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<<   作成日時 : 2012/03/06 21:25   >>

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 前回、金属−絶縁体−半導体構造の半導体表面の電荷Qsとψsの関係を求めました。この表面の電荷の状態が実際にどうなっているかを知るにはどうしたらよいでしょうか。

 その有力な手段として一般的に用いられているのが静電容量を測定する方法です。誘電体を金属電極で挟んだ通常のコンデンサでは電極にかける電圧を変えても静電容量は変わりませんが、金属−絶縁体−半導体構造の容量は印加電圧によって変化します。その理由はこの容量は半導体の空乏層の容量を含んでいるからです。空乏層の幅は印加電圧によって変化しますから、その容量も変化します。したがって容量の値を測定すると空乏層の状態がわかるので、そのときの半導体の表面の状態がわかることになります。

 コンデンサの電極間に電圧Vをかけたとき、電極に電荷Qが溜まったとすると、このコンデンサの静電容量Cは
 
と表されますが、電圧の変化に対する電荷の変化を考えれば、Cは
 
と表されます。半導体の表面層の容量CDは前回のQsとψsを用いて
 
と表されます。前回のQsの式をψsで微分すると
 
  (1)

 金属−絶縁体−半導体構造全体の容量CはこのCDと絶縁体の容量C0の直列容量となり、測定ではこの値が得られます。
   (2)

 蓄積状態ではψs>0ですから、Qsのときと同じ近似を用いると(1)式は
 
となります。このCDはC0よりずっと大きくなります。その場合、(2)式の分母のC0は無視できますから、直列容量CはほとんどC0に一致するようになります。蓄積状態では絶縁体と半導体の界面に電子が蓄積され、絶縁体を電極で挟んだ状態とほとんど同じ状態とみなせるようになるからです。

 ψs=0のフラットバンド状態では、(1)式は分子も分母も0になってしまい、このままでは求められないので極限値を求める必要があります。まずp0/n0は小さいので分子分母でこれがかかっている項を無視します。すると
 
となります。ここで指数関数の項を
 
のように級数展開し、整理すると
 
   
ここでψsを0に近づけると、フラットバンドのCD
 
となることがわかります。

 空乏状態では
 
となり、CDはC<su>0より小さくなります。したがってCDそのものが全体容量Cとして観測されることになります。空乏層が広がるほど容量は減少しますから、電圧によって容量が変化するのが観測されます。

 反転状態でのCD
 
となり、CDは再びC0より大きくなりますから、全体容量CはC0に近づきます。これも反転状態では少数キャリアの正孔が絶縁体−半導体界面に蓄積してくるので、キャリアが違うだけで蓄積状態と同じように絶縁体が電極で挟まれた状態となると理解できます。

 以上の結果はCのψs依存性を示していますが、実際に測定できるのはCの外部電圧V依存性です。この外部電圧はψsと絶縁体層にかかる電圧V0の和です。
 
このV0は絶縁体層の容量C0と金属電極の電荷Qmを用いて
 
と表されます。このQmは電荷の中性条件から
 
が成り立っていなければなりません。したがってVは
   (2)
で与えられます。素子に電圧Vをかけると(2)式が成り立つようにV0とψsの配分が決まります。計算上はψsを与えるとQ,sub>sが決まりますから、V0が決まり、Vが決定できます。

 (1)式と(2)式を用いて計算した容量C-電圧V特性を図に示します。ここではC0を1とおいて示してあります。電圧がプラスのときが蓄積状態、電圧がマイナスのときが空乏、反転状態に対応します。
画像

 ところで静電容量の測定は普通、数100KHzから数MHz程度の高周波を使ってインピーダンスを測ることにより測定されます。ただしC-V特性は直流バイアスと高周波を重畳して測ります。ところがこのような測定を行うと、反転状態での容量はC0に近づかず、空乏状態で減少した値のままになる図の赤線で示したような結果が得られます。

 容量は電極の電荷が測定信号にしたがって変化する場合に測定されます。電極上に測定信号が変化しても変化しない電荷がある場合、それは容量の測定値には関与しません。半導体の少数キャリアは多数キャリアに比べるとゆっくりした変化にしかついていけません。動きが遅いのです。数100kHz程度のそれほど周波数の高くない高周波で測定しても少数キャリアは容量の測定値には効いてきません。そのため反転状態の容量は小さいままとなります。

 これを数式でみると、(1)式の分子、分母ともp0/n0がかかっている項は少数キャリアの正孔の濃度が高くなると効いてくる項ですから、これらの項を無視すれば、高周波における容量CDが得られるはずです。

 
  

 実は図の赤線の特性は上式によって計算したものです。高周波容量には関与しませんが、少数キャリアは存在します。空乏層は少数キャリアが発生し始めるとそれ以上広がりませんから、容量の値は一定となります。何らかの手段で少数キャリアの発生を抑えれば、容量は減少を続けるはずです。

 なお測定としてはやりにくいのですが、数Hzといった低周波を使った測定をすれば(1)式に従って図の青線に近い特性が得られます。

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