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zoom RSS ダイボンド工程

<<   作成日時 : 2013/11/17 19:28   >>

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 半導体デバイスが作り込まれた半導体の小片のことをチップまたはダイと言います。半導体デバイスのパッケージを形成するためにはまずこのチップまたはダイを台の上にしっかり固定しなければなりません。この工程のことをダイボンドまたはダイボンディングと言います(チップボンドという語は使いません)。

 余談ですが、この「ダイ」という語、英語では"die"で、「死ぬ」という意味の語と同じ綴りですが、語としては別物のようです。dieの複数形は変則でdiceです。ダイスといえばサイコロの意味で日本語でも使います。「ダイ」の意味は恐らくサイコロのような小さな塊といったところから来ているように思われます。なお、同じ「ダイ」には"dye"という綴りの語もあります。これは色素という意味です。

 ついでに「チップ」の綴りは"chip"で、小片という意味です。日本語では"tip"もチップと発音しますが、こちらは海外でのいわゆる心付けの意味や、尖ったものの「先端」という意味もあります。「チップ」や「ダイ」といった短いカタカナの語はどうも勘違い、思い違いを起こしやすいようです。

 話を戻して、この工程が重要な理由は、この工程に問題があると不良が発生するからです。大きく分けると二つの問題が起こります。一つは製造時に不良品が多くできてしまうという問題です。つまり歩留まりの問題です。もう一つは長時間使用後に予定より早く故障が発生する問題です。つまり信頼性の問題です。いくつか具体的な問題をあげてみます。

(1)チップの剥がれ 接着力不足
(2)電気抵抗増大、短絡
(3)位置ずれ

 チップを搭載する基台となる部分が絶縁体の基板である場合は、その表面にダイパッドなどと呼ばれる金属パターンが設けられます(前回図A参照)。ここにはんだなどの接着剤を塗布してからチップを載せて固定します。多くの場合、加熱や加圧が必要です。

 チップ表面の材料、ダイパッドの材料と接着剤の組み合わせが悪いと接合がうまくいきません。例えばアルミニウムに一般のはんだは付着しません。また銅にははんだがよく着きますが、表面が酸化しているとよく着かなくなります。
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 この付着性のことを濡れ性ということがあります。濡れないというのは弾いたようになってなじまないということです。濡れ性の悪い材料の組み合わせははじめから避けなければいけませんが、表面のサビ(酸化)や汚れを取り除いて濡れ性を確保することによって歩留まりが向上できます。

 また、はんだを溶融したとき、融けたはんだが流れて動いてしまう場合があります。ダイパッド上からはんだが流れて、接合部分にはんだが十分ない状態になってしまうと当然接着は十分にできないことになります。

 これを防ぐ工夫としてが、周囲にダムのように流れを堰き止める部分を作る例があります。図Aは特開平8-23002によるものですが、基板2に半導体チップ1をはんだ4で接着する場合ですが、はんだが流れるのを防止するために、はんだの濡れ性の低い表面処理部3を基板上のチップの外側になる部分に設けています。表面処理部の材料はアルニウム膜を酸化したものがあげられています。これに限らずチップ周辺に堰となる凸部を設ける構成が知られています。

 ただこのような堰き止め構造を作ると、堰き止められたはんだが盛り上がってしまう場合があります。この盛り上がったはんだがチップ側面に触れると、pn接合が短絡してしまう恐れが出てきます(上記(2)の問題)。そこで図B(前回引用の特開2003-264267より)のようにダイパッド形を工夫する手段があります。矩形のダイパッドの頂点部分に延長部3aを作っています。はんだはダイパッドの外には広がらず、余ったはんだがこの延長部にだけ広がり、盛り上がるのをを防ぎます。チップ搭載部の周囲の凹んだ部分を作り、そこに余分のはんだを溜めるようにして流れを食い止める方法もあります。

 (3)の問題はダイパッドの上にうまく固定されず、位置ずれが起きる問題です。一般の発光ダイオードの場合、位置ずれは多少あってもそれほど問題にはならないのですが、ずれが大きいとパッケージから光がうまく取り出せないなどの問題が起きます。

 図C(これも特開2003-264267より)のようにダイパッド3をチップ7とおおよそ同面積、同形状にしておけば、融けたはんだの上にチップを置いたとき、チップ7が図のようにダイパッドの辺と平行でない位置になっても、融けたはんだの表面張力がはたらくので、ダイパッドの辺と平行な位置に戻されることになります。この都合の良い効果をセルフアライン効果ということがあります。この言葉は位置合わせに関して他の分野でも使われていますが、要は自動的に位置合わせができるという意味です。これもより効果を出すためにダイパッドの形状を工夫した例があります。
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 これまで説明した問題は大方、パッケージ製造時の歩留まりの改善に関するものでした。一方でパッケージ部品を長時間使用後、チップの剥がれが生じたり、あるいは電気的接触が悪くなってしまうといった信頼性上の問題もあります。

 樹脂接着剤あるいは導電性接着剤のバインダーとしての樹脂が十分な耐熱性をもっていないと、動作時にチップが出す熱で樹脂が劣化し、接着力が失われてしまうことがあります。はんだの場合はチップが出す熱程度では劣化は起きないはずですが、図Dに示すように、半導体チップ1と基板2の間のはんだ3中に空孔4が入っているような場合には加熱、冷却が繰り返されるうちにはんだが金属疲労を起こす恐れがあります。
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 このような空孔対策の例がいくつか、特開平8-326141に書かれています。例えば図Eのように半導体チップ1と基板2の間に挟むはんだシート21を図のように中央部を厚くしておくと、はんだを溶融するとき、はんだは基板とチップに接する部分にまず熱が伝わって中央部から先に次第に外側に向かって融けていきます。こうするとはんだ層内の空孔は外へ押しだされ、内部に残りにくいとされています。

 以上、いくつか例をあげましたが、これはほんの一部で、また必ずしも代表的な例を取り上げたわけでもありません。ダイボンド工程の歩留まり改善とダイボンドの信頼性向上のための技術は多岐にわたっています。このような技術はあまり論文に書かれることがなく、特許が有益な情報源になります。





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