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zoom RSS 材料選択範囲の拡大手段(その3)

<<   作成日時 : 2012/09/17 11:13   >>

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 前回、間接遷移型半導体であるGaPを発光させる手段としてアイソエレクトロニック・トラップを紹介しましたが、今回はさらに別の手段を取り上げます。この手段は超格子の性質を利用するもので、1990年代になってから提案されたゾーン・フォールディング効果と呼ばれるものです。

 特開平5-82837に説明図が載っていますので、これを見ながら説明します。
画像

 図の左上のようにGaPの伝導帯のエネルギーはΓ点よりX点の方が低くなっているので、GaPは間接遷移型となります(同様な図は前回載せています)。このX点というのは原点Γから(100)方向のブリルアンゾーンの境界で、運動量の絶対値は2π/aです。ただしaは格子定数です。

 格子すなわち結晶では原子が規則的に並んでいて、例えばGaPのような化合物の場合ならGa原子もP原子も規則的に並んでいて、さらにGaとPの並び方も規則的です。簡単に言えば、隣合うGaとGaの間の距離はどこでも一定で、これが格子定数aになります。

 一方、超格子は異なる物質が規則的に並んだものを言います。例えばGaPとAlPの薄い膜を交互に積層したものは一次元の超格子です。右側の図の下の部分にはGaPとAlPを単層ずつ積層した例が描かれていますが、この例を考えると、GaとGaの距離はGaPの場合の約2倍になっています。

 図のようにこの積層方向が(100)方向だとすると、スリルアンゾーンの境界は格子定数が2aになったとみなせるので、π/aとなり、GaP結晶の1/2になります。このときπ/a〜2π/aの部分のバンドはどうなってしまうかというと、図のようにゾーンの境界から内側に折り返されます。この結果、X点にあったエネルギーの最小な点はΓ点に来ることになります。これは直接遷移型になったことを意味します。

 GaPとAlPは単層である必要はなく、数原子層ずつ積層してもよく、その場合は折り返し点はさらに短くなります。

 この効果のことをゾーン・フォールディング(zone-folding)効果と呼んでいます。foldとは折り返すとか折り畳むといった意味で、超格子によってブリルアンゾーンが折り畳まれることを意味しています。

 間接遷移型であるシリコンを発光させるためにもこの効果は例えばSiとGeの超格子を用いて研究されています。シリコンの発光素子ができるとその効果は大きいので、いろいろな手段が研究されていますが、ここでは立ち入らないことにします。

 ゾーン・フォールディングはバンド理論を直接応用した興味深い話ですが、実用的にはまだ成功していないようです。デバイスを作るのに十分なほどの面積に単原子層レベルで原子を乱れなく並べるのはそう容易ではないためと思われます。

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