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zoom RSS pn接合を流れる電流(その2)

<<   作成日時 : 2011/09/07 20:32   >>

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 前回、pn接合に外部から電位差を与えた場合に、n側、p側の電子、正孔濃度を求めました。ただし外部から電位差を与えている、言い換えれば外部に電源をつないで電圧をかけている状態では、電子、正孔は全体として留まっていることはなく移動していますから、外部回路に電流が流れます。

 今回は、以上を念頭にpn接合を流れる電流の式を求めます。電子、正孔の移動は第一に電界がかかることによって起きます。これによって流れる電流をドリフト電流と言うことがありますが、これは古典電子論のところで求めたようにオームの法則で表されます(http://sunatsubu.at.webry.info/201006/article_4.html)。
   (1)
ここでnは電子濃度、μは電子の移動度、Eは電界です。
 
 また電荷の有無には関係なく、粒子の濃度に濃淡があると粒子は拡散という現象で濃度の濃い部分から薄い部分へ動いて濃度を一様にしようとします。粒子が電荷をもっていればこの拡散によっても電流が生まれます。これが第二の場合で、これを拡散電流と言い、すでに式を求めています(http://sunatsubu.at.webry.info/201007/article_2.html)。
   (2)
ただしDは拡散定数です。

 この2つの式がそのままpn接合を流れる電流を表すわけではありません。pn接合を作る半導体へのキャリアの出入りの収支が合っていることが必要です。そこで図Aに示すように、断面積が1(単位面積)の半導体をx方向(1次元)に流れる電子を考えます。微小な長さdxの長さの部分への電子の出入りを考えます。
画像
 この部分の中の電子数の変化は
   (3)
と書けます。ここでJnは電子が移動することによる電流で、右辺第1項が入ってくる電子数、第2項が出て行く電子の数で、この両者の差がdxの中の電子数の変化に相当します。

 しかしdxの中で消えたり生まれたりする電子もあり得ます。例えば電子と正孔が再結合して消滅することがあり、また価電子が励起されて電子が生成されることもあります。

 (3)式右辺第3項は電子の再結合による消滅を表しています。Rnは再結合係数です。もちろん電子の生成を表す項も必要ですが、ここでは外部から流れ込む電子の方が支配的と考え、内部で生成する電子の項は省略しています。

 dxは微小距離ですからこの幅のなかでの電流の変化は直線的(線形)とみなしてよいでしょう。それを式で表すと
 
となります。これを(3)式に入れると
   (4)
が得られます。これは「電流連続の式」と呼ばれる電磁気学における基本式です。半導体中を流れる電流はこの式を満たしている必要があります。ここでRnは電子の寿命τnを用いて
 
と書けるので、電流連続の式は
   (5)
とも書けます。

 さてpn接合を流れる電流は障壁を乗り越える方向に流れますから、ドリフト電流は原理的に流れず、拡散電流のみと考えられます。そこで(5)式に(2)式を入れて、
 
  (6)
を得ます。ただし電子の拡散定数をDnとします。

 いま考えるのは定常状態での電流ですから、dn/dt=0とすると次の式を得ます。
   (7)
ここで、Δnは電子濃度nの平衡状態(電圧のかかっていない状態)の濃度n0のからのずれですから(7)式は
   (8)
となります。この微分方程式を解くためには境界条件が必要です。ここに前回求めたp側の電子濃度を使います。pn接合の電位障壁のp側の一番端の位置をx=dとすると、この点での電子濃度n(d)は前回の結果より、
   (9)
であるはずですから、これを一つの境界条件とします。もう一つはp側の接合から十分遠い位置での電子濃度をn(∞)とすると、
   (10)
が境界条件となります。

 (8)式の微分方程式を境界条件(9)、(10)のもとで解くと(解法は脇道が長くなるのでここでは割愛します)、
   (11)
となります。

 (2)式を用いてx=dにおいて流れる電流Inを求めると
   (12)
となります。ここで
 
と置きました。正孔による電流Ipも同様にして
   (13)
となります。全電流Iは(12)、(13)式の和をとって
 
ここで
 
とおいて
   (14)
が得られます。
画像
 (14)式のI-Vb特性をグラフに書くと図Bのようになります。一例としてIs=0.1mA、kBT=0.025eVとして計算したものです。Vb>0(順バイアス)の場合、(14)式の指数関数は急増し、すぐに1より大きくなるので、電流I+
 
と指数関数で近似されます。一方、Vb<0(逆バイアス)の場合は指数関数の項は0に近づきますから
 
となり、電流は一定値Isに近づきます。これを飽和すると言い、Isを飽和電流と言います。

 逆バイアスの場合は電子、正孔にとってpn接合の障壁はなくなります。このためドリフト電流が流れ、電流は電圧とともに増加しそうに思えますが、そうはならないことが示されています。これは上流側の電子または正孔は少数キャリアでその濃度が小さく、外部からはキャリアが供給されないためです。

 以上からpn接合に流れる電流は外部電圧の方向に対して非対称であることが示されました。飽和電流は非常に小さいので、pn接合ダイオードにはほとんど一方向にしか電流が流れないことになります。この性質を利用して交流を直流に直す整流ができます。

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