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<<   作成日時 : 2015/04/19 18:27   >>

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 具体的なデバイスの話をする前にこれまで積み残してきた基本理論についてこの機会にまとめておきたいと思います。いずれも教科書に載っている話ですが、このサイト内で参照できるようにするためのものです。

 まず数回は典型的なシュレディンガー方程式の解についてまとめます。今回は一次元のポテンシャル井戸についてです。つまりポテンシャルエネルギーが図Aのような形をしている場合(幅2aの井戸型)を考えます。
画像

 シュレディンガー方程式は
    (1)
です。ここでmは粒子、例えば電子の質量です。

 まずはじめに、
    
    
の場合を考えます。-下の範囲でシュレディンガー方程式(1)は
    (2)
となります。関数ψの2階微分がもとのψに等しいような関数が解になりますから、
    (3)
をシュレディンガー方程式(2)の一般解と考えてよいでしょう。ただし
    (4)
です。

V=∞の領域には粒子は入りこめませんから、
  
という境界条件が適用されます。すなわち
  
  
したがって
  
  
です。A=B=0ではψ=0となってしまって意味がないので、それ以外のつぎの2通りの解が得られます。
   かつ   (5)
   かつ   (6)
これが成り立つのは
  
のときです。ただし(5)式の場合はnが奇数、(6)式の場合はnが偶数となります。これより解は
  奇数
  偶数
となります。AとBは規格化の条件
  
によって決めることができます。
  
  
という積分公式(積分定数省略)を使って
  
が得られるので、結局波動関数は
  奇数  (7)
  偶数  (8)
となります。またエネルギー固有値Eは
    (9)
となります。Eはn2に比例することがわかりますからイメージとしては図Bに示すようになります。
画像

 つぎにVが有限(無限大でない)の場合を考えます。(1)式のx<−a、x>aにおける一般解は
    (10)
で与えられます。ただし
    (11)
です。ここで粒子が井戸内に閉じ込められる
  
の場合を考えます。すなわちβは実数です。

境界条件としてまずは波動関数が遠方で発散しないことが必要ですから
  
が要求されます。このため、
  
  
となります。

さらにx=±aでψとdψ/dxが連続であるという条件が必要です。これよりつぎの4つの条件が得られます。
x=aにおいて
    (12)
    (13)
x=−aにおいて
    (14)
    (15)
となります。この4式をつぎのように整理します。
(12)−(13):
    (16)
(13)+(15):
    (16)
(12)+(14):
    (18)
(15)−(13):
    (18)

ここでA=0かつC-D=0でなければ、(17)/(16)より
    (20)
また、B=0かつC+D=0でなければ、(19)/(18)より
  (20)
が得られます。(20)、(21)式は同時に成立できないので、
   かつ
    (22)
また、
   かつ
  (23)
となります。これが境界条件の式です。

 つぎに固有エネルギーを求めます。波動関数(3)と(10)について境界条件(22)、(23)が成り立っている条件でのエネルギーは解析的に求めることは困難です。ここではグラフを使った解法を紹介します。そのために少し数式的にテクニックが必要です。

 (22)式と(23)式の両辺にaをかけるとこの2式はαaとβaの関数になることがわかります。ここで
  
とおくと、(22)、(23)式は
    (24)
    (25)
とu、vの関数となります。

また(4)式と(11)式で表されるαとβは、この2式を2乗して足すことによりエネルギーEを消去すると
  
という関係があることがわかります。この式の両辺にa2をかけると
    (26)
という関係が得られます。

(24)、(25)式と(26)式とがともに成り立つのが許される状態の条件です。そこで円の方程式である(26)式を示すグラフと(24)、(25)式のグラフをそれぞれプロットしたのが図Cですが、このグラフの交点が許されるエネルギー固有値となります。
画像

 ここでは(26)式の円の半径を5としました。5>πですから、tan(x)が発散するπより円の半径が大きくなりますから、交点は図Cのように複数になります。cot(x)の場合も同様です。

 ここで(7)、(8)式の波動関数のイメージをn=1、2の場合について図示すると、図Dの上の図のようになります。単純な三角関数で、x=±aでψ=0となります。
画像

 Vが有限な場合は、−a<x<aの範囲では(7)、(8)式と同じ関数に従いますが、この範囲の外側では上で議論した通り、指数関数となり、かつ境界条件によってx=±aで連続となります。そのイメージは図Dの下の図のようになります。つまり電子はポテンシャル障壁の内部にしみこむように存在できるようになることがわかります。

 以上が量子井戸におけるエネルギー(量子準位)の解析です。発光ダイオード半導体レーザの活性層に使われる量子井戸はこれの典型的応用例です。

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