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zoom RSS 蛍光体を利用した白色発光ダイオード

<<   作成日時 : 2013/03/24 21:10   >>

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 少し間が空きましたが、長い色彩学あるいは色彩理論についての勉強が一段落したところです。この勉強の目的は発光ダイオード(LED)の応用にとって重要な発光色についてより理解を深めることにありました。そこで今回以降、この色彩理論の助けを借りながらLEDの発光色にまつわる技術について調べていくことにします。
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 LEDはすでに説明した通り、赤色から紫色までの可視光全域にわたる任意の発光波長をもつものを実現することがほぼ可能になっています。ただし1つの接合からの発光は基本的には単一波長にかなり近いものです。色彩理論で言えば、LEDの発光は色度図の縁に近い色度座標に相当します。このため色度図の内部に当たる例えば白色の発光を単独のLEDによって得ることは困難です。

 そこで混色の技術が重要になりますが、白色光を得るには補色関係にある2色の光を混色する必要があります。3色以上を使うことも可能です。この複数色の発光を得るには、発光色のちがう発光素子(チップ)を用意すればよいですが、蛍光体の波長変換作用を使って1つの発光色を他の色に変換するという手段もあり、むしろこの方がよく使われているので、まず蛍光体を利用する方法について取り上げます。
 蛍光材料はある波長の光を当てると、その光(励起光といいます)より波長の長い光を出します(波長の短い光を出すものもありますが、特殊なものです)。例えば青色光で励起すると黄色光を出す蛍光体があります。最初の白色発光ダイオードはこの組み合わせを利用したものでした。

 ここで重要な点は図Aのように青色発光ダイオードを封止する透明樹脂のなかに粉末状の蛍光体を分散したことです。このような構造では発光ダイオードから出た青色光はすべてが変換されて黄色光になるわけではありません。蛍光体の粒の間を通り抜けた青色光は透明樹脂を通過するだけですから、青色のまま外へ出てきます。
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 黄色に変換された光と青色のままの光が両方とも外に出てきますから、その途中で混じって白色になります。この混色の仕組みが重要です。この方法であれば、1個の青色発光ダイオードだけを使って白色光を出す素子が作れるという利点があります。また封止樹脂に蛍光体を添加したところだけがもとの青色発光素子と違い、外見の形に変化はないので、完成した白色発光素子は取り扱いの点でも有利です。

 具体的な例を特許から拾ってみます。図B(特開平10-242513、出願人:日亜化学工業より)の上の図のようなタイプの発光素子では封止樹脂104の中に、下の図のようなタイプでは封止樹脂201の中に蛍光体の粉末を混ぜ込んであります。

 励起光源の青色発光ダイオード102、202は活性層がInGaNで、発光スペクトルは図C(A)に示されています。ピーク波長は約450nmです。さらに短波長にもピークが見えますが、これについてはとくに説明がされていません。
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 この光源により励起されて黄色光を発生する蛍光体には(Y0.8Gd0.2)3Al5O12:Ceという化学式で表されるイットリウム・アルミニウム・ガーネット(略してYAGと呼ばれることがあります)が使われています。発光のスペクトルを図C(B)に示します。大体570nmをピークとする発光であることがわかります。蛍光体そのものについては後でもう少し触れる予定です。

 この組み合わせの混色でどんな色が得られるかを色度図で示したのが図Dです。この図は上の特許ではなく、関連出願、再表WO98/05078に掲載されています。XY色度図の原点に近いA点が上記の発光ダイオードの発光色の座標です。またA点とB点の間がInGaN系青色発光ダイオードで実現できる座標の範囲を示しています。

 C点が上記のYAG蛍光体を青色光で励起したときの発光色の色度座標です。同じくC点とD点の間が蛍光体の組成などを変えて実現できる範囲です。
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 色度図上に2点の色を混色すると、その2点を結ぶ直線上の座標の色が実現できるというのが、色彩理論の結論でしたから、上記の例ではA点とC点を結ぶ直線上の点の座標で表される色が実現できることになります。理想的白色の座標はx=y=0.33ですから直線ACはその少し下側ですが、近いところを通っていることがわかります、

 混色によって望みの色を得るには2点(A点とC点)の光の強度比を調整していくことになります。それをどうするかなどは次回に。

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