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zoom RSS バイポーラトランジスタを流れる電流(数値の検討)

<<   作成日時 : 2011/10/23 20:21   >>

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 前回求めたエミッタ電流、コレクタ電流の式は眺めているだけではまったくイメージが掴めないと思います。今回はこれに具体的数字を当てはめて各式を見直してみます。なお、前回掲載時の式には誤りがありました。既に前回ページは訂正してありますが、ここにも式を再掲します。

 エミッタ電流IE
 
  
    (1)

 コレクタ電流IC
 
  
    (2)

 この式を使って電流IEとICの電圧に対する変化を調べます。外部からトランジスタにかける電圧はエミッタ−ベース間のVEBとコレクタ−ベース間のVCBの2つです。前に図示したようにそれぞれ別々の電源を使いますから、2つの電圧はそれぞれ自由な値の電圧をかけることができます。
画像
 (1)、(2)式ともこれらの電圧はexp(eVEB/kT)-1、exp(eVCB/kT)-1の形で入っています。これらはpn接合ダイオードの電流を表す式と同じ形です。前にも説明していますが、電圧が正の場合には電圧の増加によってexpは急増します。kTは室温で約0.025eVですから、expの指数は電圧が0.025eVのとき1になり、expの値はすでに約2.7です。0.1Vでも50を越える値になり、exp(eV/kT)-1の−1はすぐに無視できるようになります。一方、電圧が負の場合は、expの値は1より小さく、負電圧が大きくなるにつれ次第に0に近づき、1を引いた値は0から−1に近づきます。

 もう一つ、式(1)、(2)のなかに双曲線関数の形で何回も出てくる数はexp(W/Ln)とexp(W/Lp)です。少数キャリアの拡散距離LnとLpは
 
 
と表されますから、この値は半導体材料の物理定数によって決まります。拡散定数Dn、Dpは例えばシリコンでは大体10-32/s程度の値です。数値例としてはDnは4×10-32/s、Dpは1×10-32/sとします。

 また少数キャリアの寿命τn、τpは電子の方が正孔より1桁ほど長くなっています。数値例としてはτnは300μs程度、τpは40μs程度です。これらを上式に当てはめると、Lnは約1mm、Lpは約0.2mmとなります。

 一方、ベース領域の長さは素子の設計によって決まりますが、半導体の結晶層の厚さですから1mmといった値になることはまずなく、これよりずっと小さい数μm程度の値です。つまりw/Lは1/1000程度の小さい値になります。これのexpの値は1に近い値になります。

 このときsinhはほぼ0ですから、式中の逆数1/sinhはかなり大きな値(103程度)になります。またcothはほぼsinhの逆数に近い値ですからこれも103程度の大きな値になります。

ところでWはベースの層の厚みではなく、ベース層両端にできる空乏層の厚みを除いた電界のかかっていない部分の厚みです。空乏層の厚みは印加電圧に依存するので、Wも電圧に依存することになります。ただW/Lは1よりずっと小さいとすると、Wが多少変化しても影響は小さいので、Wは電圧によらず一定としても大きな誤差はないと考えられ、以下の計算ではWは電圧に依らず、一定とします。

 以上を踏まえて、(1)式からIE−VEB特性を計算します。もっとも重要なケースはトランジスタに電流が流れ、増幅作用が起こる場合です。トランジスタに電流が流れるためにはエミッタから電子が流入しコレクタへ抜けるようにします。このためにはエミッタ−ベース間pn接合を順バイアスにし、ベース−コレクタ間pn接合を逆バイアスにします。つまりVEB>0、VCB<0とします。

 (1)式右辺の第2項はVCBのみに依存する項です。Wは一定と仮定しますので、この項はVEBに対して変化しない定数項となります。この項があるので、VEBが0であってもIEは0になりません。しかしこの項の大きさはVCBが負方向に増大してもほとんど変化せず、値も小さくほとんど無視できる程度です。第3項はVEBに依存する項ですが係数が小さいため、第1項に比べると無視できます。結論としてはIEは図Aに示すようにVCBにはほとんど依らずにVEBに対して急増する特性となります。

 つぎに(2)式からIC−VCB特性を計算します。VEBは一定としますが、ICはVEBに大きく依存しますので、いくつかVEBを変えて計算します。実際にはIE
をパラメータにとっています。

 第2項の値はVCBを負方向に増やしても-0.1V辺りで飽和し以後一定になります。この値は第1項に比べて小さく、したがってICはほとんどIEに等しくなります。図BではパラメータのIEを切りのいい数字に選びました。参考までに対応するVEBは0.164V(1mA)、0.181V(2mA)、0.191V(3mA)、0.198V(4mA)です。

 なお、VCBを正極性にすると、第2項は急増するので、ICはは反転し負方向に急増します。

 なお、計算は行いませんが、Wが電圧に依存して変化する場合、ICは一定値にならず、少しずつ増加する特性になります。これはアーリー効果と呼ばれ、実際のトランジスタではむしろ通常見られる現象です。




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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
半導体の理論的な解説の部分を読ませて頂きました。
長い連載ですが,丁寧に解説されていて非常に参考に
なります。図もわかりやすく楽しく読めました.
有り難うございます。
勉強になります
2011/11/26 16:53
勉強になります 様

いつもお読みいただきありがとうございます。
考え違いや数式の不備等いろいろあろうかと思います。お分かりににくい点はご指摘いただければと思います。このところ更新が滞っておりますが、今後ともよろしくお願いします。
砂粒
2011/11/26 19:17

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