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zoom RSS 半導体の基礎理論

<<   作成日時 : 2010/06/06 23:58   >>

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 第2章は本書(*)の中心とも言うべき「半導体のWilson模型」という基礎理論の説明がなされます。そこに入る前に、この半導体の基礎理論は何を解明するために作られたのかを整理しておきます。本書でも第2章の冒頭に「第2章ではどのような問題を扱うか」という節が設けられて、このことが説明されています。

 第1章で概観されたように、19世紀中にすでに半導体に特有の性質が実験的には大体のところ分かっていました。例えば、半導体の電気伝導と金属のそれとでは温度変化が起きたときの変化がまったく違うことが知られていました。

 またホール効果を計ったとき、半導体では金属では観測されない正の電荷が動いているとみなせる結果が出ることがあるのも知られていました。

 さらに半導体に光が当たったときに電気伝導がどう変わるか、つまり光伝導とか光起電力といった半導体に特有の現象も知られていました。

 一方、理論の面では19世紀中に古典力学(ニュートン力学とも言います)の理論は数学を駆使した理論として完成されていました。また古典電磁気学もマックスウェルの方程式という形で数学的に定式化されていました。

 電子を負の電荷をもった粒子とみて、これらの古典力学、電磁気学を適用し、電子の動きを解明しようとしたのが、本書でも扱われている古典電子論です。この古典電子論でも一部の電気伝導現象は説明できましたが、半導体と金属の違いだとか、光伝導がなぜ起こるかといった半導体特有の現象は説明できませんでした。

 これらの解明は20世紀に登場する量子力学を待つしかなかったのです。この量子力学では電子は単なる負の電荷をもった粒子ではなく、波動としての性質ももっていると考えます。しかしこの量子力学も実際に適用しようとすると、例えば陽子1個と電子1個でできている水素原子について電子のエネルギーを計算するだけでかなり大変で、多数の原子が並んだ固体中の電子のエネルギーを計算するのは不可能でした。

 そこで直接、量子力学を適用するのではなく、固体中に原子が規則的に並んでいることを仮定し、そのなかで波動としての性質をもった電子がどのようなエネルギーをもつかを解析したエネルギー帯理論(エネルギーバンド理論)という理論が考え出されました。

 このエネルギー帯理論をベースに半導体中の電子のエネルギーと濃度の関係を示したのがウィルソン模型(ウィルソン・モデル)です。

 このウィルソン模型を使って実際の半導体について計算してみると、上記の半導体特有の現象がどうして起こるのかが分かってきたのです。ウィルソン模型は現代ではほとんど当たり前のことと考えられるようになり、最近の半導体の本などではその名前すらあまり書かれなくなっているほど、半導体にとっての基本中の基本の理論になっています。

 次回以降、本書第2章を読みながら、この理論を少しずつ勉強していくことにしましょう。

(*)植村泰忠、菊池誠著、「半導体の理論と応用(上)」、裳華房

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