石くれと砂粒の世界

アクセスカウンタ

zoom RSS MOSFETのドレイン電流特性

<<   作成日時 : 2012/04/01 20:44   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

 MOSFETの動作原理についてはすでに説明しているので、詳細は繰り返しません(http://denkou.cdx.jp/Ele/E1/EF1_1.html 参照)。要は前回までに紹介したMOSダイオードの動作によって半導体表面が空乏状態になったり反転状態になったりするのを利用します。ただしMOSダイオードは間に絶縁体が挟まっているので電流を流すことはできません。そこで横方向つまり半導体表面に平行な方向に電流を流すようにします。以下ではこの電流の式を導きます。

 まず対象とするMOSFETの構造と外部結線を図Aに示します。ここではこれまでn型半導体の場合について考えてきたので、ここでもそれを踏襲します。この場合、ソース−ドレイン間のチャンネルを流れるキャリアは正孔となりますので、pチャンネル型と呼ばれます。
画像

 チャンネル方向にx軸をとり、ソース側の端部をx=0とします。チャンネルの長さをL、幅(図の奥行き方向)をWとします。チャンネルを流れる電流を通常ドレイン電流IDと呼びます。このID
 
と書けます。ここでQp(x)はチャンネル内の正孔による電荷密度、μpは正孔の移動度、Eはx方向の電界です。電位Vを用いて書き直すと
   (1)
となります。

 一方、チャンネルに垂直方向を考えると、チャンネルの反転電荷Qp(x)は
 
と書けます。ここでVthはしきい値電圧と呼ばれますが、この電圧の意味は元のn型半導体中の電子濃度と等しい反転電荷が半導体表面に生じるときの電圧で、反転状態がはっきりと生じる電圧を意味します。MOSFETの場合にはフラットバンド電圧VFBよりこのVthを基準として使いますので、これを以下に定義しておきます。
画像
 n型半導体中の電子濃度は
 
です。ここでn0は真性キャリア濃度、Eiは真性半導体のフェルミエネルギーつまりバンドギャップ中央のエネルギー、EFはn型半導体のフェルミエネルギーです。

 表面に反転電荷Qpが生じているとき、表面でのフェルミエネルギーをEFsとすると
 
ですから、このp(0)がnに等しいとすると
 
です。いま
 
と置くと、図Bに示すように、半導体表面にかかる電位差φs
 
のとき、p(0)=nとなることがわかります。したがってこのときのゲート電圧VGSがVthであると定義されます。

 このときのQpをQpmとすると
 
です。ただしC0は絶縁体層の容量です。

 このQpmはψs=2φbのときの空乏層電荷とすると
   (2)
と表されます。なお、VGSがVthを越えて負電圧になると、反転電荷が急激に増加し、空乏層はこれ以上広がりません。したがって高周波容量は一定となります。

 (2)式より、Vthはドナー濃度NDと絶縁体層の容量(言い換えれば厚みと誘電率)で決まることがわかります。もちろんこれは理想的な場合で、実際に界面準位等により変動が生じるのはフラットバンド電圧と同じです。そこでそのずれ分を考慮したフラットバンド電圧をVFBとすれば、実際のしきい電圧Vth
 
となります。

 さて話をもとに戻して、MOSFETに図Aのように電源を接続して反転状態が生じるようにゲート電極と半導体基板間にVGSを印加し、それとは別にドレイン−ソース間にVDSを印加します。このときx点における電位がV(x)であるとすると反転電荷は
 
と表されます。これを(1)式に代入し、xについてチャンネル長にわたって積分します。
 
    
ただし、x=0ではV=0、x=LではV=VDSです。

 ソース−ドレイン間で反転層が均一に形成されているとすると
 
であり、この場合にID
   (3)
となります。この式の特徴を以下のように(a)(b)(c)に場合分けして調べます。図Cはこの(a)(b)(c)に対応しています。
画像
(a)VDS≪VGS-Vthの場合(図C(a))
 VDSが小さいので、(3)式は
   (4)
と近似され、VGSを一定としたとき、ID-VDS特性は直線になります。

(b)VDS=VGS-Vthの場合(図C(b))
 いまx=Lの点では
 
となりますが、VGSはこれより大きくならないと反転層は発生しないので、
 
となると、x=Lでチャンネルが切れてしまうことを意味します。このときのVDSをピンチオフ電圧といいます。記号としてはVpとします。このときID
   (5)
となります。したがってIDはVDSによらず一定となります。

(c)VDS>VGS-Vthの場合(図C(c))
 こうなるとチャンネルは完全に切れ、反転領域はチャンネルのソース電極側の一部(x≦L'とします)だけになります。このとき
 
ですから、この場合も
 
が成り立っています。このためドレイン電流IDは上式と同じで一定となります。

 以上のID-VDS特性を計算した例を図Dに示します。各曲線は異なるVGSについて示してあります。VDSが大きく、IDが一定になる領域を飽和領域と呼んでいます。飽和領域のドレイン電流に達するときのIDとVDSすなわちピンチオフ電圧Vpは図中に破線で示したように
 
の関係があります。

画像

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
MOSFETのドレイン電流特性 石くれと砂粒の世界/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる