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<<   作成日時 : 2012/06/10 20:54   >>

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 ここまでは半導体の発光層をできるだけ少ない電流で強く光らせるにはどういう手段があるかという話をしてきました。ところが実際の発光素子では発光層が光ってもその光のかなりの部分が無駄になっていることがあります。この無駄をなくす工夫もいろいろなされていますので、以下その代表的なものを紹介していきます。

 LEDの発光層から出た光は特定の方向ではなく四方八方に向かって放射されます。ところが普通は特定の目標を照らすために、例えば特定の方向にいる人の眼に入るように、LEDを使います。こういう使い方ではLEDが発する光のうち、特定の方向の光だけを利用することになり、利用する方向以外へ進む光は無駄になります。

 またLED素子は裸ではなくパッケージに収容して使うのが普通です。この場合、LED素子を不透明な台座に固定する場合が多くなります。LEDは四方八方に光を出してもその半分近くがパッケージによって遮られ無駄になってしまうこともあり得ます。
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 このような無駄を減らすために考えられる手段は反対方向に進む光を反射して折り返すことです。面発光型のLEDで基板の上の発光層のさらに上方に光を取り出そうとする場合には発光層と基板の間に反射層を入れて、発光層から基板側に進む光を上方に反射すればよいのです。反射層には反射率の高い金属を使うのが簡単でよいのですが、半導体結晶層の間に金属層を入れるのは簡単ではありません。金属層の上に半導体結晶層を成長するのは難しいからです。

 この困難を避けるため、光を素子の裏面から取り出すことにして素子表面に金属反射層を着けるという方法が考えられます。通常、素子表面には金属電極を設けるので、この金属電極を反射層として使うことができれば一石二鳥です。反射率の高い金属としては銀やアルミニウムなどが知られていますが、これらは電極としては必ずしも適していません。その理由は反射率の高い金属は半導体に対してオーミック電極になり難いからです。

この問題を解決するためには、金属層を多層にして役割分担させる方法が考えられます。図Aは特開2001-210868から採ったものですが、光を透過する薄いオーミック電極45を別の金属で作り、その上に反射層47を作るような工夫がされます。オーミック電極層は十分薄くして光を透過させ、反射率の高い反射層で光を反射します。図の例では間にバリヤー層46が挿入されています。異種の金属は互いに拡散したり反応したりして折角異種の金属層を積層したのに期待した効果が得られないことがあります。このバリヤー層はそのようなことを防ぐための層で、この例ではオーミック電極層の金属が反射層内へ拡散するのを防ぐために挿入されています。

この図はGaN系のLEDの例で基板41はサファイアですから、光は基板を透過して出てきます。出射光を透過しない基板を使い裏面からの出射をさせる場合は基板に穴を開けるなどの光の通り道を確保する必要があります。
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最初に戻って、基板と発光層の間に反射層を入れれば、反射光を素子の上側(基板と反対側)から出射させることができます。その場合は積層した半導体結晶層を支障なく成長させるため、反射層も半導体結晶層にする必要があります。そこで使われるのが半導体多層膜を使ったブラッグ反射鏡です。これは通常1/4波長の厚さをもった高屈折率層と低屈折率層を交互に積層させて作ります。

図Bはこの場合のLEDの構造例を示しています(特開昭60−77473より)。AlGaAs発光層3の両側にn型とp型のAlGaAsクラッド層2、4で挟んだ構造のLEDですが、下側のクラッド層2とGaAs基板1の間に挿入された多層膜層9が反射鏡となります。発光層から出て基板側に向かう光は反射層で反射され、素子の上方から出射されます。

 上記の例はAlGaAs系ですので、反射層も同じ材料系で作ることができ、この系は何度も繰り返しになりますが、格子定数が組成によってほとんど変わらないので問題なく結晶成長が行えます。しかしGaN系など他の材料系では反射層の材料に適当なものが選べないという問題が生じます。この点については別の解決策がありますが、それはまた別途紹介する予定です。

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