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zoom RSS 整流現象の発見

<<   作成日時 : 2010/05/30 17:30   >>

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 整流現象は2つの物質の界面で起こる現象で単独の半導体内の現象ではないので、単独の半導体に特徴的な現象とは区別して取り扱われています。「光起電力の現象」も単独の半導体の現象でない点で共通しています。

 最初の整流現象が最初に発見されたのは19世紀のことですが、当時はまだpn接合はない時代ですから、金属と半導体が接触した系での発見です。

 本書(*)によると1874年にA. Schusterという人が錆びた銅と錆びない銅との接触面で整流作用を発見したのが最初のようです。錆びた銅は恐らく亜酸化銅(CuO)になっていて、これが半導体としてはたらいたと推測されます。
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 また同じ年にF. Braunという人がPbS(鉱物名としてガラナと呼ばれている)に図Aのように銅や鉄などの金属針を立て、電源をつないで電流を流したときに図Bのような整流特性があることを発見しています。これはいわゆる点接触型整流器の始まりです。

 これから70年以上後にバーディーンとブラッテンが最初に作ったトランジスタも点接触を使いました。ある一定の面積の半導体と金属の均一な接触を作るには一定の技術がないと難しいのですが、点接触の場合はうまくいく点を探せばよいので楽に望みの特性を得やすいと言えます。このような手段は19世紀からすでに知られていたということになります。

 本書第1章の後半は「半導体の特長はどのように利用されたか」(1.2)となっていますが、ここに整流現象の応用として整流器が説明されています。先走ってそこを読んでみると、半導体整流器は1920年代には実用化されていたようです。

 しかしなぜ整流という作用が生じるのかはこの時点になっても諸説があってはっきりしていなかったとされています。なぜそうなるのかはわからなくてもデバイスとして応用はできてしまうという一つの例です。

 整流現象の理論的説明は本書の後の章で詳しく解説されますが、このような理論は1930年代以降にできあがったものです。電子に対する障壁というモデルを考え整流現象が説明できることは現代ではよく知られています。

 しかし図Bに示すように極性が違うVという電圧をダイオードにかけたとき、流れる電流IとIの比が100:1なのか、10:1なのかは理論の助けを借りないとわかりません。逆に言えば、理論が正しいかどうかは実際に起こる整流の電流比が説明できるかにかかっています。また応用上は整流器として電流比が100:1なら使えるのか、10:1でもよいのかなど、数値的な判断が必要です。こういう目的のためには理論を使った計算によって数値を出すことがどうしても必要になります。

 理論については後に立ち入ることにして、技術の発展の歴史上、興味あることが本書に書かれているので、それに触れておきます。

 点接触型のダイオードは20世紀はじめ頃には無線通信の受信機に使う検波器として実用化されつつありました。鉱石検波器とも呼ばれるものです。

 ところが「その頃から急速な発達をとげた真空管がその役割を奪ってしま」うということが起こりました。これは2極真空管の話ですが、トランジスタの発明までにはさらに半世紀近く待たなければならなかったので、この間、3極あるいは5極真空管を使った増幅器は変わる物がない状態でした。

 ところが戦時に必要とされたレーダには極超短波を使うため、真空管による検波では無理ということになり、半導体の点接触型整流器が再登場することになりました。これがその後のトランジスタの発明などの呼び水になったそうです。

 真空管からトランジスタへというのが、電子工学における技術の発展について説明するときの常識になっていますが、ダイオードについては真空管の前に半導体式があったのです。これは面白い発見でした。

(*)植村泰忠、菊池誠著、「半導体の理論と応用(上)」、裳華房

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