石くれと砂粒の世界

アクセスカウンタ

zoom RSS 孤立した原子からの近似(その2)

<<   作成日時 : 2011/03/27 18:56   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

 結晶中の電子でも原子核の近くにいる場合には孤立した原子の電子とほとんど同じような状態にあると考えてもよいでしょう。ただ結晶中では複数の原子核の影響を受ける電子もあるはずで、このような電子が結晶中を動くことが考えられます。

 本書(*)は1次元での理論を紹介していますので、それに沿って説明します。まず孤立した原子の一電子に対するシュレディンガー方程式は
 
となります。U(x)は電子のポテンシャルエネルギー、φ(x)は波動関数、ε0は固有エネルギーです。

 この原子が間隔aで周期的に並んでいる場合には、ポテンシャルエネルギーV(x)は図Aのように周期的になり、
 
と表せます。ここでnは整数で、naが格子点の位置を表します。このような格子内の電子に対するシュレディンガー方程式は
 
となります。
画像
 図Aのポテンシャルエネルギーをみると個々の原子の近くの電子はほとんど孤立した原子の電子と同様な状態にあると考えられますから、n番目の原子の波動関数をφ(x-na)とすれば、結晶全体の波動関数ψ(x)はφ(x-na)の1次結合(係数Cnを付けた単純な足し合わせ)
 
で表せると考えられます。

 ψk(x)は周期関数のはずですからブロッホの定理を満たさなければなりません。
 
このためには
 
であればよいことがわかります。Aは規格化のための係数です。すなわち
 

 ここで量子力学の定義に従って、ψkに対するエネルギーの平均値(期待値)は
   (1)
と書けます。このエネルギーがどうなるかを計算します。まず上式を
   (2)
と書き直します。ただし
   (3)
   (4)
です。
 まず(3)、(4)式より
    
です。また
 
が成り立ちます。さらに
 
と置きます。ここでJn,n'は
 
です。これは
 
   
   
となります。以上より
    
であることがわかります。これよりSn',n、Jn',n、Hn',nはいずれもn-n'だけに依存します。そこで
       
と書きます。
画像
 S(n-n')はn=n'のとき1となります。一方、n≠n'のときはn-n'が大きくなるほど小さくなりますから、n≠n'のときは近似的にすべて0とします。
 
    

 また、J(n-n')もS(n-n')同様にn-n'が大きくなると小さくなります。J(0)とJ(1)は同程度の大きさなのでこれだけ残し、他は小さいとして無視します。

 以上より
   (5)
が得られ、エネルギーがkの関数として表されます。

 kの取り得る値は、巡回境界条件を適用すると
 
の範囲です。(5)式から、εとkの関係は図Bのようになる。

 結晶の長さをLとすると、kは
 
のL/a(=N)個の値をとることができる。
画像
 このことから孤立した原子の電子のエネルギーε0は結晶内では原子の数Nだけのエネルギー準位に分かれ、(5)式から図Cに示すように幅4J(1)の幅に広がることが分かります。Nは通常、非常に大きいので準位間のエネルギー差は小さく、ほとんど連続したバンドを形成することがわかります。

 以上は3次元に拡張ができますから、具体的な物質についてもう少し考えを進めることができます。

(*)植村泰忠、菊池誠著、「半導体の理論と応用(上)」、裳華房

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
孤立した原子からの近似(その2) 石くれと砂粒の世界/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる