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zoom RSS 静電気破壊対策

<<   作成日時 : 2013/08/25 21:47   >>

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 発光ダイオードの寿命を確保するために静電気による破壊に対する耐性は非常に重要です。照明器具や信号灯などの製品では外部回路に保護素子を入れるなどの対策がとられるのが一般的ですが、パッケージなどLED素子の外側でとられる対策には後に触れることにし、ここではLED素子そのものへの対策を取り上げます。

 LED素子の構造に対してとられる対策は実際に使用される製品の保護のほかに製造段階での保護が考慮されます。素子を実装する工程では素子のボンディングなどの際に裸の素子にどうしても触れる必要があります。このときに静電気放電が起きると素子に直接損傷が及ぶ恐れがあります。

 このため実装工程を行う室内は空気に加湿するなど静電気の帯電を防止する対策が取られます。そのうえで素子も耐性が高いことが当然望まれます。一例として特開2000-261042に掲げられている図を示します(図A)。
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 この図は多数のLED素子の静電破壊電圧を測定した結果を示しています。ほとんどは1500〜1700Vの破壊電圧をもっていますが、10数%ほどは300V以下で破壊してしまうものが含まれています。

 この特許ではこの低電圧破壊の原因は、ウェーハ状態で製造した素子を1つずつの素子に切断した後、露出した半導体表面に異物が付着し、リーク電流が大きくなったためとしています。

 この特許では素子の切り分けの際も、活性層より上側は半導体が剥き出しにならないように保護膜を先に設けておく構造をとることにより、低電圧で破壊する素子をなくすことができたとしています。このように異常に低い破壊電圧の素子が一定割合で含まれる場合はその原因を解明し、対策をとることが有効です。

 さらに素子本来の破壊電圧を改善しようという試みもいろいろ提案されています。ひとつの代表的な方法は、素子内に保護機能を組み込むものです。

 図Bは特開2005-136177に記載されている素子の断面図です。InGaN/GaN多重量子井戸を活性層106とするGaN系の発光ダイオードです。この素子の特徴はn型電極140とp型透光性電極110の間にZnO薄膜130を挿入してあることです。
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このZnO膜の電流−電圧特性は図Cのようになっています。ある程度の電圧以上で抵抗が急に小さくなるのが特徴で、大きな電圧がかかっても電流が膜の方に流れてバイパスができるため、素子が保護されます。
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 もうひとつ別の例をあげておきます。図Dが素子構造の断面図です。この素子はボンディングを上面でするため第1導電型電極(簡単のためにn型電極とします)を上面側に延ばしています。そのままでは第2導電型(p型)層と短絡してしまうので、絶縁層17を間に設けます。
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 静電気放電によって大きな電圧が素子にかかるとそれはほとんど絶縁層17にかかることになり、耐圧を上げるためにはこの層の厚みを厚くするなどの対策が必要です。この絶縁層の厚みをむやみに増やすのは得策でないので、そのかわりにn型半導体絶縁層18が挿入されています。絶縁層と呼ばれていますが、実質この層はn型半導体層です。

 この半導体層18はn型層であるため、発光ダイオードに順方向の電圧をかけて発光させる場合、この層と発光ダイオード上面のp型層の間は逆バイアス状態になります。このため大きな電圧がかかった場合にその電圧の一部をこの層が受け持ち、上の絶縁層にかかる電圧を軽減するはたらきをすることになります。

 図Bの例のような過大な電流をバイパスさせようという考え方や、図Dのように素子の耐圧そのものを向上させようとする考え方もあり、素子の構造の工夫による静電破壊対策は種々考えられています。

 静電破壊についてはこのくらいにし、次回は他の劣化原因に移ります。

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