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zoom RSS 電子密度と正孔密度

<<   作成日時 : 2011/05/29 18:38   >>

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 とくに断らずに進めてきましたが、これまでの話はとくに不純物を含まない半導体(これを真性半導体といいます)についてのものでした。この真性半導体の場合、価電子帯から電子が励起されると、正孔ができますから伝導帯の電子の数と価電子帯の正孔の数は等しくなります。

 すなわち
 
と書けます。niを真性キャリア密度と呼んでいます。この関係から
  (1)
も成り立ちます。この関係を質量作用の法則と言います。少し奇妙な名前です。よく知られている質量作用の法則は化学の分野での化学反応の平衡に関する法則です。

 物質A、aモルとB、bモルが反応して物質M、mモルとN、nモルができる化学反応式を
 
と書きます。この反応が平衡状態にある、つまり左から右へ進む反応と右から左へ進む官能が釣り合っているとき、A、B、M、Nの濃度を
とすると、その間に
 
という関係が成り立つというのが、質量作用の法則です。ここでKは定数です(ただし温度には依存します)。

 これと電子、正孔の質量作用の法則の関係は本書(*)に書かれています。こういうところが本書の面白いところです。本書によると、化学反応式に相当する式を
 (伝導帯の電子密度n)+(価電子帯の正孔密度p)
     (伝導帯の電子の状態密度Nc)+(価電子帯の電子の状態密度Nv
とみなします。すると対応する質量作用の法則は
   (2)
と書けます。これまで導いたnとpの式をもう一度書くと、
   (3)
   (4)
です。これを(1)式に代入すると
 
  
となります。ただし
 
とし、Egはバンドギャップエネルギーです。これより(2)式のKは
 
となり、温度のみに依存する定数であることがわかります。

 このような類似から、化学反応ではありませんが、電子と正孔の密度の間の関係も質量作用の法則と呼んでいます。なお、ni
 
となります。

 ところでn=pですから、(3)、(4)式を用いると
 
が成り立ちます。両辺の対数をとると、
 
となります。これをEFについて解くと
 
となります。NcとNvを有効質量を使った形に戻し、価電子帯の頂上をエネルギーの原点にとる(Ev=0)と
   (5)
となります。
画像
 この式で、はせいぜい10くらいの値ですからlnをとっても一桁程度の値です。またkBTは室温(T=300K)で0.026eVです、(5)式の右辺第1項はEgが1eV程度ですから、これに比べて右辺第2項は無視できます。したがって
 
となり、フェルミエネルギーはバンドギャップの中央付近にあることがわかります。

 以上は真性半導体の性質です。次回からは不純物がドープされた場合を考えます。

(*)植村泰忠、菊池誠著、「半導体の理論と応用(上)」、裳華房

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