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zoom RSS 蛍光体の発光

<<   作成日時 : 2013/04/22 23:44   >>

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 発光ダイオードに使われる蛍光体材料については後回しにしてきましたが、今回以降、これを取り上げます。

 まず蛍光とは何かですが、ずばり一言で定義するのは難しいようです。蛍光(fluorescence)を含む広義の概念としてルミネッセンス(luminescence)があります。これは物質が吸収したエネルギーを光として放出する現象を言います。吸収するエネルギーには熱エネルギーとか化学反応で生じるエネルギーとか電子線などの粒子線のエネルギーとかいろいろありますが、光(電磁波)のエネルギーもその一つで、この光のエネルギーを吸収して起こる発光現象をフォトルミネッセンス(photoluminescence)と言います。これと蛍光とは発光の原理で違いはありません。

 一方、蛍光に対して燐光(phosphorescence)という語があります。これはいわゆる残光が長いか短いかでの区別です。蛍光は励起光を止めると発光も止まる現象を指し、燐光は励起光を止めた後も発光がしばらく続く現象を指します。古くから慣用されてきた用語としては残光があるかないかという感覚的な違いによって区別していただけでしたが、本来は発光に関わる準位の構造の違いで現象を区別できます。ここでは話が逸れるので詳細は省略します。

 発光ダイオードにおける波長変換は以上のことからフォトルミネッセンスといってもよいと思いますが、現実にはそういう呼び方はあまりしません。フォトルミネッセンスは半導体の評価方法の呼び名として定着しているので、発光素子での波長変換はこれと区別するため「蛍光」が使われているのかも知れません。もう一つはこの波長変換に使われる主な材料が、蛍光体と呼ばれる古くから知られた材料であることにも理由がありそうです。

 なお、特許においてときどき「燐光体」という語が蛍光体と区別なく使われているのを見かけます。外国語から翻訳された特許に多いようで、残光とは関係がなく普通の蛍光と解してよい場合が多く注意が必要です。

 さて本題の蛍光体材料に話を移します。以前引用した特許(再表WO98/65078)から発光ダイオードに使われる蛍光体材料の例をあげてみましょう。ここで使われている黄色の蛍光体は
  
です。これは
  
の一般式で表されるガーネット構造という結晶構造をもった酸化物です。ここでAは希土類元素(Y、Scまたはランタノイド元素)、Bは3族元素(Al、Ga、In)です。AをY、BをAlとしたイットリウム・アルミニウム・ガーネット(頭文字をとってYAG、ヤグと読みます)が代表的なので、これらをYAG系蛍光体と総称することがあります。

 この蛍光体の発光は半導体の発光のように結晶がつくるバンド間で起こるものではありません。発光は結晶に添加された付活元素と呼ばれる原子のなかでの電子の軌道間での遷移によっています。上の例ではCeがこの付活元素に当たります。CeはランタノイドなのでAの元素の一部を置き換えることになります。本来Aの一部として表記すればよいのですが、上記のように:(コロン)の後に書いて付活元素を明示することが多いようです。

 発光のメカニズムは長くなりますので次回に回します。

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