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zoom RSS 原子軌道とエネルギー

<<   作成日時 : 2014/10/13 20:07   >>

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 大分間が開いてしまいましたが、有機分子の発光がどのようにして起きるのか、その物理を調べていきます。

 分子は複数の原子核とその周りの電子からできていますが、この電子がどのような状態になっているかを知ることによってどのような発光が生じるかわかるはずです。これには量子力学が必要です。

半導体結晶を考えるために「孤立した原子からの近似」という考え方について紹介したことがあります。分子を扱うためにもまずは原子から考えます。原子は最小限、陽子1個と電子1個からなります。自然界の水素原子がそれに相当します。水素原子に関するシュレディンガーの波動方程式は
    
と書けます。ここでポテンシャルエネルギーVは原子核と電子の間のクーロンポテンシャルで
  
と書けます。

原子を扱う波動方程式は3次元で考える必要があります。xyz直交座標系では
  
となります。しかし原子は点対称で、ポテンシャルエネルギーVも原点からの距離rを使って表されていますから、xyzの直交座標系より極座標を使う方が便利です。極座標系では原点からの距離rと2つの方位θ、ψで点の位置を指定します。この場合、
  
となります。

 この水素原子に対する波動関数を
  
のようにr、θ、ψの関数の積で表されると仮定すると、数式はかなり煩雑になりますが解くことが可能です。解法と数式は多くの量子力学の教科書に載っていますので、ここでは省略します。

ここで重要なのは、解がr,θ、ψに対していずれも飛び飛びになることです。これは3つの量子数を含み、この組み合わせの場合しか許されないということです。3つの量子数は、主量子数n、方位量子数l、磁気量子数mの3種類です。さらにここから直接導かれないスピン量子数sがあります。

 この量子数には組み合わせの規則があり、それは下表のようになります。主量子数n=1に対しては方位量子数l=0が許されます。l=0に対しては磁気量子数m=0が許されます。このようにn、l、mで波動関数が決まります。この波動関数は軌道関数とも呼ばれ、1つの電子の状態が規定されます。ただしこの状態にはさらにスピン量子数−1/2、1/2の2種類が存在します。
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 n=2に対してはl=0と1が許されます。l=1に対してはm=−1、0、1の3つが許されます。したがってn=2に対して(n,l,m)の組み合わせは(2,0,0)、(2,1,−1)、(2,1,0)、(2,1,1)の4つになります。

原子軌道は方位量子数lが0、1,2に対してs軌道、p軌道、d軌道と名づけられ、主量子数nの1、2、3と組み合わせて、1s軌道、2s軌道、2p軌道などと呼ばれています。それぞれの軌道に対応する波動関数を軌道関数と呼ぶこともあります。

 表に示したように、各状態には慣用的にいろいろ名前がついています。電子の軌道は殻(shell)と呼ばれ、n=1,2,3・・・に対してK殻、L殻、M殻、・・と名付けられています。また方位量子数l=0,1,2,・・に対してs、p、d、・・・と記号を付け、これに主量子数nの数字を組み合わせ、各軌道を1s、2s、2p、・・・などと名前が付いています。

 以下の議論には重要になりますが、各軌道関数の固有値として各軌道のエネルギーEnが決まり、次式のように表されます。
  
ここでmは電子の質量、eは電子電荷、ε0は真空の誘電率、hはプランク定数です。

エネルギーEnは主量子数nのみによって決まり、他の量子数には影響されません。したがって同じ殻の電子の軌道エネルギーは他の量子数l、m、sが異なっても等しくなります。これを軌道が縮重あるいは縮退しているといいます。

 この様子を下図に示します。図はイメージを示したもので、エネルギーの値は正確ではありません。エネルギーが0であるのは電子がまったく原子に束縛されない自由な状態にあることに対応しており、軌道にある電子はこれよりエネルギーが小さく、原子核に束縛された状態にあります。
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 今回はまったくのおさらいですがここまでにし、次回に続けます。

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