光は光変調された後、レンズ12などを通って光ファイバ15に入ります。後方に出射した光はレンズ17を通り、2つのフォトダイオード103、106に入りますが、一方のフォトダイオード106の前に波長フィルタ18が置かれています。

 波長を検出するための波長フィルタは狭い波長範囲の光だけを透過します。ある波長範囲だけ通すので波長が少しずれると通って出てくる光の強度が下がります。これを後ろに置いたフォトダイオードで捉えれば波長の変化も監視することができます。

 温度の測定は温度検出素子20によって行われます。これには温度によって抵抗値が変わるサーミスタという素子がよく使われます。このサーミスタは半導体レーザなどが取り付けられている基台(ステム)22の温度を測ります。ステムの温度は熱電子冷却素子(ペルチェ素子)21で上げることも下げることもできます。

 測定するのは光強度、波長、温度の変化です。この結果を使って半導体レーザに流す電流と温度を変えて、光出力と波長を一定に保とうというものです。なおAPCと同じように自動波長制御のことをAWC、自動温度制御のことをATCと言うこともあります、

 複数の測定結果を使って電流や温度をどう変化させてコントロールするのかは非常に複雑でやり方は一つではありません。現在ではコンピュータ(マイクロプロセッサ)が手軽に使えるようになったので、非常に複雑な手順であってもそれをプログラミングしてしまえば、あとはそれほど問題なく動作させることができます。しかし図Dの装置は非常に精密なコントロールのためには必要ですが、目的によってはここまで必要とされない場合もあります。目的によってどの程度正確なコントロールが必要かを見定め、装置とプログラムを設計することが重要です。

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