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zoom RSS 分子軌道法(その1)

<<   作成日時 : 2014/11/02 17:45   >>

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 複数の原子が結合した分子がもつ多数の電子からなる系の波動関数つまり分子軌道関数は、もっとも簡単な水素分子についてさえ、解析解を求めることができません。しかしそれでは分子の性質を予測、解明することができないので、近似解でよいので何らかの方法で求める必要があります。

 どういう近似の仕方があるか、水素分子の場合を例に考えてみます。もっとも単純にはR→∞である場合を考えます。これは2個の水素原子が十分に離れて実質的に独立している場合に相当します。これに対しては2つの水素原子に関するシュレディンガー方程式が成り立ち、それぞれに対して解が得られます。これは水素の原子軌道関数そのものです。
  
  

 水素分子では2つの原子が接近しているわけですが、近似としてRが大きい場合を考えると、ポテンシャルの項の1/Rの項は無視でき、さらに電子の「遠い」方の陽子との引力の項(-1/ra2-1/rb1)と、2個の電子間の斥力の項(1/r12)が無視できると考えます。すると
  
が成り立ちます。上の3式から
  
  
となります。この議論では以上を第一近似にして近似の精度をあげる手法が必要ですが、ここではこれ以上は立ち入りません。

 上の議論と直接つながるわけではありませんが、分子軌道関数を求める標準的な方法が分子軌道(Molecular Orbital略してMO)法です。しかし上の議論をあえて挿入したのは基本的にはこのように各原子の影響が独立にはたらくというのが近似の出発点になるからです。

 分子軌道法では分子を構成する原子の原子軌道関数に適当な係数を付けて足し合わせたもの(線形結合といいます)を分子軌道関数と仮定します。上記の水素分子なら
    
となります。a、bは定数です。さらに多原子、多電子からなる分子については
  
と書きます。ここでc1、c2,、・・・cnは定数で、nは分子に属する電子数です。この電子数についてどこまでを計算に入れるかによって計算法がちがいますが、それについては後述します。

 この分子軌道関数を求めることは各係数を求めることに帰着されます。この係数をどのように求めるかは、系のエネルギーが最小になるようにすると考えるのが基本的な方針です。

 エネルギーEは式を簡単にするために再び水素分子に戻って式を挙げておきます。まずシュレディンガー方程式を
  
と書きます。これは単に前回の式を書き直しただけで、Hはハミルトニアン演算子(ハミルトニアン)と呼ばれ
  
です。両辺にψを作用させて
  

 両辺を全空間で積分して
  
Eは実数ですから
  
となります。したがってEは次式のように表されます。
  
    
    
となります。

 なお、確率の総和は1であるという規格化の条件によって
  
が成り立ちます。

 これを解く方法は次回に。

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