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zoom RSS 拡散現象

<<   作成日時 : 2010/07/11 21:43   >>

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 古典電子論による解析の例として本書(*)は拡散現象についても取り上げています。主としてアインシュタインの式の導出を紹介していますが、わずか1ページ半ほどであっさりと扱われているので、かなり予備知識がないと難しいかと思います。

 拡散現象は電子の運動にも重要ですから、ここでは基礎から説明することにします。拡散現象の基本法則と言えるのがフィック(Fick)の法則です。フィックの法則には第1、第2の2つの法則があります。

<フィックの第1法則>

 拡散は本来、3次元の空間で起こるのですが、簡単のために図A(1)に示すような細い管のなかの粒子の動き、すなわち1次元で考えることにします。1次元をx軸方向とすれば、粒子の濃度Nが位置xに関して変動していると、粒子は濃度の高い方から低い方へ移動するというのが拡散の現象です。
画像
 この現象を式で表現したのがフィックの法則ですが、その第1法則は濃度の勾配dN/dxに比例して濃度の大きい方から小さい方向に向かって粒子が流れることを示したものです。

 粒子の流れを流束Jで示し、1次元の式で書くと
   (1)
がフィックの第1法則です。ここで、Dは拡散定数と呼ばれます。

 
<フィックの第2法則>

 第1法則によれば、dN/dxが一定でなければ、流束Jはxによって変化します。図Bの(2)のようにx=x1とx=x2の間で濃度Nが直線でなく変化していると、例えばx=x1でJ=J1、x=x2でJ=J2となったとします。x1とx2が近く、x2−x1=Δxが小さいとすると。
   (2)
画像
 一方、Δxの範囲内にJ1が流れ込み、J2が流れ出ると、J1とJ2は異なるので、この範囲内の濃度nは時間変化します。つまり
   (3)

 (2)、(3)式と(1)式の第1法則から
   (4)
が得られます。これがフィックの第2法則です。ただしDはxのよらず一定としました。また、微分をここで偏微分に変えましたが、これは変数が位置xと時間tの2つになり、ここでは、xかtのどちらか一方で微分することをはっきりさせるためです。

 (4)式によれば、t=0のときのN(x,t=0)を定めれば、その後のN(x,t)を求めることができます。ただし、具体的な関数として求められるのは特殊なケースだけです。図Cのようにt=0で、nがx=0のところだけにN0の濃度である場合には(4)式は解くことができ、その解は
   (5)
となります。この解法はここでは書きませんが、典型的な微分方程式の解法ですので、解法手順を解説した書は多くあると思います。
画像
 (5)式は大雑把に描けば図Cのような形をした関数です。t=0でx=0のところだけにあった粒子が時間が経過すると図のように左右対称な関数になりますが、xが大きいところではnは0になります。時間が経っても遠くまでは粒子が達しないことを示しています。ただし全体の粒子数は変わりませんからn(x)を−∞から+∞まで積分した値はN0一定です。

 nがN0の1/eになる点(x)は
    (6)
となる。このxの値が拡散する距離の目安としてよく使われます。
 次回は以上をベースに古典電子論によりアインシュタインの関係を求めます。

(*)植村泰忠、菊池誠著、「半導体の理論と応用(上)」、裳華房

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