石くれと砂粒の世界

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zoom RSS 境界条件(その1)

<<   作成日時 : 2010/11/09 23:53   >>

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 自由電子モデルのシュレーディンガー方程式をx成分は前回の(4x)式です。
   (1)
 この方程式の解として前回の(5−1)式と(5−2)式を重ね合わせた形を書くと
   (2)
となります。ただし
 

 この係数は特定の位置xでのX(x)の値がわかっていれば決めることができます。この条件が境界条件です。
画像
 まず第1の場合ですが、結晶の端で波動関数が0になるという条件が考えられます。図Aのように結晶を一辺の長さLの立方体とし、立方体の1頂点を座標の原点にとり、3辺に沿って座標軸をとります。このとき上記条件を式で書けば
   (3)
となります。本書(*)では式はかいつまんで書かれていますが、最初なのでここではやや丁寧に式の展開を追っておきます。

 (3)式の条件を(2)式に入れると
   (4)
   (5)
が得られます。(4)式を(5)式に用いて、オイラーの公式を用いると
 
となります。sin(x)が0になるのは
 
 
ですから、波動関数は
   (6)
となります。

 ここでこれまで触れませんでしたが、重要な条件がまだあります。それは波動関数とその共役関数の積
 
は電子の存在確率を表すと解釈されているということです。これを全空間で積分すると
対象としている電子はすべてその空間内に存在しているわけですから、
 
となります。この条件は波動関数の規格化条件と呼ばれています。上式の波動関数Xについての規格化条件は
 
です。(6)式の波動関数を代入すると
   (7)
となりますが、この三角関数の積分は高校数学の範囲です。

 この積分を計算するための普通の方法は倍角の公式
 
を使います。(7)式左辺は次のように計算できます。
 
 

 これが1に等しいわけですから、
 
となります。これより規格化した波動関数は(6)式より
   (8)
となります。ただしgx=1,2,・・・です。固有エネルギーのx成分は
 
3次元の全エネルギーは
   (9)
となります。gyもgzも自然数です。

 この結果よりエネルギーはとびとびの値しかとれないことになります。

 これは古典力学では定在波のイメージです。詳しくは書きませんが、両端を留めた弦の振動は(8)式と同じような形で表され、弦の長さの整数分の1の振動しかできません。図Bはそのイメージを描いた図です。バイオリンやギターの弦をある位置で押さえるときまった音しか出ないのはこのためです。

 意味はまったくちがうのですが、結晶の端部で波動関数が0になる境界条件での解の形は式の上では定在波と同じようになります。この境界条件は量子井戸内に閉じ込められた電子の波動関数の計算のときに登場します。これはいずれどこかでもう一度触れることがあると思います。

(*)植村泰忠、菊池誠著、「半導体の理論と応用(上)」、裳華房

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