石くれと砂粒の世界

アクセスカウンタ

zoom RSS 半導体の理論と応用

<<   作成日時 : 2010/04/25 22:01   >>

面白い ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

 前回予告しましたが、半導体デバイスの紹介が一段落したところで、これからは充分時間をかけて半導体の基礎理論を勉強していきたいと思っています。どういうやり方をするか考えていたのですが、何の拠り所もなく進めるのは荷が重く挫折しそうです。なにか教科書となる本を一冊決めて、それを読み進めながらいろいろなことを幅広く考えていく、というのがいいのではないかと思います。
画像
 そこで教科書選びが重要になりますが、「半導体の理論と応用」という本にすることにしました。この本はなんと1960年5月、今からちょうど50年前に出版されたとてつもなく古い本です。なぜそんな古い本を選ぶのか少し説明しますが、その前に書誌的なことを書いておきます。

著者:植村泰忠、菊池 誠
署名:「半導体の理論と応用(上)−その半世紀の歩み−」
出版社/出版年:裳華房(物理学選書の第6巻)/昭和35(1960)年

 著者の植村泰忠博士はすでに故人ですが、執筆時は東大の物理学科の教授、菊池誠博士は執筆時は電子技術総合研究所(現、産業技術総合研究所)の特別研究室長でその後ソニーの研究所長などを歴任された方です。

 本書は上巻と3年後の1963年に出版された中巻(こちらは菊池氏の単著)がありますが、下巻は出版されないままになっています。上巻の序文には上下2巻にすると書かれていますが、中巻には上中下3巻に改めたと書かれ、出版計画が曲折したことが伺われます。下巻が出版されなかった理由は知りませんが、半導体工業の急激な拡大、発展が影響していると思います。下巻の出版を待ちわびた一人として残念ですが、致し方のないことかと思います。

 上巻は約470ページの大冊ですが、目次をみると、つぎの4つの章からなっていることがわかります。
   第1章 半導体研究の始まり
   第2章 半導体のWilson模型
   第3章 金属整流器の発展
   第4章 Si、Geダイオードおよびトランジスタの発展

 第1章は半導体で起こる現象から、導体や絶縁体との違いを説明しています。この半導体特有の現象がなぜ起こるのかを解明するのが半導体そのものの研究の目的になります。第2章こそが半導体の基礎理論を論じた章です。本書の約半分の230ページを費やしていろいろな角度から半導体内の電子についての理論を説明しています。第3章の金属整流器という言葉は現在ほとんど用いられていないので、何のことかわかりにくいですが、金属と半導体を接触させたときの整流現象について説明されています。ショットキバリアの説明と言ってもよいかも知れません。第4章はpn接合ダイオード、トランジスタが説明されます。どちらかというと理論よりも実験的な内容が主になっています。

 序文によると、1960年当時というのは、すでに日本のトランジスタの生産量は世界のトップクラスに達しており、半導体関連の成書、訳書も多く出版されるようになってきた時代です。50年前というと随分昔のような気がしますが、終戦からすでに15年を経過し、日本の電子工業もようやく軌道に乗ってきたと言える時期でしょうか。

 そのような時期における本書出版の意義について、序文の一節を引用します。
「半導体の工業や研究に従事されている多忙な技術者が、たままた余暇を見出してゆっくり半導体研究の歩んで来た道を振り返り、自分の仕事をその発展の流れのなかで位置づけて新しい前進を想われるときがあったとしよう。そんな場合に何かの形で本書を役立てていただければ幸である。」

 ここの「ゆっくり」にはありませんが、このあとに出てくる「ゆっくり」あるいは「急がずゆっくり」には5ヶ所もアンダーラインが引かれています。50年も前にもうこんなことが言われていたのかという驚きもありますが、今こそじっくりこれまでを振り返り新しい道を探すことが必要な気がします。これが本書を選んだ理由です。なにもこんな古い本をとも思いますが、半導体の惣明期について詳述した本書に類する本はその後も現れていないと思います。

 本書はもちろん現在では古本しか手に入りません。今手元にあるのは初版から14年後に出された第9版ですが、このように本書は専門書としては多くの版を重ね、出版部数も相当な数になっているはずです。このため理工系の大学や電子工業関係の研究機関の図書館、図書室で比較的容易に手にとることができるでしょう。ことによると一般の図書館にもあるかもしれません。




これが半導体の全貌だ!?現役記者が明かす半導体のすべて
かんき出版
泉谷 渉

ユーザレビュー:
半導体業界が半日で理 ...
中級者向け入門書っぽ ...
十分1680円の値打 ...

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ウェブリブログ商品ポータルで情報を見る

最新 これが半導体の全貌だ!?産業、しくみ、マーケティングのすべて 激動する業界動向を現役専門記者が書きおろした最新版
かんき出版
泉谷 渉

ユーザレビュー:
大変お世話になりまし ...
他にもいい本が今はあ ...
組込みシステムエンジ ...

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ウェブリブログ商品ポータルで情報を見る

半導体デバイス (series電気・電子・情報系)
共立出版
松波 弘之

ユーザレビュー:
ほぼ全体が理論系入門 ...
半導体の基礎が理解で ...

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ウェブリブログ商品ポータルで情報を見る

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
面白い

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
半導体の理論と応用 石くれと砂粒の世界/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる